2008年12月27日の大規模空爆から始まったイスラエルによるパレスチナ人虐殺作戦は日に日にエスカレートし、09年1月3日にはついに地上部隊がガザに侵攻し、既に800人以上の犠牲者が出ている(1月9日現在)。
イスラエル側は「ハマスだけが標的だ」などとほざくが、どんな特殊兵器を使ったら民間人を避けてハマス関係者だけを狙うことができるのか?実際には「クラスター爆弾」という無差別大量殺戮兵器が使われている。民間人の被害を食い止める気などさらさらないのである。
■ 6日には避難所となっていた国連学校が砲撃され「少なくとも45人」が犠牲になった(9日にイスラエルはこれは誤爆だったことを認めた)。
また、負傷者を搬送する救急車も相次いで攻撃され犠牲者が出ている。
さらには住民を一軒の住宅に押し込めておいて砲撃するという虐殺事件が発生するなど、ますますホロコーストの様相を呈してきた。
避難所や救急車の攻撃や計画的な住民虐殺には、憤りとともにどんな軍事目的があるのか首を傾げたくなるが、まあ侵略戦争とはこういうものである。そもそもユダヤ人のための国家を無理矢理造ったイスラエルにとっては、一人でも多くパレスチナ人の命を奪うことが建国の理想に適うのだろう。
しかし今回の攻撃で負傷した子どもたちは将来ハマスに加わり侵略者イスラエルと闘うことだろう。パレスチナ人を絶滅させない限り、イスラエルに勝利はない。
■ ところで08年6月のイスラエルとハマスの間の停戦協定は12月19日で失効したわけだが、08年12月28日のイスラエル紙「ハアレツ」は、政府は半年前から今回の攻撃を計画していたと報じた(08年12月28日朝日新聞より)。つまり半年間の停戦開始と同時に失効後の攻撃を計画していたということだろうか。
しかも、ハマスによるロケット弾攻撃を阻止する・・・というのは表向きの理由らしい。2月10日の総選挙を野党の「リクード」(強硬派)と争う連立与党は劣勢に立たされているので、国民の支持を得るため今回の攻撃に及んだというのだ。つまりパレスチナ人が大量虐殺されているのはイスラエル与党の選挙対策のためなのだろうか?(つーか、もし「リクード」が与党になったらもっとひどい虐殺が行われるのだろうか?)
■ それに、停戦失効と共にハマスが攻撃を開始した・・・などという報道が行われているが、小競り合いはそれ以前から始まっていた。
11月4日にはイスラエル軍特殊部隊がガザに侵入しハマスの戦闘員を殺害、ハマスはロケット弾で反撃した。さらに11月18日には、イスラエル軍の戦車部隊がガザに侵攻している。
ハマス戦闘員は役所勤めなどの生業の傍ら、夜間は黒い覆面を被って交代でイスラエル軍の奇襲を警戒しなければならない状況なのである。そもそもイスラエルはガザとエジプトの境界を封鎖して物資の流通を制限し、ガザ市民の生存を脅かすという兵糧攻めを行っているのである。
つーかイスラエルはこれまでの行いを棚に上げて、ハマスのロケット弾攻撃に対する自衛行動だ、などと称しているが、もしそういう「自衛」が認められるならば、ハマスにこそ、イスラエルのこれらの仕打ちに対し「自衛」を行う権利があるだろう。パレスチナ人にこそ、「自衛」のためにイスラエルという侵略者を殲滅する権利があるだろう。双方に攻撃停止を求める、などと国連は寝ぼけたことを言っているが、先に攻撃を止めるべきはイスラエルの方である。
■ ところでテロ国家のご本家アメリカは、国連安保理の1月3日の会議で、即時停戦を求める声明案に「イスラエルに自衛権がある」といって反対した。8日に採択された決議は棄権したものの、決議の支持を表明した。しかしアメリカが賛成票を投じていれば決議の重みが違っただろう。イスラエルのオルメルト暫定首相はこの即時停戦決議の拒否を表明している。
そういえばイスラエルという侵略国家が成立したのも、好き放題できるのも、ユダヤ資本に牛耳られたアメリカというテロ国家の後ろ盾があるからだよな。オバマの野郎も言葉を濁しているだけなのはイスラエルにとって好都合だろう。
■ 逆に言えば、イスラエルとはアメリカというパトロンが無ければ成立しえない国家なわけだな。軍国主義日本が中国東北部にでっち上げた偽・満州国が、敗戦とともに消えたように、イスラエルだってアメリカにソッポ向かれれば途端に雲散霧消する儚い存在じゃねえか。要するに国家というよりは、シオニストがアメリカの力を借りて占領している植民地じゃんか。
俺は今まで、「パレスチナ人とユダヤ人が共存できるように和平を」などということを書いてきたが、間違っているのかもしれん。アメリカの軍事力を背景にした占領地に過ぎないイスラエルという疑似国家は、ただちに地球上から消えなくてはならない存在なのかもしれん。
