2006年02月12日

売れ残り 溜まる一方 クジラ肉

(問答有用より転載)
この国の一部の漁業関係者は水産庁の後押しを受けて「調査捕鯨」という名目の商業捕鯨を行っていますが、近年の捕鯨量増加に伴い、在庫も増加しているそうです。
朝日新聞
北陸中日新聞
要するに捕鯨量を増やしてみたものの、売れ残りの在庫の山を抱えてしまっているのです。(しかし、水産庁が販売促進を公言しているということは、つまり「調査捕鯨」とは名ばかりの商業捕鯨に他ならないことを自ら告白したことになりますね。頭の程度が窺われますw)
まあ多種多様な食品が溢れているこのような飽食の国に於いて、クジラの肉が売れ残るのは当然でしょう。
それに冷凍庫で保存するのも電気代を払っていれば済むことではなく、しっかりと点検・保守を行わなくてはなりません。一晩放置していたら中身がすっかり溶けていた、という事故も起こりかねません。(たとえば電気系について言えば、いつなんどきMCCBがトリップしたりサーマルが動作するか分かったものではありません。電気を信用したら痛い目に遭いますw)
クジラだって自分の肉が売れ残ったままならば心残りで成仏できませんよね?いっそのこと100g100円程度で在庫処分して欲しいものです(笑)
そもそも捕鯨を推進する漁業関係者や巷の捕鯨賛成論者が、本気でクジラの肉を喰いたい、広範な国民に喰わせたいと願っているとは思えません。
韓国の領有する獨島は「実は日本のものだ」という主張や、日本の主張する境界線の5kmも外側での海底ガス油田開発への反発などは、本気で獨島を「奪還」したい、春暁ガス田の資源を「守りたい」と望むものではなく、実態は中国・韓国憎しの浅はかなナショナリズムに過ぎないように、
「調査捕鯨」を継続し商業捕鯨再開するべきだという論も、その動機は国家のメンツの為に捕鯨を行うこと自体にあると考えます。
ちなみに2月11日朝日12面によると、イギリスのタイムズは「日本人は鯨肉をペットフードとして犬に食わせている」という刺激的なキャプションとともに「日本人の鯨肉嗜好が減退する中で、日本政府が消費維持を狙ってキャンペーンに乗り出した」と報じたそうです。
仮にクジラ肉の在庫をドッグフードとして売り出しても(笑)、捌ききれるものではないでしょう。「調査捕鯨」などという恥知らずな行為は即刻中止していただきたいものです。


* * * * * * * * * * * *

余談ですが、昨年末私は日本の捕鯨船乗組員による暴力行為をTBSテレビで見て、「グリーンピースのメンバーを溺れさせようとする日本の捕鯨船」という投稿を行ないましたが、率直に申し上げて有意義なレスは頂けませんでした。
「思想を共有しない者」への暴力を賛美するtpkn氏の発言は半ば冗談だったようですが、私の投稿はあの暴力行為のみの言及だったにも拘らず航行上の問題を長々と述べる冬西氏の発言は全く論点を外していました。
しかし、両氏による「航行妨害、不法侵入」という指摘や、船員の行為を問題視した私の発言は、暴力を受けることも恐れず、違法行為になりかねないことも恐れず抗議活動を続けるグリーンピースのメンバーにとっては片腹痛いものでしょう。場合によっては拘束されることも、自らの命を危険に晒すことも、あるいは捕鯨船の安全を妨げることも全て承知の上で、捕鯨を阻止しようという使命感が彼らにはあるのです。「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」ですね。
「燕雀」の一人である私としては、何か少しでも協力したいと考え、サポーターに加入することにしました。年間6千円という微々たる金額ですが、この輪が広がり日本の「調査捕鯨」を中止に追い込むことに繋がれば幸いです。

