2009年06月03日

日豪FTAで日本壊滅!

 2007年より日豪政府間でFTA(自由貿易協定)の交渉が行われているが、もしもこれが成立すれば日本の農業は壊滅し、現在でさえわずか39%の日本の食料自給率は「限りなくゼロに近づき」、国家の「安全保障上」重大な危機が訪れるという。月刊誌「世界」の1年前(08年5月号)の特集記事「日豪FTAで日本農業は壊滅する」(東大大学院・鈴木宣弘教授)より引用。(別に「世界」なんて難しい本を定期購読しているわけじゃなく、たまたま見つけただけです!)

 物価が国によって恐ろしく違うのも、国内で生産した野菜より海の向こうの国から重油で動く船で運ばれた野菜の方が値段が安いのも、俺みたいなお金に縁の薄い衆生には摩訶不思議だが、これが「資本主義」ってゆうカラクリなんだろうね。そもそも消費者は1円でも安い方を選ぶのは当たり前、国内の農業を守ることを考えなきゃならんと思うんだが。
 日本の食料自給率が低下した一因に、農作物への関税の低さがあるだろう。
 日本の平均関税率は12%だが、
 EUは20%、タイは35%、アルゼンチンは33%である。
 このように各国とも自国の農業を守っているのだ。日本の場合、「(米、乳製品などの)最重要品目を除けば相当に低く」、野菜はわずか3%だという。「日本ほど開放された食料市場は他にはない」のだ。このような状況にあるのに、さらに日本政府はオーストアリア産農作物への関税を撤廃しようとするのだ。
 FTA(Free Trade Agreement)とは、二国間以上の自由貿易協定、つまり関税を原則ゼロにしようという協定である。日本の財界がこれに賛成しているのは当然だろう。関税が無くなれば貿易で稼ぐ企業にとっては天国だからな。しかしオーストラリアの農作物が関税ゼロで日本に持ち込まれれば、農業は壊滅的な打撃を受けるのは必至である。
 関税という自国の産業を守る最低限の規制が撤廃されれば、日本の農業がオーストラリア農業との競争に勝てるわけがない。オーストラリアの農業は生産力というか生産コストに於いて圧倒的に勝っている。
 「日本の農家一戸あたり耕地面積は1.8ヘクタール」だが、鈴木教授が訪れたオーストラリア西部の穀倉地帯の農家では、
 「5800ヘクタールの麦と豆類の輪作を2.5人程度の労働力で経営していた。
 それでも「地域の平均より少し大きい程度」だというのである。日本とオーストラリアでは人件費も諸経費も違いすぎる。同じ条件で争って勝てるわけがない。しかも日豪FTAは「日本にとって最も基礎的食料で、かつ海外との直接競争が困難として高関税を残している重要品目」・・・つまり牛肉、乳製品、麦、砂糖、米などを脅かすのである。オーストラリアから日本へ輸出する主要な農産物であるこれらの品目を加えないとFTAのカバー率が5割に達しないので、「それらを例外扱いすることが極めて困難」だという。

 しかも問題なのは、日本とオーストラリアでFTAを結べば「仲間外れ」にされた他の国々が黙っていない。日米FTA、「日・EU」FTAもあり得るということだ。これらについても財界は諸手を挙げて賛成するだろう。というか乗り遅れちゃイカン、とせかすだろうね。たとえば政府間合意が成立した米韓FTAが成立すれば韓国の自動車・電化製品は関税ゼロでアメリカに輸出されることになり、日本の企業にとっては非常に不利になる・・・という理屈だ。
 エネルギー供給のための天然資源の確保にFTAは有効である、という論理もあるが、オーストラリアやアメリカにとって重要な取引先は日本ではなく中国であることを忘れてはいけない。鈴木教授が現地で「オーストラリア経済の持続的発展にとって最も重要なアジアの国はどこだ」というアンケートを行ったところ、15人中13人が中国にマルを付けた。単独で日本を選んだのはわずか一人だった。「中国よりも高く買うなら別だが」、FTAを結べば「鉄鉱石や石炭を優先的に日本に回してくれるというのは甘い見通し」である。

 エネルギー供給を輸入に頼らざるを得ないのは日本だけではないが、各国ともガス田の開発、太陽光発電、地熱発電・・・などいろいろと工夫しているようだ。原発頼みの日本と違ってね。また中東で大戦争が起こったせいで国中パニック、なって事態は避けなければならないからな。
 鈴木教授は、各国が「エネルギー自給率の向上がナショナル・セキュリティに不可欠」だとしているのは「いわんや食料自給率においてをや」だと、指摘する。エネルギーだって自給したいのは当たり前だが、食糧自給は言うまでも無いことである。国家として基本的なことである。日本はこの国家の基本をおろそかにしているのである。
 FTAを結んで緊密な経済関係が成立すれば、国内の食糧生産が縮小しても、オーストラリアや中国から輸入すればいい、という暴論もあるが全くお話にならない。深刻な経済危機や天候不順による不作の際、自国民への食料供給を差し置いて他国に輸出する馬鹿な国がどこにあるだろうか?
 だいたい、食糧供給を自国で賄うのは当たり前である。常識である。アメリカの食糧自給率は100%を大きく越えているが、ブッシュの野郎が日本を皮肉るようなことを述べたという。
 「食糧自給できない国を想像できるか。それは国際的圧力と危険に晒されている国だ」(Can you imagine a country that was unable to grow enough food to feed the people? It would be a nation that would be subject to international pressure. It would be a nation at risk)
 ブッシュが言うように日本は常に「国際的圧力と危険に晒されている国」であり、さらにその「圧力と危険」を自ら強めようとしているのだ。

 日豪FTAは現在も交渉中であるが、農業が衰退したのは昨日今日の話ではない。国内の安い労働力を使った工業製品を世界中に輸出し、その見返りとして農産物の輸入を受け入れてきたのが戦後日本の歴史である。
 こうして日本が得たものは何だろうか。たしかに表面上は豊かになったように見える。しかし企業は人件費削減と減産時の人員調整に備えるため非正規雇用労働者を増やし、外国人労働者を「研修」「実習」という名目で搾取し、あるいは生産の拠点を海外に移し国内の工場を閉鎖している。正社員さえもいつ解雇されるか知れないご時世である。さらに食料自給率の低下という、国民にとっての最大の危機に直面している。このように日本政府と資本家が国民を騙しつつ、瀬戸際に追い込んだのである。
 今からじゃ何やっても遅いかもしれんが、39%という食料自給率をこれ以上下げないために、少しでも改善するために、農業の復興を最優先課題として取り組むのが施政者の義務だと思う。てゆうか自動車作ってもテレビ作っても何しても売れない時代だからいい加減目覚めてほしいな。

【関連】
◇ An EPA-FTA with Australia - オーストラリアとのEPA-FTA
◇ 日豪の協力関係 - オーストラリアとのEPA-FTA
◇ 日本・オーストラリアEPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)交渉に対する請願書(埼玉県久喜市)
◇ 日本とオーストラリアとの二国間自由貿易協定(FTA)に反対する意見書(広島県庄原市)
◇ 自由貿易協定で農業に危機【八重山毎日新聞オンライン】
◇ 経産省、環太平洋FTA「準備整っていない」 (魚拓)
◇ 豪韓FTA交渉始まる 両閣僚が意見交換 (魚拓)


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posted by 鷹嘴 at 23:00| Comment(0) | TrackBack(1) | 食べ物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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