2006年01月15日

「混合診療」解禁が日本人を殺す

らくちんランプの、「ペテン師」小泉純一郎は、貧乏人は「死ね」と言うのかというエントリーにて紹介されていた読売の記事によると政府は、
国民年金の未納者に対し、国民健康保険を使えないようにするつもりらしい。
年金未納なら医療費は全額自己負担に、厚労省が検討
 厚生労働省と社会保険庁は3日、国民年金の長期未納者と長期未加入者について、国民健康保険(国保)を使えなくする措置を導入する方向で検討に入った。
 国保が使えなくなると、医療機関に受診した場合の患者負担は全額自己負担になる。年金の未納・未加入者に対する事実上の罰則規定を設けるものだ。実施の具体的な基準を詰めたうえで、早ければ2007年度から実施したい考えだ。
 年金保険料の未納対策としては、社保庁は十分な所得や資産がありながら督促に応じない未納者に対し、強制徴収を実施している。
国民年金の納付率は05年度上半期(4〜9月)現在で、61・2%(社保庁調べ)にとどまっており、4割弱が未納だ。社保庁は07年度末で納付率を80%に引き上げることを目標にしている。だが、目標達成は難しいとの見方が強く、庁内では「強制徴収だけでは、未納・未加入の抑止効果は見込めない」との意見が出ていた。
 一方、国保の滞納世帯の割合は04年6月現在で18・9%で、年金よりも納付率は高い。国保が利用できない場合、医療費が全額自己負担になり、影響が大きいという意識が強いことが原因と見られる。このため、年金未納者らへの“ペナルティー”として、国保利用を制限する案が浮上してきた。
 ただ、国民年金の保険料徴収は国(社会保険庁)が行っているのに対し、国保の徴収は市町村という違いがある。年金未納を理由に国保を使えなくすることに対し、市町村が「国保の納付率も下がる」などと反発する可能性が高い。今後、厚労省、総務省、自治体などの調整が必要になりそうだ。
(2006年1月4日3時3分 読売新聞)

なんとまあふざけたことを考えるのだろうか。老後の生活のための年金と、医療を受けるための保険、この全く別の話をなぜ混同するのか。収入が低くて年金は払えないが国民健康保険だけは払っている世帯は、医者にかかれなくなるのか?つーか詐欺じゃんか?
そもそも年金は将来本当に支給されるのか非常に不安がある。月々の支払いを躊躇してしまうのは当然だろう。俺だって年金なんざ払いたかねぇが、年金も健康保険も給料天引きなので支払い拒否は不可能。つーか健康保険から離脱する気はないがね。
ところでいつの間にか、大企業の健康保険組合や、俺のように「政府管掌健康保険」に加入している場合でも、自営業者などが加入する国民健康保険と等しい負担額(3割)に増額されていた。
「自己負担限度額があるため、負担が単純に2割から3割になるわけではない」なんてことが書いてあるが、その「限度額」は1ヶ月当り7万2300円だとよ。風邪や歯医者に通う程度じゃそんな金額にはならねえな。
また、その下に「具体例」があり、
「虫垂炎で7日間入院」した場合の医療費は26万4080円、その3割は7万9220円、自己負担額は7万2530円だという。要するに大病を患うような場合以外は、患者の窓口負担は1.5倍に増額されたことになる。
去年は大厄だったのにお払いをしなかったせいか?、差し歯の作り直し、インフルエンザ、目のもらい物、虫歯と、例年に無く医者代を使った。特に虫歯で歯医者に通い毎回3千円くらい払わされるのはボディブローのように効いてきた(笑)まあ、金は惜しいが歯の痛みは耐えられるものではない。
しかし、風邪気味だが金をケチって医者に行かなかったのが仇になり高熱で倒れてしまった。実はインフルエンザで・・・ということもあり得るだろう。負担増は国民の健康にとって、決して喜ばしいことではない筈だ。(風邪など軽度な場合は健康保険の適用外にする、という案が出たことがあった。さすがにこれは撤回されたが出ている

それどころか、将来医療費の個人負担が仰天するほど値上がりする恐れもあるらしい。
古くなったが昨年12/18の朝日新聞「医療に市場負担 実現したら」より引用。

アメリカでは医者代が驚くほど高い、という話は聞いたことがあるが、この特集によると日本とアメリカの治療費の比較は次の通り。

骨折の治療
日本            12万8000円
アメリカ(公的保険)   16万6500円
アメリカ(公的保険以外) 44万7400円〜53万3200円

胃切除(単純なケース)
日本            20万7000円
アメリカ(公的保険)   19万3300円
アメリカ(公的保険以外) 56万7500円〜67万7000円