(以上、問答有用より転載。ついでにニュースをコピペ)
鯨肉の在庫、調査捕鯨拡大で増加 水産庁が消費拡大に
2006年02月10日23時32分
 鯨肉の国内在庫が急増している。調査捕鯨の頭数を拡大して供給が増加する一方で、消費が伸び悩んでいるためだ。反捕鯨国から調査捕鯨の撤廃・縮小を求められるきっかけになりかねないだけに、水産庁は「鯨肉を食べたい消費者は多い。売り方を改善すれば在庫はすぐにはけるはず」と、鯨肉の消費拡大に乗り出した。
 調査捕鯨は、水産庁から委託を受けた日本鯨類研究所が87年から始めた。捕獲した鯨肉は販売され、その収益が調査費用に充てられている。
 農水省の統計によると、05年末の鯨肉の在庫量は3511トン。98年には600トン台まで落ち込んだが、その後、北西太平洋での調査捕鯨を拡大したことなどから05年8月末の在庫量は4800トンまで増加。05年度からは南極海での捕鯨頭数も大幅に増やす計画で、在庫はさらに積み上がる公算が大きい。
 水産庁によると、鯨肉の供給量はほかの水産物に比べると少ないため、まとまった量の食品しか扱わない大手スーパーで売りにくいという。「中小や零細の業者に流通経路が限られてきたことが消費が増えない理由」(遠洋課)との反省から、今後は新たな販路開拓に力を入れ、鯨肉価格の値下げも進める。

鯨肉10年で在庫倍増 調査捕鯨増え供給過剰
 日本による調査捕鯨の副産物として売られる鯨肉の国内在庫が増加傾向にあり、十年前に比べほぼ倍になっていることが民間の調査で明らかになった。調査捕鯨の規模拡大で供給量が増える一方、消費が増えていないことが、肉のだぶつきの背景にある。政府は今季から南極海の捕鯨を大幅に拡大しており、今後、さらに在庫の急増が予想される。
 水産庁もこの事実を認め、販路拡大方策の検討を始めた。だが、調査捕鯨には「科学に名を借りた商業捕鯨だ」との声が根強く、反捕鯨団体などからは「鯨肉の消費をあおる行為だ」との批判が出ている。
 調査をしたのはフリージャーナリストの佐久間淳子さんら。農林水産省のデータなどを分析し、在庫量の変化を調べた。
 一九九五年前後は千−二千五百トン前後で推移し、ほぼ変化がなかった各月末の在庫量は、九八年三月の六百七十三トンを底に増加に転じた。二〇〇四年以降は増加傾向が強まり、〇五年八月末には四千八百トンを超えた。
 日本の調査捕鯨は二〇〇〇年以降、毎年のように対象種や捕獲数を増やしている。その一方で主要な消費地が限られていることなどから消費が拡大せず、供給過剰になっているらしい。
 佐久間さんは「若い世代や主婦を中心に鯨肉離れが進んでいるのだろう。日本は昨年、ナガスクジラやザトウクジラなどの大型鯨を調査捕鯨の対象とすることを決めたが、今後、消費量が極端に増えない限り、在庫は急増するだろう」と話す。
 水産庁遠洋課は「指摘された傾向は事実だ。今後、販売先の拡大など、販売方法の改革を検討する」としている。
 調査捕鯨の肉は販売することが認められており、日本政府は収益を調査費用に充てている。

・・・グリーンピースも資金難のようなので、少しでも支援の輪が広がって欲しい。
 【シドニー20日共同】
日本の調査捕鯨に反対する国際環境保護団体グリーンピースは20日、南極海で行ってきた日本の調査船団への抗議行動を同日で中止し、今後は捕鯨中止の活動を消費者などに呼び掛けていくとの声明を発表した。
 抗議船の燃料不足などが理由。グリーンピースは昨年12月から抗議船2隻で、南極海で調査捕鯨を行っている日本の調査船団を追跡。捕鯨阻止の抗議行動を続け、双方の船が衝突する騒ぎも起きていた。
 声明によると、2隻の抗議船は南アフリカのケープタウンに向かう。
posted by 鷹嘴 at 01:59| Comment(5) | TrackBack(1) | 食べ物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
 調査捕鯨は、国際捕鯨取締条約に則って行なわれるものです。
>販売促進を公言しているということは、つまり
>「調査捕鯨」とは名ばかりの商業捕鯨に他なら
>ないことを自ら告白したことになりますね。頭>の程度が窺われますw

