「最高裁と法務省が雨乞いをしやがった」という冗談も出るほどの雨のせいで会場は空席が目立ったが(参加者1850人)、この雨を吹き飛ばすような熱いアピールが行われた。
■ 裁判員候補者にされてしまった二名の方々や、呼びかけ人のうち今井亮一氏(交通ジャーナリスト)、池内ひろ美氏(家族問題評論家)、足立昌勝氏(関東学院大学教授)、織田信夫氏(弁護士)、大分哲照氏(浄土真宗本願寺派)、蛭子能収氏(漫画家)が発言し、全国各地の運動報告が行われ、法大文化連盟を代表して我らが恩田亮さんも力強いアピールを行った。もちろんこの運動を牽引する高山俊吉弁護士も登壇し、この「現代の赤紙」の阻止を訴えた。
■ 憲法と人権の日弁連をめざす会の会長であり、昨年2月の日弁連会長選挙で、当選者の9402票に対し7043票まで迫った高山俊吉弁護士は、裁判員制度の危険性を強く訴え続けている。
「(この制度に於ける)公判で取り調べる証拠や主張は基本的に事前に整理され(公判前整理手続き)、公判はその手続きに拘束される。その結果、公判開始後に被告人・弁護人が新たな証拠調べを請求することが基本的に」できなくなるという。
つまり、前にも書いたように何も知らぬまま突然参加させられる裁判員に、事件の内容を簡単に説明するために、被告側の主張・提出した証拠は大幅に縮小され、しかも公判中に新しい証拠を提出することも出来なくなるのだ。ある検察幹部は「証拠を厳選する考え方はどんどん進んでおり、さらに減らせる」と語ったという(4月22日朝日新聞)
そもそもこの制度下では3日や5日で終結させられる公判で何ができるだろう。検察側の意のままに厳罰化が進み、警察の捏造資料もそのまま受け入れられ、冤罪事件が多発するだろう。被告の権利を守るアメリカの陪審制度とは大きく異なる。
また、この制度は「改憲そのもの」だという。軍国主義の復活と労働者への更なる収奪を狙う自民党政権にとって、憲法改悪のために「国民が公(おおやけ)を大事だと考え」させたい、戦時中の「隣組」や「国防婦人会」のように、「末端」から「国民総動員」するシステムを作りたい、そのために裁判員制度が必要になるのだ。「市民の中から起こる改憲」を狙っているのだ。1930年代、ナチスドイツも「市民の警察参加」と称して似たような制度を設けたという。国家権力が何を狙っているか自明である。
政権が企んでいる「司法改革」改革の「三つの柱」は、この制度と、弁護士の増加、「第二の日弁連」となる「司法支援センター」の設立だという。
弁護士の数を増やすことによって、裁判費用を出せない弱者を助けるところか自分の収入すらおぼつかない立場に追い込む。
市民の権利を守る存在ではなく、新自由主義の中の過酷な競争によって起こる争議を終結させ諦めさせるための「おくりびと」に変えてしまう。
さらに戦時中の「翼賛報国会」の如き「司法支援センター」を設立し、弁護士を体制側の道具にしようとしているのだ。そして国民は裁判員制度によって、政権の維持・支配体制の強化に動員される。
この制度は2004年の国会で全会一致で可決した。共産党も社民党も賛成していたのである。高山弁護士のもとには、「なんで日本共産党は反対しないのか」という支持者からの相談が寄せられたという。最近になってやっとのこと国会議員らも重い腰を上げつつあるようだ。以上は「前進」3月23日号から引用。
■ 集会後、銀座デモがスタートした。日比谷公園から山手線と首都高をくぐって銀座に出て、数寄屋橋交差点、東京駅前を通過して常盤橋公園で流れ解散する定番コース。雨の銀座の街に「裁判員制度絶対反対!」のシュプレヒコールが響いた。
例によって公安らしき輩もいたが、ポリの数は意外と少なかった。物々しい装備の機動隊もいなかった。カメラを出したり引っ込めたりしてるうちに全身びしょ濡れ。蛭子先生のイラスト入りのプラカードもグシャグシャになっちゃった。
解散地点で、同行させてもらった某ユニオンのみなさんと団結ガンバローを叫んで退散。夜勤明けなんで少々しんどかったでw
◇ 裁判員制度:弁護士や有識者らが反対集会−−東京・千代田区 (魚拓)
◇ 裁判員制度の反対派が集会 1850人が参加 (魚拓)
◇ 写真速報 「現代版赤紙」裁判員制度実施を阻止しよう!集会とデモ
◇ 裁判員凍結法案 今国会に提出へ 超党派議連 (魚拓)
※ 呼びかけ人の池内ひろ美氏とは、例の炎上騒ぎのアノ人である(件のブログは閉鎖済、こちらを参照)。言うまでもなく彼女への脅迫は許されるものではないが、原因となったコラムにも非常に憤りを感じている。女性3人(評論家の自分と、会社経営者、医者)で飲んでいたら、トヨタの期間工たちが話しかけてきた、という例のアレだ。このシチュエーションだけでも「上から目線」が丸出しだけど、徹頭徹尾資本家を擁護する論調で吐きそうですわよ。俺は日共とは違うから気に食わない人物が出ててもちゃんと報告するぞ(笑)
飲み屋で絡まれた怒りにまかせて「連中に年収300万円も払っているトヨタは偉い」と書いちゃった、というだけならまだ許せる。どうせネタだと思うけど。オバさんたちが飲んでいるところに声をかけてくる若い男がいるか?
彼女によると、期間工は金を稼ぐだけが目的で(どんな人間でも働くのは金が目的だと思うが?)、長く勤め続ける根性は無く(ってゆうか正社員として雇ってくれないんですが?)、そんな人間でも雇ってる企業は偉いんだってさ。期間工の正社員登用もあるとか書いてあるが、フツーは期間が延長されるか切られるかのどっちかだ。
それに、企業は減産に備えて期間工を雇う必要がある、それが「正社員の安定雇用につながる」んだとさ。裁判員制度を推進しようとする側の論理そのものではないか!
一番許せないのが最後の数行。その夜、彼女が宿泊しているホテルではデンソーのパーティーが行われていたので、ロビーにはトヨタの重役らしき人物が行き交っていたんだと。
「あなた方が努力して築き上げてきた企業文化を若者に引き継ぐことができますよう、一人でも多くの若者が引き受ける気概を持つことができますよう、心の中で手を合せた。」企業を築いてきたのは経営者じゃなくて労働者じゃねえか。経営者は、不当な雇用を行うことによって、その「企業文化」を破壊してるじゃんか。こんなことをほざく人物が裁判員制度反対とは笑わせてくれる。あんまり過激になると訴えられかねないからセーブしなきゃねw
つーか、運動の足を引っ張りたくないんであんまりこういうこと(池内氏が裁判員制度反対運動に関わっているのを批判すること)はほどほどにしとくか。どんな経歴があろうとも、目標を共にするなら受け入れる姿勢なんだろう。日共みたいに狭量じゃないってことだね。