2008年12月15日、東京地裁で行われた法政大学弾圧事件の公判を傍聴してきた。この一連の弾圧事件の裁判の二度目の傍聴だったが、11月20日に傍聴した裁判とは別の裁判である。11月20日と同じく13時半から17時までの長丁場だった。すっごく遅くなってみっともないが今更ながら当日の模様を書いてみる。
■ この日の裁判の被告は、2008年5月に逮捕されて拘留中の新井さん、中島さんの二人の法大生である(中島さんは退学処分)。08年5月28日、この二人と全学連の織田陽介委員長が、「4月11日に法大の警備員へ暴行を加えた」として令状逮捕され、その時そばにいた2人の学生も公務執行妨害で逮捕された。織田委員長については「傷害の事実はないが、現場で共謀した」という容疑である。(この翌日には法大への抗議行動で33人が逮捕されている)。織田委員長と2人の学生は6月18日に釈放されたが、新井さんと中島さんは釈放されぬまま起訴され、この日も東京拘置所からの出廷だった。
■ この日も公判前に法大弾圧救援会や学生の皆さんが裁判所前でビラ配布を行い、俺もちょっとだけ手伝った。傍聴券の抽選は意外なことに定員数にわずかながら届かなかった。毎週のように法大弾圧のいくつもの裁判の公判が行われているので、支援者がいまいち集まらない日もあって当然である。つまりそれだけ何度も何度も弾圧が行われてきたわけだ。
法廷はいつもと同じ429号法廷。この合同庁舎は玄関で、荷物と金属類はベルトコンベアに乗せてレントゲン探知機を通し、人間は金属探知のゲートをくぐるが、さらに4階で入廷前に荷物を預け、クランプテスター(笑)みたいな金属探知機で全身を調べられる。テロリスト扱いだな。普通の刑事裁判じゃこんなことやらないだろうね。
俺が初めて傍聴した11月20日の公判では一人の退廷者も出なかったが、この日の裁判長は非常に厳しいというか神経質な奴で、開廷早々二人が退廷処分になり、警備員に暴力的に排除されてしまった。別に大声で騒いだわけではなく、被告の陳述に拍手したり「よしっ!」って呟いただけなんだけど。通常、退廷処分になった場合は法廷から追い出されるだけだが、法大弾圧事件の公判では裁判所の外まで追い出されるという。
■ 被告2人の意見陳述、被告の弁護士からの意見に続いて、検察側が動員した証人尋問が行われた。東京警備保障の星景(ほし・けい)と正木敦行の二人である。こいつらが「学生から暴力を受けた」と主張しているわけだが、事実は正反対でこいつらが日常的に学生に殴る蹴る、投げ飛ばすなどの暴力を振るっているのである。
星景は身長170cm、体重86kgのゴツイおっさんである。こういう職業だから柔道か何かの経験者だろう。この日の被告の中島さんを突き飛ばして怪我をさせたこともあるという。
この星って奴は、自分らの業務は「立哨業務」と「巡回業務」であり、
「(部外者や許可のない者が、法大の学内に)入構するのは防ぐが、入構してしまったらそれ以上追わない」
「入構してしまったら法大職員(正体は「ジャパンプロテクション」という警備会社)が対処する」
と述べていた。要するに自分らは単なる警備員であり、立ち入ったことはしてないのに、突然学生に殴られて・・・と、アピールしたんだろう。
■ この白々しいウソを被告側弁護士が厳しく追及した。
(弁護士)「実力行使について(上司から)どのように指示されていたのか?実力行使について、何をやってもいいのか、何をやってはいけないのか?(を、上司から指示されていたのか?)」
(星)「警備員法に基づき『個人もしくは団体の自由を侵害してはならない』と上司に指示された」
(弁護士)「門に入った者を追い出すのは自由の侵害にならないと思うか?」
(星)「ならないと思う。というかケースバイケース、出せると思ったら出す」
(弁護士)「殴るのは自由の侵害ではないか?」
(星)「・・・」
(弁護士)「学内での学生の演説を妨害するのも、あなたたちの業務なのか?門で阻止するだけじゃないのか?あなたが法大の警備についたのは2006年9月20日だが、その日、法大の構内の55年館の前で演説していた学生を、排除したでしょう!」
矛盾を指摘された星は慌てて弁解を始めた。
(星)「その年の10月、門で阻止しろと指示があった。それ以前は、よく分からないからなんとなく・・・」
実際は「なんとなく」どころか確信犯的に暴力が振るわれている。また、以前弁護士が法政大学の構内に入ったとき、この星が弁護士のあとをつけ回し写真を撮ったりしたそうである。これも「巡回業務」のつもりなんだろうか?