 条約に反した商業捕鯨が行なわれていると主張するならば、捕獲されたクジラが研究に使用されていない、という証拠を示してください。
 本条約第8条によれば、「捕獲した鯨は、実行可能な限り加工し・・・なければならない」とあり、捕獲したクジラのうち、研究に使用しない部分を無駄にすることは、国際法違反です。無駄にできない以上、食用などにすることは止むを得ないことであり、「クジラを一切食用にせずに調査捕鯨をする」ような不可能なことを義務づけることはできません。

>場合によっては拘束されることも、自らの命を
>危険に晒すことも、あるいは捕鯨船の安全を妨
>げることも全て承知の上で、捕鯨を阻止しよう
>という使命感が彼らにはあるのです。「燕雀い
>ずくんぞ鴻鵠の志を知らんや」ですね。

 それはつまり、クジラを守るという「崇高な」目的のためには、例え違法な手段であっても正当化される、ということでしょうか。ならば、売国奴を征するという目的のためなら、銃弾を送りつけて脅迫するような違法な手段も正当化される、と考えている一部の右翼団体と何も違いません。

 クジラのとり過ぎが、クジラの生態系に害を与えているならば、とり過ぎは禁止されなければなりません。しかし、「とり過ぎでない程度に」クジラを捕獲することさえも禁止せねばならない理由を、環境保護団体や捕鯨反対派は示したことがあるでしょうか。「クジラは尊い」「クジラを食べるのは野蛮だ」等といった感情にまかせた反対は、彼らも生き物を食べて生きている以上、説得力のかけらもありません。自分とは異なる食文化を持つ民族の行為を「野蛮だ」などと言うこと自体がよっぽど野蛮なのではないでしょうか。
Posted by NISSHA at 2006年02月13日 03:09
商業捕鯨ではない調査捕鯨での鯨肉は高くなって当然です。鯨肉は調査した上での余剰物なのですから。
(海域の目視調査をしなければいけないから一定量獲ったらとっとと日本に帰るなんてことはできません、調査は継続します)
商業捕鯨が再開できないから鯨肉は高くなってしまうのに高いから売れないと騒ぎ立てるのは「マッチポンプ」ではないですかね?
Posted by 名無しさん at 2006年02月14日 08:16
遅レスですいません。

>> 販売促進を公言しているということは、つまり「調査捕鯨」とは名ばかりの商業捕鯨に他ならないことを自ら告白したことになりますね。
> 条約に反した商業捕鯨が行なわれていると主張するならば、捕獲されたクジラが研究に使用されていない、という証拠を示してください。

グリーンピースのサイトによると、日本の捕鯨船からクジラの内臓らしきものが不法に投棄され、また船内で販売用に加工されているそうです。
http://www.greenpeace.or.jp/campaign/oceans/yil/the-expedition/southern_ocean
もっとも単なる見間違いかもしれませんが、
それはともかく、4年ほど前にもこのようなニュースがあったそうです。

2002年4月22日 朝日新聞
今や「珍味」売れ残りも
http://www.safetyfirst.gr.jp/newspaper/asahi2002apr22.html

しかし「日本鯨類研究所」によると、「2005年11月8日〜2006年4月中旬」に予定されている調査捕鯨での目標捕鯨頭数は、
「クロミンククジラ 850頭±10%」
「ナガスクジラ    10頭」
http://www.icrwhale.org/02-A-45.htm
ということです。
大量の売れ残りを抱えながらも、尚も捕鯨数を増やすということは、これの本質的は、クジラを食品として日本に定着させることが目的の「商業捕鯨」であると思います(もっとも、純粋な意味での「商業」とはかけ離れたものがありますが)。そもそも調査のために850頭も捕獲する必要があるのでしょうか?

ちなみに「平成15年度食料需給表(確定値)」によると、クジラ肉の年間国内消費量は4千トンです(平成16年度概算値も同じ)。
http://www.kanbou.maff.go.jp/www/fbs/fbs-top.htm
昨年度の在庫量とほぼ等しい程度の消費量しかないのです。しかし、売れる見込みのないのにさらに捕鯨頭数を増やすということは、無益な殺生に他なりません。

> それはつまり、クジラを守るという「崇高な」目的のためには、例え違法な手段であっても正当化される、ということでしょうか。ならば、売国奴を征するという目的のためなら、銃弾を送りつけて脅迫するような違法な手段も正当化される、と考えている一部の右翼団体と何も違いません。

