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ついでにこっちも「タイムスタンプ」って電安法よりヤバイ!
まずは経済産業省のサイトから引用。
1999年に「電気用品取締法」が「電気用品安全法」に変更され、2001年4月1日に施行されたらしい。
この法律は、「電気用品」、「特定電気用品」、「特定電気用品以外の電気用品」を対象としている。まあAC100Vの電源を必要とするほとんどの家電製品が対象であると言えるだろう。
2001年4月1日の施行以後、この法律が定める技術・安全基準に適合した電材・電化製品でなければ、販売することはできなくなった。
(この法律に適合している製品はPSEマークが表示されている。「特定電気用品以外の電気用品」に表示されるマークはこちら↓
最近製造された電化製品の裏面や底面の、製造番号や型式などを示すシールには、このマークも必ず表示されているはずである)
ただしこの法律の施行には猶予期間がある。品目ごとに2001年4月1日から5年間、7年間、10年間の猶予期間があり、その間は「電気用品安全法」の適合を受けていない製品も販売することができた。
しかし、今年3月31日に最初の猶予期間切れを迎えてしまう家電製品は、
電気カーペット、コタツ、電気ストーブ、洗濯機、乾燥機、
トースター、電子レンジ、電気ポット、
ラジオ、ラジカセ、レコードプレーヤー、
テレビ、ビデオデッキ
・・・など非常に多品目に渡っている。つまり今年の4月以降これらの製品は、PSEマークが無ければ中古品として販売することはできなくなるのである。
もちろん2001年4月1日の施行以後販売された製品にはこのマークが表示されているはずである。しかしリサイクルショップに行ってみればわかるのだが、それ以前に製造された製品(つまりPSEマークのない製品)も、立派に陳列されている。昨日訪れてみたリサイクルショップでも、前世紀(笑)に製造されたブラウン管型のテレビが何台も並んで元気に映像を流していた。
このような製品を4月以降も販売するためには「電気用品安全法」に適合していることの認可を受けるために「自主検査」を行わなくてはならない。
2 令別表第2に掲げる電気用品(注:特定電気用品以外の電気用品)について行う検査この中に「絶縁耐力」とあるが、これを保障するには「耐電圧試験」を行わなくてはならない。充電部と、ケースなどアース部分の間に、高電圧を規定時間印加し続け、絶縁が破壊されないことを実証するテストである。
電線管類及びその附属品並びにケーブル配線用スイッチボックス、ヒューズ、白熱電球、蛍光ランプ並びに装飾用電灯器具にあつては外観について、ベルトコンベア及び理髪いすにあつては外観及び絶縁耐力について、その他の令別表第2に掲げる電気用品にあつては、外観、絶縁耐力及び通電について一品ごとに技術基準において定める試験の方法又はこれと同等以上の方法により行うこと。
たとえば俺が以前勤めていた某工場のとある部署では、100Vからせいぜい200Vを使用する動力盤、補助継電器盤、現場操作盤などの組立が完了した時点で「耐圧試験」を行っていた。充電部を全て短絡させ、制御回路には1500V、主回路には2000Vを1分間印加する。
ところでシーケンサー、直流電源装置、計装品、オムロンのタイマーリレーなどの「電子応用製品」は取り外して実施していた。もちろんこれらのユニットもそれぞれの製造部署で絶縁を保障している(どのように実施していたのか知らんが)。
もしリサイクルショップが「自主検査」を実施しようとして、耐電圧試験装置を購入し(そんなものどこで売ってるのかも、いくらするのかも知らん)、家電製品に「耐圧試験」を実施しても、結局ぶっ壊しちまうのが関の山だろう。結局、古い中古品を売るのはあきらめろ、と通告するに等しいことなのである。
コンセントなど特に安全性を求められる製品以外なら、販売者自身が通電性などの検査を行い、マークを付けることもできる。だが、コストがかかる上、製造元とのトラブルの恐れもある。中古業者らは「現実的でない」と口をそろえる。(2/18朝日より引用。ちなみにコンセントは「特定電気用品」に該当し、猶予期間満了は2011年。「特定電気用品」にPSEマークを付けるには「国に登録された検査機関による適合性検査」を受けなければならない)
もっとも石橋楽器という店は本気で取り組むようだが。
楽器販売大手で中古楽器も扱う石橋楽器(東京)は経産省の「指導」に従い、中古品にPSEマークを付けて販売するため、製造事業者の申請を同省に出した。「電気主任技術者」などの国家資格を持つ社員を検査部門に充て、新たに数人の社員を研修し、資格を取らせたいという。しかし小規模な中古品取扱店では到底無理な話であり、廃業を決意する店も出てくるかもしれない。
それに音楽関係者に与える影響は甚大なものとなるだろう。2/19の記事に畳THEATERからTBを頂いて知ったのだが、坂本龍一、高中正義ら高名なミュージシャンが呼びかける署名運動も始まっている。
一方、この法案の抜け道を利用して販売を継続しようとする取り組みを行っているリサイクルショップもある。以下は問答有用に投稿済のものを転載。
おっちゃんさん、こんにちは。
> >要するに中古品は売るなというのと同じです。政府と大企業による、中古品はどんどん捨てさせて新製品をバシバシ買わせたいという陰謀です。
>
> PSEマークがついている製品はこれまでどおりです。
> 家電製品(それも5年以上前に購入したもの)のリサイクルのかたちが少しかわったところで、個人の消費動向にどれだけ変化がありますか?
>
> ○5年以上前に製造された家電製品を中古販売店で買った経験。
> ○5年以上前に製造された家電製品を中古販売店に売った経験。
>
> あなたの人生のなかで、このような経験が何度ありますか?ということです。
> 私の場合を書いておきますが・・・ゼロですね。
私は「家電製品を中古販売店で買った経験・売った経験」すらありません。そもそも家電製品を買い換えた経験がほとんどありません。
我が家のテレビはもう10年使っています。ホットカーペットは2台ありますが一つは1998年製造、もう一つは最近知人に譲り受けたのですが1995年製造でした。冷蔵庫と全自動洗濯機だって似たようなもんです。ステレオや、炊飯器やトースターなんてかれこれ20年です。電化製品はそんな簡単に壊れるもんじゃありません。
そりゃ使用状況・頻度・周囲の環境によっては、電線の被覆やモーター・トランスなどが徐々に劣化して絶縁も弱くなり、漏電や発火などの危険性も新製品と比較すれば増すと思います。
しかしそのよう事故に至る主な原因は、使い方の問題(埃を大量に被っていたり、水に濡らしたり)や、設計・製造時のミスなどにあると思われます。発火するような不具合のある製品は、新しかろうが古かろうが関係ありません。いつ発火するのか分かりませんよ。
ところで我が家の炊飯器とトースターは電源が入らなくなってしまったことがあります。炊飯器を分解してみたところ、内部に異常は全くなく単に電源コードの接触不良で、トースターはヒーターの接続部分が断線していただけで、どちらも簡単に修理できました(もっともトースターはあまりにも汚れてきたので私が留守のあいだに捨てられてしまいましたがw)。
両方とも古い製品ですから実にシンプルな構造です。炊飯器はヒーターで暖め炊き上がると水分が蒸発して軽くなるので底にあるバネが跳ね上がり炊飯から保温に切り換るだけ、トースターはもっと単純でヒーターとダイヤルの組み合わせだけです。
このような単純な機構の製品は壊れるのを待っていてもおいそれとは壊れてくれません。寿命は20年どころではないでしょう。要するに古い製品ほど壊れにくく、また修理も容易なのです。
しかし「電気用品安全法」で定められている猶予期間が今年三月で満了を迎えるに伴い、PSEマークのない家電製品の多くは中古品で販売することが非常に困難になります。昨日近所のリサイクルショップを覗いてみたのですが、2001年4月の「電気用品安全法」施行以前に製造されたテレビ、洗濯機なども多く陳列されていました(当然PSEマークはついてない)。
ちなみに昨日の朝日新聞の記事によりますと、「生活創庫」というリサイクルショップの「草加本店」というところでは、店内の中古家電の約9割が、4月からは販売できなくなる製品だそうです。「電気用品安全法」が中古品販売の業界に大打撃を与えることは必死です。(ところでこのショップは賢い対応策を考えたようです。後述)
それに皆さんが述べられているように、音楽関係にも大きな影響を及ぼします。2月17日の朝日新聞にて窪田晴男さんというギタリストが、「フェンダーローズやオールドニーブといった、今も製作現場で必要とされ現役バリバリの中古品が流通しなくなる」と嘆いていました。音楽関係者にとって深刻な影響をもたらすようです。
しかしおっちゃんさんは、国民大勢の生活には関係のないことだ・・・と主張するでしょう。たしかにそうかもしれません。実際中古家電は買ったことのない人の方が圧倒的でしょう。
逆に言えばよりよく生活を送る工夫を怠っているとも言えませんか?機能に不満がなければ中古品にも関心を持つべきではないでしょうか?
また、古くても十分使える製品、簡単な修理で直せる製品は中古品として流通させる仕組みがあれば、個人の出費を抑えられるだけではなく、環境保護とゴミ減量にも繋がると思います。しかし「電気用品安全法」はこれに逆行し、「家電リサイクル法」にも水を差すことになります。
その「家電リサイクル法」ですが、対象は「一般家庭で使用されている『エアコン』『テレビ(ブラウン管式)』『電気冷蔵庫・電気冷凍庫』『電気洗濯機』の4品目」だけです。それとて解体・再利用の過程でゴミが出ないわけではありません。
このままでは現状でもゴミ処分が大きな課題となっているのに、4月からはさらに大量なゴミが日本中に溢れかえることでしょう。
また38796の、
> それにしてもすでに5年も前から施行されている法律がいまごろ何で問題になるのでしょう?
