3月1日、東部ユニオンの集会で聞いた話。
ビル管理とかビルメンテナンスとか呼ばれている仕事は、ビルなどの建築物やプラントに於ける、警備・清掃・設備管理業務の請け負い業である。俺は設備管理の方をやってるんだが、受変電装置・熱源装置の運転監視、電気・空調・衛生設備の点検保守・修理、水漏れ雨漏りなど緊急時の対応、電球の交換、トイレの詰まりの直しなど、暇なときはとことん暇だが忙しいときは目が回るほど忙しい仕事だ。つーか夜勤も多いからシンドイよ。つーか清掃や警備はもっと辛いと思うよ。
まあ大した給料は出ない仕事であり、転職を繰り返した末にたどりつく仕事だ(などと自嘲的に語られることもある)。実際、電気工事の一人親方をやっていたけど仕事にあぶれてビル管理の会社に入る人もいるし、俺なんか工場の派遣の仕事を辞めたときは既にいい歳だったんで他に何も無くて始めたのさ。
それに、オーナーから契約を打ち切られた場合、働いていた人員もお払い箱になるわけだが、そのビル管理会社の他の契約物件に人員の不足が無ければ、一か月分の給料だけ払って解雇、という例も少なくない。新しく契約した会社が引き取ってくれればいいんだが、毎度うまくいくわけじゃない。20人いた現場なのに残れたのはたった3人なんて例も珍しくない。残れたとしても大幅に収入が下がる場合がある。下請けだったのに孫請けになっちゃうとか。
特に公共物件なら毎年入札があるので常に職を失う危険があり、そのため正社員ではなく容易に解雇される契約社員である場合も多い。
しかしこういう雇用不安に甘んじていない労働者たちがいる。小菅水再生センターにて設備管理業務等に携わる労働者が結成した「自治労小菅下水処理場委託職員ユニオン」は、賃金と雇用の維持のために奮闘している。この現場も毎年入札があるが、会社が入れ替わっても全員が現場に残れるように、新規契約する会社と東京都下水道局に交渉する。事前に入札に参加する会社を探し出し、働きかけ、入札会場の前でビラまきを行う。労組があることを知ると入札から降りる会社もあるという。(そういう会社はよっぽど待遇が悪いんだろうな)
また「自分たちがどれだけピンハネされているか」明らかにするために、都下水道局と設備管理会社の契約金額を公開させるのである。まあ事務系の社員も食わしてやらなきゃならんので都が払う契約金をそのまま現場の労働者に渡すわけにはいかないのは分かるが、そもそもビルメン会社の存在は中間搾取ではないか?この仕事はある種の派遣業のようなものではないか?昔は公共施設だって一般のビルだって、ビルメン業務はそこの正社員や職員がやっていたはずである(と、思うぞ)。普通のオフィスビルならまだしも、この現場のような下水処理場だったら、たとえどんなに設備管理のベテランが来ても、都の職員が一から十まで指導するだろう。派遣社員を指導する正社員のようにね。
本来は都の職員として採用されるべき彼ら労働者に、自分たちの労働の対価を正確に知る権利があるのは当然である。
この労組は、言うまでもなく企業内組合ではなく現場の組合である。会社が変わっても労働者は現場に残り、悪質な業者を寄せ付けず、労使の力関係を逆転させる。現場を動かしているのは自分たち労働者であり、労働者がいなければ企業と自治体は何も出来ないことを知らしめているのだ。俺もビル管だからこの労組の取り組みに学ばなければならない。万国のビルメン団結せよ!
・・・この集会では他にも、王子製紙の関連会社にて組合を結成した途端に転勤させられそうになり団体交渉して撤回させた話、学校給食の委託労働者が有休を使うことさえ躊躇う同僚を説得して意識を改めさせた話など、多彩な取り組みを知ることができた。集会後、錦糸町駅前で街頭宣伝を行った。二枚目の写真で足しか見えてないのが私ですw
それと、3月20日は渋谷でデモがあるそうです。
2009年03月09日
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