さらに、別の警備員は構内で女性の学生活動家のあとをつけ回し、彼女がトイレに入れば出てくるまで待っているんだってさ。キモイね。
■ また「立哨業務」についても通常の警備業務から大きく逸脱している。50〜60名の学生活動家の顔写真を用意し、「何時何分、活動家の○○が入構しました!」などと大学当局に報告している。退学処分者については入構を阻止するため、A4サイズの顔写真を用意し、その特徴から「キツネ」「タイゾー」「おしろい」「丸顔」などとあだ名をつけ警戒しているという。まるで秘密警察だね。
午前8時から午後10時までを二交代のシフトにしているが、「彼らが来るかもしれない」日や、法政大学文化連盟の会議がある日は残業になるという。
■ 星は2008年4月11日、学生活動家の入構を阻止しているうちにもみ合いになり、被告の新井さん殴られた、と主張しているわけだが、こういったら失礼だが新井さんと星の体格を見比べると、とても星のようなごついオッサンに殴りかかるとは思えない。逆なら十分あり得るが。
また星は、新井さんが左手で殴ってきて、自分の左頬にあたり怪我をしたと主張するが、普通左手で殴れば相手の右頬にあたると思うけどな?
ところで新井さんは右利きである。ボクサーでもなければ一発目は右手が出るのではないか?もっとも、右利きの人間が左手で殴りかかることがないとは言えない。
この法廷では監視カメラが捕らえた当日の模様が映写されたが、星の左手が学生に向かって真っ直ぐ伸びているシーンが残されていた(星がどっち利きなのか知らんが)。まああの映像だけじゃ殴ったのか突き飛ばしたのか分からんけどね。
■ 検察側は被告らが殴りかかっただの、助走を付けてぶつかってきただの主張しているが、そういうシーンは一切残っていなかった。そもそも星は新井さんに左手で殴られたと主張しているが、そのとき新井さんは左手にビラを持っていたのである。これらの状況から、弁護士が「あなた(星)が新井さんを殴ったでしょ?」と厳しく問い詰めた。
実際に星のパンチが命中したのか不明だが、暴力を振るったのは学生たちではなくこいつら警備員である。4月11日、被告らが情宣活動をしているところに「市ヶ谷学生センター長」の木原が現れ、拡声器を奪って破壊し、さらに星と正木が学生たちに襲いかかり、蹴り上げ、「顔面に拳を振りかざして眼鏡を奪い、破壊」したのである(意見陳述集より)。だいたい4月11日の話なのに5月28日になってから逮捕するのが不可解ではないか。殴られて怪我すりゃその日のうちに警察に行くだろ。つーか警察に行って「1ヶ月前に殴られました!」と訴えても相手にしてくれないだろ。学生らは冤罪を着せられたのである。
またこの事件では釈放された織田委員長は、同年の6月27日に法大の門の前にいたところ、警備員らに門の中まで引っ張られて「門の中に入った!逮捕だ!」と叫んだという。学生活動家の入構を阻止するのではなく、官憲に引き渡すのが真の目的のようだ。
学生らの言論の自由、主義主張の自由を奪うために、法政大学と警察が結託して弾圧を行い、さらに民間企業もそれに協力しているという構図である。政治弾圧を民間の警備会社に「アウトソーシング」しているのである。
■ 星の証人尋問、監視カメラの映像の検証に続いて、正木敦行の証人尋問が行われた。こいつも「学生に暴力を振るわれました」などと白々しいことをほざいていたが、17時を過ぎてしまったので翌日に持ち越しとなった(急遽、12月16日にも公判を行うことになったという)
この裁判の被告の中島さんは12月26日に、新井さんは12月27日の午前1時!に釈放された。年が明けて1月23日に、最後の一人だった内田さんが釈放され、やっと拘留されていた19人の学生全員が釈放された。しかし裁判闘争はこれからも続く。こういう冤罪を決して許してはならない。
2009年02月01日
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