帝王切開
日本            15万
アメリカ(公的保険)   13万600円
アメリカ(公的保険以外) 29万5000円〜35万4600円

人口肛門造設
日本             6万5900円
アメリカ(公的保険)   13万3100円
アメリカ(公的保険以外) 26万1500円〜31万1400円

白内障手術
日本             4万9100円
アメリカ(公的保険)    7万5400円
アメリカ(公的保険以外) 25万7100円〜30万5500円

アメリカの「公的保険」だけを見ると日本の治療費より低額な例もあるが、この「公的保険」の対象は高齢者と低所得者のみであり、他は民間の保険を利用している。つまり大多数のアメリカ人は「公的保険以外」の高額な治療費の支払いを余儀なくされている。また全体の15%のアメリカ人はどちらの保険にも加入していない。恐らくは病気や怪我をしても滅多なことでは診察を受けない(受けることができない)のだろう。「カトリーナ」災害で世界的に知れ渡ったあの国の恐るべき貧富の差を考え合わせれば容易に想像がつく。(参考

また、医薬品の価格も日本より大幅に高額である。
ノルバスク(降圧剤)
日本    87.5円
アメリカ 178.64円

ブロプレス(降圧剤)
日本    194.8円
アメリカ 175.08円

メバロチン(高脂肪血症用剤)
日本  145.5円
アメリカ 353.83円

リピトール(高脂肪血症用剤)
日本  158.3円
アメリカ 293.44円

ディオバン(降圧剤)
日本  165.5円
アメリカ 191.98円

ガスター(抗潰瘍剤)
日本  68.0円
アメリカ  217.6円

ニューロタン(降圧剤)
日本  201.2円
アメリカ 189.42円

リュープリン(ホルモン療法剤)
日本  5万4367円
アメリカ 6万1117円


さて日本でも、アメリカのように医療の現場に市場原理を導入しようとする声がある。保険料の収支の悪化を理由に「公的保険でカバーする範囲を限定し、それ以外の医療は自己責任に基づいて市場に委ね、民間保険などで賄おう、という意見が経済界を中心に強まっている」という。つまり公的保険と民間保険を組み合わせた「混合診療」を全面的に解禁しようというのだ。
その場合「必要な治療でも、公的保険の対象外になれば、費用は全額患者負担になる。民間の保険に加入できる人はいいが、その余裕のない人は希望する治療が受けられない、といったケース」が出てくるという。レントゲン撮影は普通の健康保険が使えるが、手術は適用外、民間の保険ではないとカバーされない・・・というような事態が起こりうるのだろうか?

またその場合、医療を行う側の立場の強い「売り手市場」となり、治療費の値上がりが予想されるという。
「慶応大商学部の権丈善一教授(社会保障・経済政策)はその理由を、『医療サービスという『商品』の特殊性にある』と分析する。
メロンを買う場合、買い手はどれくらい欲しいか、懐具合はどうかなど、総合的に判断して決める。では、医療の場合はどうだろう。風邪だと思って受診したら、医師に『肺炎の可能性もあるから、追加の検査をしましょう』と言われて、断る患者は少ない。医療サービスを買う主導権は買い手の患者ではなく、売り手の医療側にある。
特に命にかかわる病気で、医師から高額の治療法を示されたら、その費用と効果を患者が客観的に判断できにくいし、『お金がないから』とあきらめたりするのも難しい。
買い手が売り手と対等な立場に立つことが難しいと、売り手の勧めるままにサービスを購入したり、売り手市場になって価格が高騰したりする可能性が高いわけだ」
この説明には納得できる。たとえば車検で車を預けたとき、大抵はディーラーや販売店が要求する通りの修理内容や部品交換を受け入れてしまうだろう。「なんでそんな部品の交換が必要なんだ?」という疑問も生じるが、自動車の知識がないため、また専門家から指摘を受けたという不安感のため、重量税や自賠責だけならせいぜい7、8万円のところを倍近い料金を支払ってしまうことになる。
これと同じことが医療の世界でも起きれば、アメリカのように治療費や医薬品の料金が信じられないような額に値上がりすることだろう。俺のような貧乏人にとって迂闊に医者にはかかれない状況になる。

しかし、なぜこのような制度改悪が行われようとしているのだろうか?
雑談日記(徒然なるままに、。)の、奪われる日本――「年次改革要望書」米国の日本改造計画 警告レポート、米国に蹂躙される医療と保険制度(後半)にその答えがある。自民党政権はアメリカに要求されるまま、国民の生命を売り渡そうとしているのである。
「国民から搾れるだけ搾り取れ、金のない貧乏人は死ね」・・・という、小泉とそれをあやつるアメリカ政財界の本音がにじみ出ている。自民党政権を打倒し、自分たちの真の利益を自身の力で追求することが、我々国民の急務である。


posted by 鷹嘴 at 01:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 自民党の政治 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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