2008年11月15日

田母神事件A

@の続き。

 アパグループ代表の元谷外志雄という奴は、「小松基地金沢友の会」の会長で、田母神とは「10年来の親交」があり、自分の出版パーティーに田母神を呼び寄せるなど「その親密ぶりは関係者の間では有名」だった。なんとあのF15に体験試乗させてもらったことがあるという。普通の民間人じゃまず、乗せてくれないだろうねw
アパグループのサイトを見ると「真の近現代史観」と「小松基地友の会」のリンクが場違いだなあ。普通の不動産屋だと思うけど、社長の趣味を本業のサイトに載せるとは、働いている人がかわいそうだね。よくいる独裁者タイプの経営者なのかもね。(ちなみに「小松基地友の会」は、田母神自身の要請で作られたことが明らかになった)

 で、「真の近現代史観懸賞論文」応募総数は235だが、そのうち航空自衛隊からの応募が94件!そのうち田母神とゆかりの深い小松基地第六航空団が62件!なんと航空幕僚監部教育課が全国の部隊にこの懸賞を紹介していたんだってさ。結局、田母神が元谷のために、部下を動員したというべきか、元谷が田母神のためにこういう懸賞を用意したというべきか。
4年前には田母神自身が航空自衛隊の隊内誌で、自分の歴史認識を披露しつつ、一般雑誌への投稿を薦めていたことが明らかになっている。

 また田母神は、自衛隊の機関紙「鵬友」に、2003年から翌年にわたって「航空自衛隊を元気にする10の提言」という文章を掲載していた。これは「防衛大第15期のページ」アップされている。だらだらと長い文章なので、俺が要約してやるw

「部下が不祥事を起こしたら、上官はかばうこと。『あれでいいんだ』と言ってやれ。俺は『あれでいいんだ同好会』の会長だw」
「法令をどう解釈するかでグズグズ悩むな。好きなようにやれ。上官は部下からそういうことを相談されたら『お前はどうしたいのか』と言い返してやれ」
「自衛隊に理解のある人と、反日サヨクを同じように扱うな。えこひいきしてやれ」
「反日サヨは戦闘機の体験タクシーに乗せてやらんでもいい」
(誰が乗るか!)
「なんでも首を突っ込んでやれ。目立ってやれ。お邪魔虫作戦だw」
「日本は悪い国ではない!自虐教育許すな!反日サヨに対抗せよ!」
「反日サヨに負けるな!国防意識を広めよ!」
「自衛隊が活動しやすいように、法令改正を毎年要求せよ!」
「つーか自衛隊をもっと信用してほしいぜ」
(誰が信用するか!)
「ちょっとした不祥事をなんでもかんでも公開するべきじゃない。上官は部下のヘマをかばってやれ。身内の恥は隠せ。軍隊は作戦上、情報を隠匿しなければならん。なんでもオープンにする必要無し!」
「我々にとって戦場は2つある。実際の戦場と世論という戦場だ。反日グループやマスコミに対抗し、世論を操縦しなくては!」
「日本は悪いことしていない。自分の国を愛さなくてはならない。国民を啓蒙しよう!」
「自衛隊機だってたまには落ちるが、他国軍と比べると事故の確率は低い。もっと楽観的になろう。たまに落ちたぐらいで騒がれちゃたまらん」
「月刊誌に論文を投稿して主張しよう。掲載してもらえるか分かんないが『下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる』の根性で頑張れ!」
「懲戒処分の基準に基づいて部隊長が部下を処分するときは、上級指揮官の指示を仰ぐことなく、部隊長が処置すればいい。事後報告だけすればいい」


 要約するつもりがかなり長くなってしまったが・・・結局、田母神という馬鹿は、国民・マスコミに対する警戒、世論の操作、自衛隊の不祥事など都合の悪い情報の隠蔽、「文民統制」の無視、部隊単位での独断行動を、隊員に薦めているのである。
度重なる自衛隊のリンチ事件 も、田母神にとっては隠蔽すべき「身内の恥」なのだろう。自衛隊が市民活動を監視していた件 も、田母神にとっては必要な活動であり、かつ秘密裏に行うべき活動なのだろう。佐藤正久の発言にも同調するだろう。

まるで満州事変を起こした石原莞爾や、独断で蒋介石を追って南京大虐殺のきっかけを作った第10軍の柳川平助や総司令官の松井石根の如き、つーか旧日本軍全体に共通する発想ではないか。しかも田母神は、そういう旧日本軍の侵略行為を正当化しているのである。「今後自衛隊もかつての日本軍のような、国民を巻き込んだ悲惨な戦争を起こすぞ」という予告にも思えてしまう。こいつは自衛隊を、かつての旧日本軍のような手に負えない組織に作り変えようと考えていたのである。
ちなみに田母神の階級だが、この論文を発表した当時は「航空総隊司令官」だった。「航空幕僚長」に任命されたのは昨年3月だった。このような人物を任命してしまった政府の責任は重い。つーか更迭するならなぜこの論文を載せたときに更迭しなかったのか?

 11月11日に行われた参議院外交防衛委員会での参考人質疑でも田母神は反省するどころか、
「俺の論文はちっとも間違ってない」
「ヤフーの調査じゃ俺の支持の方が多い」
「退職金を返すつもりはない」
「日本は良い国だったと言ったら、解任されてびっくり」

などと開き直ってみせた。
てめえがネットから拾ってつなぎ合わせた落書きが、受け入れられるのはネット上だけなんだよ。そういう落書きが「日本は良い国だったと」言ったことになるのは、ネット上だけなんだよ。最低限でもこれだけは理解しろ。
つーか日本を良い国にしたいんだったら昔やったことを認めなきゃいけないと思うんだけど。こいつの認識では【 明治憲法下の日本政府 = 日本の全て 】になってるんだから始末に終えねえな。

さらに委員会終了後も取材に対し、
「村山談話の正体が、本日分かった。村山談話は言論弾圧の道具だ。自由な言論を戦わせることができないならば、日本は北朝鮮と同じだ」
と憤ってみせたという。
別に言いたきゃ何言ってもいいんだって。立場によってはお前みたいにクビになるかもしれねえけどな。たとえば厚生労働省の職員が「年金に期待するなんてどうかしてる」なんて言うのは別に言論の自由だけど、場合によってはかなりキビしい処分を受けるだろう。これは自分の職務に対する背信行為だ。お前の言動みたいにな。

 ところで自衛隊内部ではこの問題について、
「田母神空将の論文のどこが悪いんでしょうか」
「理不尽な批判を受けている理由がよく分からない」
「歴史論争の一方の側の論理なのに、それをけしからんという方がおかしい。思想統制にもつながる」

などと、田母神を擁護する意見が「目立つ」、という(11月11日朝日新聞)。
この記事では自衛隊は史実の教育が足りない、などと間抜けなことを書いているが、まともに義務教育を受けた人間なら、かつての日本がろくでもない国だったことを知っているはず。まあ石を投げりゃネトウヨに当たる時代だから、自衛隊にもそういう人間がいても全然おかしくない。と、思ったのだが・・・

 11日の参考人質疑で明らかになったのだが、自衛隊の高級幹部を育成する「統合幕僚学校」で、「大東亜戦争史観」「東京裁判史観」などという講義が行われ、約400人が受講したという。
これは02年から04年にかけて同校の校長を務めていた田母神によって設けられたもので、「歴史観」などの講座を開き、「現憲法及び教育基本法の問題点」といったテーマもあった。憲法はともかく教育基本法のどこが自衛隊と関係あるんだ?
こういう授業を行っていたことについても田母神は、
「日本は良い国だと思わなければ自衛隊は頑張れない。悪い国、悪い国と言ってれば士気も下がる。ちゃんとした国家観・歴史観を教えなきゃ国を守れない」
などと開き直った。
このように「自衛隊」という名前の日本軍は、田母神のような危険な思想を幹部候補生に刷り込もうとしたのである。かつての日本の侵略戦争・植民地支配を省みるどころか正当化・美化し、1945年以前の姿を取り戻そうとしているのである。
だいたい軍隊というものは、国民を守るどころか逆に生命財産を脅かすものである。こういう軍隊の本質は、旧日本軍の悪しき伝統を継承しようとする「自衛隊」のザマを見れば、ゲンナリするほどよく理解できるだろう。
国民の生命を守るために、平和を求めるために、「自衛隊」という名を冠した日本軍を解体しなければならない。

