2021年05月23日

人は人を殺せない・・・のか?(1)

 自宅の押し入れを引っかき回していたら、興味深い物を見つけた。以前知人に貰った「サンデー毎日」(2016年12月11日)に、「国防ニッポンのリアル 自衛隊南スーダン派遣 これだけの危険度」という特集記事が掲載されていた。著者は防衛大卒・毎日新聞記者の滝野隆浩氏。
 滝野氏が元アメリカ陸軍中佐デーヴ・グロスマン氏の研究から引用するところによると、多くの兵士や警察官は銃撃戦に臨んだ際、聴覚や視覚の乱れ、言語障害、記憶の欠落、さらには失禁・脱糞を経験しているという。人間の精神は殺し合いに耐えられるように出来ていないのだろうか。グロスマン氏が言うには、「人は人を殺せない」というのだ!

 まさかと思い、グロスマン氏の著書「戦争における人殺しの心理学」と「戦争の心理学 人間における戦闘のメカニズム」を図書館で借りてみると、衝撃的な記述があった。第二次世界大戦におけるアメリカ軍の兵士らは、
 「敵との遭遇戦に際して、火線に並ぶ兵士100人のうち、平均してわずか15人から20人しか、『自分の武器を使っていなかった』」
 つまり目の前に敵がいるのに、80%から85%の兵士は、引き金を引けなかったというのだ!

 俺は、兵士という立場にされてしまった人々は一部の例外を除き、その立場上やむなく、あるいは恐怖心や憎しみから、必ず敵を殺そうとするものだと、思っていた。そして命令さえあれば、いや逆に厳しく戒められていても場合によっては捕虜や非戦闘員を躊躇なく殺害するものだと思っていた。それが古今東西変わらない兵士たちの姿だと思っていた。これは全くの幻想だったのか?
 もっとも兵士がいざという時に発砲できない、新兵は大抵初陣で大小便を漏らす・・・という話は聞いたことがあるが、それにしても発砲率が15%から20%とは全く信じられない話だ・・・。

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posted by 鷹嘴 at 16:14| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする