10月30日東京地裁429号法廷にて、「4・24法大集会弾圧裁判」第2回公判を傍聴した。10月7日の第一回公判では被告の恩田さんと富山(とみやま)さんが退廷させられたというのでさぞかし裁判長の横暴が激しいと思いきや、傍聴人3名の退廷させられたものの映画「バーダー・マインホフ」の裁判シーンのような、というか学生集会のような雰囲気に包まれていた。
■ 被告は建造物侵入罪及び威力業務妨害罪の容疑で起訴された法大生の斎藤さん、恩田さん、増井さん、倉岡さん、内海さん、京大生の冨山(とみやま)さんの6人。このうち恩田さん、増井さん、内海さんは「暴力行為等処罰法」の容疑でも起訴されている。
被告らは法大生であるにもかかわらず停学処分中のため入構を禁じられていたが、今年4月24日の集会で法大の構内に立ち入った行為が建造物侵入罪及び威力業務妨害である、として起訴された。だいたい停学処分中の学生の入構を禁じるなど、というか学生証の提示がなければ入構できないなど全く馬鹿げている。そもそもこの停学処分こそ不当だ。生徒を警察権力に売り渡したことを抗議する彼らに、報復として停学処置を課したのである。このように不当な処置を重ねる大学へ抗議する権利は認められるべきだ。それがイヤなら速やかに学生活動家への退学・停学処分を全て取り消し、国家権力への加担や警備員による暴力を謝罪し、学生たちと真摯に対話するべきだ。
「授業の妨害」が威力業務妨害罪だ、ということだが学生が授業を受ける権利を奪っているのはどっちだ?それに当日吹き抜けの1階でアジる恩田さんを見るために学生が集まって教室が空になったそうである。大学の授業より恩田さんのアジのほうがよっぽど魅力的だったのだろう。
また10月16日には久木野さんら二人の学生が「無届集会」を行ったとして逮捕・勾留されている。
■ この日は意外と傍聴希望者が少なくクジ運の悪い俺さえ当たったが、後で聞いたのだがほとんどの学生支援者は東大駒場キャンパスで街頭宣伝と11月1日集会のチラシ配布を行っていたという(不破哲三氏の講演会が行われたそうな)
法廷はいつも同じ429号法廷。他の裁判では考えられないが傍聴人は入廷前に金属探知機?で全身を調べられ、手荷物を預けた。入廷してみると相変わらず被告らの左右を体格のいい係官が取り囲み、傍聴席の周囲には何人もの警備員が立っていた。
まず弁護団が、(俺は抽選に外れたけど)10月7日第一回公判で恩田さんと富山さんが退廷させられたことを追及。恩田さんの意見陳述の中に「裁かれるべきは国家権力だ」「貴様ら裁判官を裁く」という部分を登石裁判長が「不穏当な発言」だと難癖をつけ、発言を中断させ退廷させた。さらにこれに抗議した富山さんには意見陳述さえさせずに退廷にしたのである。裁判長を指差して「貴様」と発言したわけでなく、意見陳述の中でそのような表現があっただけなのである。
内海さんは「登石は土下座しろ!」「登石を監獄に送れ!」という表現を織り交ぜつつこの不当処分に抗議した。グッジョブっす!これに対しては裁判長も恥の上塗りを避けたのか注意も処分も無かった。映画「バーダー・マインホフ」で裁判長が被告のマインホフに「今、私を豚野郎と言いましたね!」と言い、マインホフが「ああ言ったとも。このダニ野郎」と言い返すシーンを思い出してしまった!ちなみに裁判長は内海さんに対し「発言を打ち切ってください、これが最終的な警告です」を数度(笑)繰り返していたのに、「じゃあ、あと5分だけ」と折れていた。意外とこの裁判長、話せば分かる人かもね?
そして内海さんは自分たちへの弾圧を弾劾するだけでなく、口先だけで結局自民党の政策を踏襲しようとする鳩山政権を批判し、自身は参加できないが11.1全国労働者総決起集会への結集を呼びかけた。
■ 裁判長だけでなく警備員も、傍聴人が口を開いたり拍手をすると「静かにするように!」と恫喝する。また警備員は話し声が聞こえると傍聴席の間の通路を行き来するので、後ろの席にいた男性が「見えない」と抗議すると退廷させられてしまった。裁判を見るために傍聴に来たのにそれを妨害するような行為には抗議して当然ではなかろうか?この不当な処置に弁護団と被告が裁判長を厳しく追及した。富山さんは傍聴席のほうを向き、傍聴の邪魔をした警備員に激しく抗議した。
もっとも時間が経つにつれて裁判長も面倒になったらしく、被告同士の会話、傍聴人の声や拍手もあまり注意されなくなった。先に書いたが学生集会のような様相を呈していたので実に楽しかった!(というか裁判長と女性裁判官がコソコソ耳打ちしていて、こいつらデキてるんじゃねえかと思ったw)行儀が悪い、と思う向きもあるかと思うがこのような裁判を受けなくてはならないこと自体が、起訴されたこと自体がナンセンスである!前に書いたが(誰が言ったか忘れたけど)傍聴人も被告と共に法廷で闘わなくてはならない。これが実践されたのだ。俺は連行されたくないんで大げさな顔の表情で参戦したけどよ・・・
■ 弁護団からは、停学中の学生の入構を禁止するのは憲法23条違反であり、裁量権の濫用であると指摘した(中島さんが無罪となった判決でもこれに言及している)。さらに東大ポポロ事件を例にとり、法大生による大学への抗議活動は、学問の自由が侵害されている違法状態を元に戻すための抗議行動であるから正当であると主張した。
そして、容疑の内容を検察が明らかにできないこの事件は公訴棄却するべきだと主張した。つまり検察側の書面には、誰と誰が何をやったのか書かれず、実行者の名前も書かれず、「・・・など」という表現でお茶を濁しているという。そもそも彼らは何も分からない、知らないのである。知らないのに起訴したのである。恩田さんが吹き抜けでアジっていたことぐらいは把握しているようだが、他の斎藤さん、増井さん、倉岡さん、内海さん、冨山さんがその時どこで何をしていたか分からないのである。その場にいたわけでもないのに知っているわけがない。
それに起訴されたメンバーは全学連&法大文化連盟の活動の中心的人物だ。運動を潰すために彼らを起訴したのである。こういう裁判なわけだ。これを政治的弾圧と言わずしてなんと言おう?(ついでに言うと当日警察は拡声器で恩田さんに向かって「そこのオールバックでサングラスの男性・・・」と怒鳴っていたという。サングラスは恩田さんのトレードマークだが、しかしその日はサングラスをかけていなかったのである。狙い撃ちされたわけだ)
この点についてさすがに裁判長も追及したが、検事らは黙りこくったまま。(ちなみに検事の早口でワヤワヤワヤ・・・とした口調は裁判長からも「語尾が不明瞭なのではっきり喋ってください」と注意されていた)
しばらく沈黙が続いたが、裁判長が「では書面に記してください」と助け舟を出し、一週間後書面を出すことになった。公訴棄却については保留、とのこと。この場で公訴棄却を決定するべきではなかろうか?
■ また裁判長は「共謀」について「現場共謀」なのか「事前共謀」なのかで情状の点で変わってくるので明らかにするように、と要求した。検察側は被告の行動に計画性があった、なぜなら全学連・中核派が4月24日に集会を行う旨のビラを配布していたから・・・と述べた。しかし俺もこの日のビラは貰ったけど(当日仕事で行けなかったが)、「校舎の吹き抜けでアジります!」などということは一言も書いていなかったが?あまりに杜撰すぎて言葉も無い。
また、具体的に誰が何を計画したのか、それを誰が実行したのかについて今後立証する、とのことだが、何をどう「立証」できるというのか?冒頭陳述で容疑を立証すると述べていたことは忘れたのか?
ここで倉岡さんが、「検察は一週間待ってくれというけど、私たちは約半年拘束されているんだ、一週間も待てない」と発言。全くその通りである、この場で被告ら一人一人の容疑を明らかにできないのなら速やかにこんな馬鹿げた裁判は取りやめ、釈放するべきだ。
■ 次回公判は11月13日、同じ429号法廷で行われる。また「暴処法」で起訴された恩田さん、増井さん、織田さん、内海さん、新井さんの第3回公判は11月4日。この事件は学生らが大学の看板を破壊したという容疑だが、この件も「暗くて何人いたのかも、顔もわからない」、要するに誰がやったのか分からないまま逮捕・起訴した弾圧である。
そもそも、破壊された看板には何が書いてあったのか?退学処分にされた増井さんの入構の禁じる文言である。増井さんは学費支払いが遅延したことを口実に退学にされ、復籍願いも拒否された。法大は学費未払いで退学となった学生に対してこういう仕打ちをする方針なのか?このような侮辱行為自体が絶対に許されないことだ。
今回の公判で数名の弾圧被害者から、(本人は参加できないが)11月1日の集会への結集をアピールする発言があった。この腐りきった社会をぶっ壊して再生するために、弾圧被害者を救援するために、 11.1全国労働者総決起集会に1万人の結集を!
2009年10月30日
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八ッ場ダム報道における産経の記事
Excerpt: 産経が4回にわたり【検証・八ツ場ダム】という記事を書いている。 この記事には、そもそも重大な欠陥がある。 それは、何かというと八ツ場の建設の基準をカスリーン台風をベースにしているのであるが、カスリーン..
Weblog: 雑感
Tracked: 2009-11-01 22:02
配給会社が倒産したとかで、関西での上映は中止になってしまいました(神戸の方で上映予定だったんですが・・)。どこかDVD化してくれないかなあ。
■恩田君ら、もう半年以上ですか・・長いですな。あの程度の事件(と、あえて言わせて頂こう。つ〜か、そもそも事件なのだろうか?)でいつまで放り込んどく心算なのか。とっとと無罪判決出しやがれ!
先日、某所で中核派全学連の情宣に出くわしたので、小額カンパしときましたよ。中核は支持しませんが、文連支持だし、中核派も含む法政弾圧は許せませんからね。
学生諸君は元気でしたか?
学生の皆さんですが、
富山さん、内海さん、斉藤さん、とっても元気でした。特に倉岡さんが血色も良くて元気でした。傍聴席の方を向いてる時間も多かったです(笑)
恩田さん、斉藤さんはちょっとおとなしかったな。
某所でも書いたことですが、日本の映画人には是非とも『実録・東アジア反日武装戦線〜虹の彼方に』を作ってほしい!
■そうですか、学生諸君は元気でしたか。彼らのような闘い方で半年以上ぶち込まれるなんて、7〜80年代なら(法政の場合は〜90年代まで?)あり得ない話ですからね。いやそれにしても実に頼もしい青年たちです。
倉岡さんに関しては全学連副委員長ですから、頑張ってもらわんとね。スッとした美人になって出てきたりしてww・・あっ!ももも、もしかして、これってセクハラ発言だろうか?倉岡さんゴメンナサイ(ペコリ)。
■既にご存知かもしれませんが、下記の法政の写真。やっぱ法政はこうでなきゃ!
http://www.sairyusha.co.jp/お知らせ/今度、弊社から刊行予定の書籍に使用予定の写真.html
■では、また。
恩田さん、斉藤さんも元気でした。
公安刑事が証人として呼ばれましたが、恩田さんの取調べ中に「お前は簀巻きにして海に放り込まれるぞ」と脅した「かんのたけし」という警部補も来たので、恩田さんが「僕はいつ簀巻きにされて海に放り出されるんですか?」と突っ込んでました。
他にも実況見分調書のおかしい点、公安のふざけた捜査方法などを、弁護団と被告が厳しく追及し、実に痛快でした!
> 下記の法政の写真
これはカッコイイですね〜これが法大の本来あるべき姿だと思います(笑)