◇ 田母神前空幕長とアパグループ代表、10年来の親交 (魚拓)
◇ 前空幕長、一般誌へ投稿呼びかけ 4年前、隊内雑誌に (魚拓)
◇ 前空幕長投稿の懸賞、空自78人も論文 総数の3分の1 (魚拓)
◇ 空自のアパ論文応募隊員、計94人に 投稿者の4割 (魚拓)
◇ 田母神論文は自民党の本音?!〜「航空自衛隊を元気にする10の提言」にもかかわらず任命した責任は重い - 情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)
◇ 航空自衛隊を元気にする10の提言 (魚拓)
◇ 航空自衛隊を元気にする10の提言 〜パートT〜 (魚拓)
◇ 航空自衛隊を元気にする10の提言 〜パートU〜 (魚拓)
◇ 航空自衛隊を元気にする10の提言 〜パートV〜 (魚拓)
◇ 前空幕長論文問題:田母神氏、論文応募「幹部に紹介」−−参院外交委・参考人質疑 (魚拓)
◇ 前空幕長論文問題:田母神俊雄・前航空幕僚長参考人質疑 詳報−−参院外交防衛委 (魚拓)
◇ zara's voice recorder 田母神俊雄参考人質疑のポイント詳報 動画あり
◇ 田母神氏要請で「基地友の会」結成 事務局長明かす (魚拓)
◇ 田母神氏が統幕学校長時代、歴史観・国家観の講座開設 (魚拓)
◇ 侵略美化 受講400人 田母神氏03年設置 自衛隊の幹部教育 (魚拓)

むかっ(怒り)自衛隊はなくなってほしい人もそうでない人も、お暇ならクリックしてけろ!


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posted by 鷹嘴 at 23:51| Comment(5) | TrackBack(1) | 日本軍(1950〜) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「田母神事件」についての続きです。

田母神空幕長への評価は二つに割れた観があります。
常識人は、保守派もリベラル派も、批判調。
そうでない者だけが、田母神を応援しているようです。
当然ながら、あれだけの振る舞いをみせた人には、まともな人が好意は寄せにくいのでしょう。

こういうかたちで田母神空幕長は、地位を失うのと引き替えに、誰がどんな精神状態か見分けられるくっきりした線引きをやってくれました。
それだけがあの人物の功績なのかも。
Posted by イヤハヤ南友 at 2008年11月18日 23:23

「自国を悪く言う外国人将校に会ったことはありません」

ことが済んでもブーブーいってるあの田母神さん(および、フジサンケイとバカウヨ系の一派)がさらす往生際の悪さ。

じゃコイツはナチスを良く言うような今のドイツ将校に会ったことあるのか?


そのあさましさ、見苦しさ。
彼らの言い分がいかに実情にそぐわないかを納得できる喩えで効果的に貶した諭した、すばらしいブログを見つけたので、ご紹介いたしましょう。


この人がいったい何をやりたかったのかわからない。

田母神氏は「自衛隊の士気を高めるには日本への悪口をやめることが必要」とか主張してたのに、「論文」問題が明らかになってからというもの日本の悪口を言いまくりである。「民主主義国家とはいえない」とか「北朝鮮と同じだ」というのはそれこそ最大級の悪口だ。右のほうの人たちが好む言葉を使えばまさに「反日」「侮日」以外の何物でもない。元幕僚長のそんな言葉を聞かされて士気が高まる自衛隊員がいるのだろうか。国民の自衛隊に対する信頼が増すのか。
まったくもって謎である。これもコミンテルンの陰謀だろう。



田母神かあさんの家庭教育
(玄倉川の岸辺)
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/300c6ec687d69869c97fb17410971509


このブログ主さん、「これもコミンテルンの陰謀だろう。」とはなかなかのセンスというか。洒脱な才に感服いたします。
ぼくの場合、田母神事件のことではこちらまでカッカとしてしまい、ユーモアというものを忘れてましたから。
自戒せねばなりません。


子供たちがちゃんと勉強しないので困っている母親がいるとする。
みのもんたに相談したら「子供が父親を尊敬できるようにしなさい」「そうすればシャキッとするよ」と教えられた。
さて、母親は子供たちに何と言えばいいのか。


(A)
「あなたたちのお父さんは昔はすごい人だったのよ」
「盛り場を肩で風切って歩いてたんだから」
「あまりカッコいいから妬まれハメられて袋叩きにされちゃった」
「今は冴えないうすらハゲのおじさんだけどね」
「悪口を言われても言い返せない弱虫でみっともないったらありゃしない」
「でも昔のお父さんは本当にステキだったんだから尊敬してあげてね」