【関連ニュース:括弧()内の日付は、現地でその事件が起こった日付ではなく、報道された日付です】
(04年5月21日)ガザ地区で緊急事態==ラファにイスラエル軍が侵攻、手当たり次第に破壊と虐殺を開始
(05年6月2日)「停戦」中のはずのパレスチナの一週間
(08年11月5日)ガザ停戦後、初の戦闘 ハマス部隊員が死亡 (魚拓)
(08年11月5日)ガザ地区で新たな戦闘 写真5枚 国際ニュース AFPBB News
(08年11月18日)イスラエル軍、ガザ南部に侵攻、武装勢力と交戦 (魚拓)
(08年11月18日)イスラエル軍がガザ南部侵入=全面交戦の恐れ、緊張高まる (魚拓)
(08年12月15日)ハマス、イスラエルとの停戦打ち切りを表明
(08年12月15日)ハマス、イスラエルとの停戦打ち切り意向表明 (魚拓)
(08年12月24日)イスラエル軍がハマス戦闘員3人を射殺…報復弾20発 (魚拓)
(08年12月25日)パレスチナ武装勢力、イスラエル領内へ報復弾70発以上発射
(08年12月25日)ハマス、ガザから迫撃砲攻撃 イスラエル側は反撃示唆 (魚拓)
(08年12月27日)イスラエル:ガザ空爆、155人死亡…ハマス反撃宣言 (魚拓)
(08年12月28日)◇ イスラエル、ガザ空爆 155人死亡、ハマスが報復宣言(1/2ページ) (魚拓)
(08年12月28日)◇ イスラエル、ガザ空爆 155人死亡、ハマスが報復宣言(2/2ページ) (魚拓)
(09年1月4日)イスラエル軍、ガザ地上侵攻開始 北部で激しい銃撃戦 (魚拓)
(09年1月4日)即時停戦求める安保理議長声明案に米反発 ガザ侵攻 (魚拓)
(09年1月4日)爆発音絶え間なく ガザ市民「どうしてこんなことに」(1/3ページ) (魚拓)
(09年1月4日)爆発音絶え間なく ガザ市民「どうしてこんなことに」(2/3ページ) (魚拓)
(09年1月4日)爆発音絶え間なく ガザ市民「どうしてこんなことに」(3/3ページ) (魚拓)
(09年1月4日)イスラエル軍:ガザに地上侵攻…クラスター弾も使用か (魚拓)
(09年1月4日)ガザ地上侵攻:パニック状態だ…150万都市に夜通し爆音 (魚拓)
(09年1月6日)ガザ、本格的な交戦に パレスチナ人の子供13人死亡 (魚拓)
(09年1月7日)イスラエル軍、ガザの国連学校3カ所を砲撃 45人死亡 (魚拓)
(09年1月8日)オバマ氏「沈黙しているのではない」 ガザ巡り自己弁護 (魚拓)
(09年1月9日)ガザ、救急車も標的 11台破壊、医療関係者44人死傷 (魚拓)
(09年1月9日)【ガザ侵攻】イスラエル軍が住民誘導し砲撃、30人殺害 (魚拓)
(09年1月9日)イスラエル軍、ガザの学校への誤爆認める (魚拓)
(09年1月9日)ガザ停戦へ安保理決議採択 米、拒否権を発動せず (魚拓)
(09年1月10日)イスラエル、ガザ全土を空爆 ハマスも対抗 (魚拓)
(09年1月10日)イスラエル:ガザ侵攻 イスラエル軍、住民を砲撃 住宅に兵士が閉じ込め、30人死亡 (魚拓)
(09年1月10日)イスラエル、国連の停戦決議を拒否 ガザ攻撃続行の方針 (魚拓)
(09年1月10日)イスラエル市民9割、ガザ攻撃支持 「被害出ても正当」 (魚拓)
(09年1月10日)イスラエル:ガザ侵攻 エジプトの調停不調 パレスチナ人死者、800人に (魚拓)
(09年1月10日)米議会、イスラエル支持を決議 ブッシュ政権と足並み (魚拓)
(09年1月10日)配管工から戦争特派員、「ジョー」が紛争激化のイスラエル取材へ
2009年01月09日
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今もしドラえもんが私のもとにきて、好きな秘密道具をひとつだけあげるといわれたらなんのためらいもなくもしもボックスを頼み、ユダヤ人のいない世界をたのむことでしょう。
私も、イスラエル国家は解体しなければならないと確信しています。今は「非暴力」が大はやりで、このような主張は左翼でも見かけることはたいへん少なくなってしまいました。
以下、次の文章を貼り付けておきます。「解放」863号(赤砦社が発行しているほうです)の巻頭論文からの抜粋です。もしかすると、読んでいらっしゃるかもしれませんが。
だいたいイスラエルという国は、「アジアに対するヨーロッパの防壁となり、野蛮に対する文明の前哨」(ヘルツル『ユダヤ人国家』)として作られた国家です。帝国主義の産物であり、そして現在も帝国主義の抑圧の一形態として、イスラエル国家は存在し続けています。