グリーンピースはテロリストではありません。しかし、もしグリーンピースのメンバーが、本日このブログにコピペしたような小動物虐待を目にしたら制止しようとするでしょう。どうしても聞き入れなければ殴り倒すかもしれません。そんなことをすれば自分も暴行罪で起訴されるのは承知の上で。
同じように日本の調査捕鯨という無益な殺生に対しても、法に触れることを恐れず阻止したい覚悟はあるようです。
Posted by ノンポリ at 2006年02月17日 18:36
 すでに古くなってしまった記事にレスをつけるのは恐縮ですが…

>そもそも調査のために850頭も捕獲する必要があるのでしょうか?

 私も専門家ではないので、調査のために何頭程度の捕獲が必要なのか、といった具体的な数値については、水産庁の公表している数値に従います。

>売れる見込みのないのにさらに捕鯨頭数を増やすということは、
>無益な殺生に他なりません。

 売れ残ってしまう(場合によっては無駄になってしまう)鯨肉があるのは残念なことですが、限られた鯨肉を国内の業者に均等に配分するため、政府による分配が行なわれているようで、その結果、鯨肉に対する需要に比べて供給量が上回っていても、市場原理による値下がりが起こりにくいようです。
 調査捕鯨については国際的な了承があること、調査捕鯨で発生した鯨肉は無駄にしてはいけないこと等については、前述しましたが、政府としても鯨肉が無駄になりそうな状態を看過しているわけではなく、学校給食に鯨料理を復活させるなどの取り組みも行なわれています。「クジラを食品として日本に定着させることが目的」なのではなく、条約を誠実に履行するためにやむを得ず、鯨の消費を喚起しているのが現状といったところでしょう。

続く
Posted by NISSHA at 2006年02月24日 22:38
>グリーンピースはテロリストではありません。
>しかし、もしグリーンピースのメンバーが、本
>日このブログにコピペしたような小動物虐待を
>目にしたら制止しようとするでしょう。どうし
>ても聞き入れなければ殴り倒すかもしれませ
>ん。そんなことをすれば自分も暴行罪で起訴さ
>れるのは承知の上で。
>同じように日本の調査捕鯨という無益な殺生に
>対しても、法に触れることを恐れず阻止したい
>覚悟はあるようです。

 この点については、他所でも議論が行なわれていたようですが、そちらで反論をなさっている方の主張にはいささか瑕疵があるようなので、僭越ながら私の持論を述べさせていただきます。

 私は、グリーンピースをはじめとする環境保護団体が主張する、環境の保護は、人類にとって普遍の利益となることですから、それを主張することについては何らの異論もありません。しかし、彼らの活動が、そのような善い目的を有していたとしても、暴力的な手段、特に、公海上における船舶の妨害のような国際法に違反する行為を伴って行なわれた場合、正当化し得ないと考えます。少なくとも、調査捕鯨が国際的なコンセンサスの上で行われる、国際法上合法な行為であるのに対し、それへの抗議活動が、国際法上違法な行為を伴って行なわれているとしたら、どちらが説得力を有するか、ということは火を見るより明らかでしょう。
 目的は違えど、国際法上違法である、という点に関しては、テロリストも件のグリーンピースの活動も同じであります。グリーンピースの活動が、全て国際法に反するかといえば全くそんなことは無いわけですが、テロと同類の活動を行ったという点に関して、グリーンピース全体が「胡散臭い」団体であると見られる可能性もあります。その結果、環境保護という崇高な目的で行なわれている活動全てが、説得力を欠くものになってしまっては、元も子もないでしょう。
 ですから、私は件のグリーンピースの活動について批判するのです。決して、「自然保護などどうでもいい」などと思っているわけではありませんので、そこら辺をご理解いただければ、と思います。

 長文失礼いたしました。
Posted by NISSHA at 2006年02月24日 22:53
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[環境論]捕鯨問題
Excerpt: どのカテゴリーに付けるべきか悩んだが、一応環境論へ。   やっぱり出たか、と云う記事。 「調査捕鯨の過剰で鯨肉在庫10年で倍増」 http://www.nikkansports.com/ns/gene..
Weblog: シートン俗物記
Tracked: 2006-02-28 18:03