(B)
「お父さんも昔はちょっとしたワルで町の鼻つまみ者と呼ばれたこともあったの」
「調子に乗って乱暴なことをして人様に迷惑をかけたし自分も痛い目にあった」
「でも今は真面目な仕事ぶりで誰からも認められている」
「ときどき気弱に見えて歯がゆくなるけどそれは昔の自分を反省しているから」
「お父さんの過去を悪く言う人がいるけど、そんなときは『今のお父さんは優しくて真面目な人です』と答えなさい」
「過去のことを気にするより今のお父さんを誇りに思いましょう」


田母神氏とその応援団は(A)の母親が正しいと言っているようなものだ。
私には「子供たち」の現在の父親への敬意を失わせ勉強する気をなくさせる愚策としか思えないのだが。



田母神かあさんの家庭教育
(玄倉川の岸辺)
http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/300c6ec687d69869c97fb17410971509

Posted by イヤハヤ南友 at 2008年11月30日 21:19
『「この人が空自トップ?」 驚き、あきれる外国人記者』


 「歴史は勝者がつくるものだ。昔の歴史を持ち出して『おまえの国が悪かった』と言うべきではない」。一日、日本外国特派員協会の講演で、再び自説を繰り返した田母神俊雄たもがみ・としお前航空幕僚長(60)。各国の特派員からは「この人が空自トップだったとは」「あまりに一面的な見解」と驚き、あきれる声が上がった。

 「前航空幕僚長の、危険人物の田母神であります」。冒頭、軽口をたたいた田母神氏。通訳を交えた約四十分の講演では「周辺国から『日本は侵略をした、ろくな国じゃなかった』と散々言われ、黙っていることは日本の国益を損なう」と、更迭の原因となった論文と同様の主張を展開した。

 講演には二百人以上が出席。質疑応答では外国人特派員や日本人ジャーナリストら約二十人が「あなたの考え方は、自衛隊内で多数派なのか」などと次々に質問に立った。田母神氏は自衛隊を「言論弾圧社会」と表現。「(隊員は意見を)表明できないが、多数は支持していると思う」と胸を張った。



(中国新聞ニュース/2008年12月2日)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200812020098.html


やっちゃったんだってね。あの田守神さん。
大勢の外国特派員を前にしての記者会見。
臆面もなく、小林よしのりの受け売りみたいな聞き飽きたことばかりを得々と語ったとか。
わー、恥ずかしい〜。

果たして、外国記者たちの反応は……。


 「講演後、取材に応じた、香港のフェニックス・テレビの記者り・びょうさん(33)は「このような人が、自衛隊のトップにいたこと自体が驚き。日本で本当にシビリアンコントロール(文民統制)が機能しているのか疑問だ」と感想を述べた。 」

 「論文も引用が多く素人の文章で(懸賞で)なぜ高く評価されたのかわからない。自衛隊員の多くがこうした考え方を持っているならば、驚きだ」とした上で「日中の信頼醸成に悪影響を及ぼす」と強調した。

 「シンガポールビジネスタイムズ」特派員の英国人記者アンソニー・ローリーさん(69)は「正しい歴史の知識を持っているとは思えなかった」と首をかしげた。

 米国人ジャーナリストのサム・ジェームソンさん(72)は「集団的自衛権の行使容認など、賛成できる部分もあるが、戦前の日本の行動がすべて正当だったかのように述べる彼の議論は、あまりに一面的。米国人は、相手にしていないだろう」と突き放した。



(中国新聞ニュース/2008年12月2日)
Posted by イヤハヤ南友 at 2008年12月03日 20:44
日本の常識人はみんな、田守神の主張には批判的なんですが・・・。

フジサンケイ以下、一部の集団だけが彼のこと熱烈にヨイショするという、日本人にとっても外国人にとっても特異なこの状況。
ぼくは、オーソン・ウエルズの歴史的名画『市民ケーン』の作中エピソードを重ね合わせました。


大金持ちの新聞王がね、自分の愛人の願いをかなえ、彼女をオペラの主役に仕立てて、期待の新星としてデビューさせるんです。
ところがこれが、箸にも棒にもかからぬという下手糞ぶり。

まともな新聞はいずれも、その才能のなさを酷評しました。
でもケーンだけは、傘下の新聞に、愛人の歌唱力を絶賛した記事を書かせ続ける。
世間での悪評と裏腹な、ケーンの新聞のみで繰り返される舞いあがった賛辞。
あまりにも極端なこのギャップ!
自信を失っていく彼女に歌い続けろとプレッシャーをかけるケーン。

とうとう耐えられなくなった愛人は、自殺未遂をやってしまうんです。
そして、二人の関係は終わりとなります。


なんか似てません?
田守神さんのほうには、自分をめぐる八百長ぶりを恥じて自決する、そういうデリカシーは持ち合わせないようなので心配いらないと思いますが。
Posted by イヤハヤ南友 at 2008年12月04日 21:49
あの田母神さん、本だした!

