2008年12月14日

資本主義の破綻

皆さん、車は好きですか?からの続き。

 日本車は、車種によっていろいろだけど、新型車を出してから2年か3年経つとマイナーチェンジ、4年か6年経つとフルモデルチェンジしてるよな。
メーカーにとっては新しい車がジャンジャン売れて欲しいに決まってる。同じ車を5年も10年も乗り続ける奴よりも、2年か3年ぐらいで新車に乗り換えてくれる客が望ましいに決まってる。「買い換えの時期」になると販売店から電話がきたりDMが届くもんな。
つまり、少なくとも10年は使える製品を、2年や3年でモデルチェンジして、消費者に買い換えさせようとしているわけだ。しかもモデルチェンジするたんびに使い切れないような機能、持て余すような性能が高まっている。それに売ったら売りっぱなし、使えなくなったら引き取るわけじゃなし、ゴミ処理なんぞ知らんぷりである。考えてみりゃこんな馬鹿げたことはないけれど、自動車業界はそうやって食いつないできたのである。
それに車だけでなく、家電品だってやれDVDだブルーレイだと新しいの次から次へと出すじゃんか。家電品だって10年なんて余裕だが(俺んちの、知り合いから貰ったブラウン管テレビは1996年製だw)、まだ使える物でもどんどん捨てて新しいの買って欲しいのがメーカーの本音だ。しかも数年後には今のテレビは一斉に映らなくなるそうじゃねえか。政府が有毒な廃棄物の大量発生を主導してどうする?
しかし、バカバカしいが日本経済はそうやって発展してきたのである。俺みたいなドキュソでも、テレビを見たり携帯をいじったりパソコンで遊んだり年賀状をプリンターで打ったり、たまには仲間と飲みにいったり車で温泉に行ったりする程度の生活ができるのも、このお陰だ。資本主義とはこういうものなのだ。
つーかこういう馬鹿げたことがいつまでも続くわけがない。車だって家電品だって、ある程度行き渡ればその先が大変だし、ほっときゃこの国はゴミの山に埋もれちまうからな。

 自動車業界では既に破綻の兆しがあったようだ。販売台数は1990年の777万台をピークに減少を続け、今年は500万台前後となる見通しだという。実際それも当然だろうな。
「日本自動車工業会」のサンプリング調査によると、2001年の乗用車の世帯保有率は79.0%、
07年はそれとほとんど変わらない79.2%。乗用車を必要とする家庭にほぼ行き渡っているのである。
また「自動車検査登録情報協会」の調査によると、乗用車の平均使用年数は98年には9.44年だったが、08年は11.67と、3年連続で過去最高を記録した。新車を買わずに中古車を買う、または古い車を乗り続ける傾向が強くなっているようだ。自動車メーカーの品質向上の努力が、皮肉なことに新車販売の障害となっている。つーか、この傾向を嘆く奴にはバカヤローと言いたい。品質の高い日本車を10年やそこらでスクラップにしてなるものか!
また、首都圏に住む若者に「今後何にお金をかけたいか?」という調査を行ったところ、20代では1位が「貯金」、2位が「国内旅行」、「車」は16位だった(以上は12月2日朝日新聞「時時刻刻」より引用)。「若者の車離れ」が加速しているのである。俺のようなバブル時代の幻想が抜けきれない中年の常識はもはや通用しない。次から次へと新しいものを作って食いつないできた自動車産業が傾きつつある。

 と、思ったら意外と早く破綻が訪れたな。「百年に一度」という世界大恐慌のあおりを受けて、11月度の新車販売台数は前年比の27%減、各メーカーは相次いで人員削減を打ち出した。自動車業界だけでなく電機メーカーも不況の波をかぶり、2011年のアナログ停波に向けて「特需」のはずの液晶テレビの工場で人員削減・生産中止が予定されている。
もはや、新しい製品を次から次へと売って食いつなぐというシステムは通用しない。アメリカの金貸しが潰れた程度で破綻するような脆弱なシステムだったのである。所詮は空中楼蘭だったのである。タコが自分の足を食っていたようなもんである。
日本経済の中枢とも言うべき自動車と家電業界の不振は、今後あらゆる業種に致命的なダメージとして波及するだろう。これは俺の業界(ビル管理)も同じで、オフィスビルだってテナント退去が相次げばビル管理会社に契約内容の縮小を求めるどころか下手すりゃビルオーナーの会社が倒産しちまうだろう。(もうこうなったら便所掃除でも汚水槽の清掃でもなんでもやらなきゃね。ビル管試験受かってラッキーだったぜw)
俺たちの親や、俺たち自身が、国土を破壊しつつ、国家の根幹である農業を衰退させ食糧自給率を低下させつつ、戦後60年間続けてきたことの結末は、このような経済の破綻だったのである。戦後の繁栄など幻覚だったのである。

 ここで、産業革命以降次々と新しい工業技術が開発され、工業製品が生産されたのは、なんの目的だったのか考えてみよう。人々の生活を豊かにするためだろうか?否、資本家が利潤を求めるためである。我々は資本家に操られ、工業製品を買い求めてきたのである。
いいかげん『“豊かさ”に駆り立てられ』るのはやめよう。車でも家電品でも使えるものは10年でも20年でも使おう。国民が、人間が生きていくためには何が必要かを見定め、不況に陥った途端に労働者を切り捨てる資本家と、それを黙認する現在の日本政府を打倒し、貧しくても国民が暮らしていける国を創らなくてはならない。もう遅いかもしれないが。(つづく)

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posted by 鷹嘴 at 13:34| Comment(1) | TrackBack(0) | 国内ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
言うは易し、行うは難しでしょうね。
人は便利を覚えるとやめられない。派遣切りでもされて、ダンボールに寝泊りしだす迄は分らない。
資本家は、資本が増殖しているのみで、過ぎると今回のように弾けてしまいます。
国家の事を考える事のできる政治家が現れるのをまちましょう。我々はブログで書くのみで、立候補すらしないのですから。あんな労力アホらしくってできませんもんね。
自民党も弾けたんだから、何か出てきそうな気もしますが。
Posted by Hbar at 2008年12月20日 17:27
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