昨年亡くなった林歳徳さんの言葉をもじるならば、「イスラエル国家ある限り、パレスチナの平和はない」ということになりましょうか。
〈「解放」863号より〉
今年5月14日で「イスラエル建国」から60年となった。中東における反革命拠点≠ニして米帝―帝国主義が一貫してテコ入れしてきたイスラエルの存在と、国際階級闘争の拠点として歴史的に闘われてきたパレスチナ解放闘争の進退は、中東反革命再編の成否を握っている。
ブッシュは5月14日、中東歴訪の最初の訪問地としてイスラエル入りし、イスラエル大統領・ペレス、首相・オルメルトと会談を行なった。この会談では、「中東和平」交渉の進め方、レバノン情勢への対応などが協議されたという。ペレスはブッシュとの会談後の記者会見で「我々はパレスチナ人の敵ではない。ともに平和に暮らしたい」などといい、一方で「ハマスやレバノンのヒズボラといったイスラム過激派勢力による破壊行為が和平の障害になっている」と強調した。オルメルトも同様の見解を示した。ペレスやオルメルトのいう「平和」は、はじめにイスラエル国家ありきで、パレスチナ労働者人民が一切抵抗しない状態を指しており、ハマスやヒズボラはイスラエルにとっての「平和」を破壊する障害というわけだ。また双方とも、「イランとシリアが中東での影響力を増大し、破壊行為が拡大している」という認識を示した。これらの発言ひとつとっても、イスラエルが米帝―帝国主義と中東反革命再編をめぐる利害を一にしていることが見てとれる。翌15日にブッシュはイスラエルの国会で演説し、「両国が結束してテロに立ちむかえば中東を民主主義に変革できる」とイスラエルを引き続き中東における反革命拠点≠ニして打ち固めることの重要性を訴え、強固な同盟関係の必要性を強調した。国連でイスラエルに対する「非難決議」がくり返されていることに関してブッシュは「中東で最も自由な民主主義国家に対して恥ずべきこと」とし、将来の中東の姿として「パレスチナ人が夢見た祖国を持ち、シリアとイランの圧政が遠い記憶となり、イスラム原理主義勢力のハマス、ヒズボラが敗北する」という願望を明け透けに表明した。一方、パレスチナ自治政府議長・アッバスも「イスラエル建国」による「ナクバ」(大破局)60周年記念で「占領統治の終結のみがイスラエルに安全をもたらす。今こそナクバに終止符を打つときだ」と演説し、「和平交渉」の進展をイスラエルに迫った。これに対してハマスは、「(アッバスは)和平交渉への幻想を捨てるべきだ」と主張、反イスラエルの抵抗闘争継続を呼びかけている。
改めてはっきりしておくべきは、イスラエル国家の解体なしにパレスチナの解放はないのであり、また同時に、ユダヤ人の解放もないということである。これに対して、平和の妨害者≠ヘ、パレスチナ国家の建設に対して異を唱える者だという主張がある。つまり、平和の妨害者≠ヘ、イスラエル国家の存在を認めないパレスチナの勢力であり、また「ユダヤ人入植者」などの極右シオニストだというのだ。このような角度から極右シオニストの存在を非難することを通して、イスラエル国家とパレスチナ国家の「共存」を主張するものがいるが、イスラエル国家はパレスチナ労働者人民に対する抑圧があってこそはじめて存立できるのであり、パレスチナ国家の建設を認めることは、即イスラエル国家の承認であり、パレスチナ労働者人民の分断強化と、さらなる抑圧の強化につながるのだ。また、「シオニズムが民族解放運動でないことははっきりしている。…運動としてのシオニズム運動はどんな意味においても解放とは無縁のものである。民族解放運動とは、それが一民族の解放であれ、社会の抑圧された少数派の解放であれ、抑圧者に対する闘争の運動である。シオニズムは反ユダヤ主義に対する闘争とは無縁である。このことはシオニズムの基本的事実である。つまりシオニズムは反ユダヤ主義に対する闘争を放棄して初めて始まりうるものだ。そこにおいては、反ユダヤ主義に対する闘いは不毛であり、無意味であるとみなされている。これが第一に主要な点。第二に植民地計画として、シオニズムのパレスチナにおける現実的実践課程にそれは抑圧機関となった。しかし、シオニストがたとえ月に殖民したとしても、シオニズムは解放運動ではないのだ」(イスラエルの「社会主義組織」マツペンの創設者の一人、モッシュ・マホベル)とあるように、イスラエル国家が存在する限り、ユダヤ人の解放もありえない。
対イラン反革命戦争を粉砕せよ。パレスチナの解放とユダヤ人の解放を一個二重の課題として闘いぬくパレスチナ労働者人民と連帯し、イスラエル・シオニスト、帝国主義一体となったパレスチナ解放闘争圧殺攻撃を粉砕せよ。自衛隊のゴラン高原派兵を許すな。