『自らの身は顧みず』だってさw

そういう性格の人が書いた、そういう内容の本らしいですw

ちなみに、Amazon.co.jpでの紹介ページ。

「この商品を買った人はこんな商品も買っています」では、
『南京の真実』『中山成彬はなぜ日教組と戦うのか』『国際連盟は南京2万人虐殺すら認めなかった』などなど・・・
バカウヨ系の与太本がずらりと並んでるのが、なんとも痛い。
(というか笑えます)


「痛快な刺激に満ちた提言


 最高のタイミングだ。奥付の発行日は12月16日だが、前週には大型書店のワゴンに積まれた。

 田母神前空幕長が「定年退職」させられたのは11月3日。国会の参考人招致が11月11日。それから1カ月以内の書店搬入。速攻の編集に驚く。ここで「必読」と書くまでもない。話題のベストセラーは約束されたに等しい。

 発行人は鈴木隆一氏。花田紀凱(かずよし)編集長が率いる月刊「WiLL」の発行人でもある。同誌1月号には注目を集めた「田母神前空幕長独占手記」が掲載された。

 国会やマスコミを揺るがした騒動の渦中にありながら、1冊分の原稿を書き加えた計算だ。「手記」掲載の経緯を持ち出し、懸賞論文受賞以降の動きを、本書発売の仕掛けと邪推する向きも現れよう。

 だが事実は違う。田母神氏に伺ったところ、早くから執筆を進めていたそうである。図らずも絶好のタイミングでの出版となった。結果的に麻生内閣やマスコミは本書の大宣伝に努めたことになる。

 ある会食の席で田母神氏は「生活が苦しいので買ってください」と破顔した。流布したイメージと違い、おやじギャグを好む、気さくな愛すべき男である。

 本書には参考人招致や「村山談話」関連の記述に加え「日本の防衛体制のお粗末さ」や「精強な自衛隊をどうつくるか」といった提言も盛り込まれた。その上で「国を愛することを禁じるような歴史観が今後もまかり通るなら国は滅びる」と結語する。

タイトルは「危険を顧みず」との自衛官の服務宣誓を意識したものであろう。あわせて読者に解職の経緯を想起させる。自己保身を図った政治家や真実を封印したマスコミへの皮肉も読み取りたい。実に絶妙な標題である。

 中身も浜田防衛相発言を「ゆゆしきこと」と指弾するなど痛快な刺激に満ちている。いわば「独占出版」ともなった。平成20年の出版界における最大の快挙といえよう。(ワック・1470円)

 評・潮匡人(評論家)



【書評】『自らの身は顧みず』田母神俊雄著
(MSN産経ニュース)
bks0812140905005-n1.htm
bks0812140905005-n2.htm 」



サンケイの書評でも言い訳してますが、あまりにも迅速に本の出たところ、やはり不思議でなりません。
ゴーストライターの活躍なくして考えられない状況ではないでしょうか。

出版元にとってはスピードこそ命で、本の出来なんてどうでもいいし、そもそも普通の人がどれだけ読むかもわからない。
それでも話題が冷めないうちに出せば、売れることは約束されている。

なにしろ嫌韓本とおなじで、その筋からのまとめ買いがどっさりですからね。

『自らの身は顧みず』てゆうより『自らの非は省みず』つー感じですねw
Posted by イヤハヤ南友 at 2008年12月18日 18:24
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田母神俊雄参考人質疑のポイント詳報 動画あり
Excerpt: 「ああ、まただ」とため息=国会でも持論展開に−防衛省職員ら 田母神俊雄前航空幕僚長(60)が参考人招致された11日午前、防衛省職員らはテレビ画面を食い入るように見守った。「(憲法を)改正すべきだ」..
Weblog: zara's voice recorder
Tracked: 2008-11-16 07:52