> (反対運動するなら、その法律ができるときが効果的でしょう)
という発言は容認できません。「5年も前から施行されている法律」に「いまごろ」反対して何が悪いというのでしょうか?しかもこの法律の施行は十分告知されていなかったという問題があります。
中古家電、もう売れない? 電気用品安全法が猶予切れ
2006年02月18日18時08分
(抜粋)
「青天のへきれきだった」。東京・JR秋葉原駅前の秋葉原ラジオ会館で清進商会を営む小川進さん(56)は言う。店内にはベータ式のビデオデッキやオープンリール式のテープレコーダー、レコードプレーヤーなどが並び、古いオーディオの愛好家らが買いに来る。
同業者から知らされたのは1月下旬。今月に入って経済産業省に確かめた。「うちの商売はどうなる」。問いつめたが、「官報で知らせた」という答えだったという。
在庫は約500点に上る。「古い機械が好きな方を相手に誇りを持って仕事をしてきた。これでは死ねと言われたようなもの。もっと早くわかっていたら」と怒る。
「官報」なんて、どこでどうやって見ればいいんでしょうか?コマーシャルで流すか、各店に文書で通知するなどして積極的に告知する必要があったはずです。十分に知らしめることのない法「改正」は犯罪的、詐欺的であると考えます(関係ない話ですが1905年1月に日本が勝手に獨島を島根県に編入したとき、朝鮮政府への通知は翌年の3月でした)。知らなかったのが悪い、というのは権力者側が詐欺的手法を正当化させるために用いる論理です。このような論理に恥じることのないおっちゃんさんを心から軽蔑します。
最後に、権力の犬である(笑)おっちゃんさんにとっては不愉快であろうニュースがあります。
上の方の新聞記事の引用でも出てくる「生活創庫」というリサイクルのチェーン店ですが、
PSEマークの付いてない製品は売ることが出来ないため、期限を定めて貸し出すそうです。期限が過ぎればそのまま譲渡するそうです。これは何ら「電気用品安全法」に違反するものではありません。
「レンタル事業において、電気用品安全法の対象電気用品をレンタルする場合は、電気用品安全法上の販売の事業には該当しません。」
役人どもの浅知恵の裏をかくために、みんないろいろ工夫しているんです。おっちゃんさんも少しは見習うべきでしょうね♪
続いて、上の方でも引用したニュースをコピペ。
中古家電、知恵絞る 電安法、4月から本格実施
2006年02月20日
安全性が確認できない中古家電製品などの販売を禁じる電気用品安全法(電安法)が4月から広範な品目で本格実施される。目印の「PSEマーク」がない01年度以前の製品の多くは販売できなくなる。中古品やリサイクルの業界では混乱が広がっており、所管の経済産業省への問い合わせは1日150件にもなる。同省は、自主点検でマークを付けるといった回避策の普及に躍起だ。業者側にも、レンタルや輸出で切り抜ける動きが出ている。
●経産省、「抜け道」指南
PSEマークの対象は450品目。このうち4月からテレビ、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、オーディオ機器、電子楽器など259品目でマークのない商品が売れなくなる。
経産省の推計では、中古家電の市場規模は千数百億円。販売禁止は同省が進めるリサイクル政策と矛盾するという批判がある。同省は「中古家電の売買は粗大ごみの減量に貢献している」としながら「最優先は安全性」との主張は崩さない。
問い合わせに慌てた同省は今月からホームページに一問一答形式の説明を載せた。古物商を所管する警察庁や業界団体を通じて規制の趣旨を説明する文書も配り始めた。
規制の「抜け道」も指南している。経産省に問い合わせた業者は「自主検査してPSEマークを付ければ売れる。ただし事故があれば全責任を負って」と言われた。
電安法では、同省に届け出るだけで「製造事業者」になれる。資格も要らない。製造事業者は(1)商品の外観に問題がない(2)電源が入る(3)1千ボルトの通電試験で漏電しない、の3点を点検すれば中古品にも新しいPSEマークをはれる。
ただ、マーク付きの粗悪品が堂々と流通する恐れもあり、消費者保護の点で疑問もある。最近、特許庁は「他社製の中古品を自社製品として売るのは、商標法や不正競争防止法に触れかねない」と言い出した。経産省は「あらゆる事態は想定できない。業者がケースごとに自己責任で処理して」とお手上げの様子だ。
●レンタルや輸出で打開
楽器販売大手で中古楽器も扱う石橋楽器(東京)は経産省の「指導」に従い、中古品にPSEマークを付けて販売するため、製造事業者の申請を同省に出した。「電気主任技術者」などの国家資格を持つ社員を検査部門に充て、新たに数人の社員を研修し、資格を取らせたいという。
全く違う発想なのが、全国211店を展開するリサイクルショップ最大手の生活創庫(静岡県浜松市)。販売禁止になる商品在庫は約16億円分もある。だが、販売は禁止でもレンタルや無償譲渡は構わない。そこで4月から、製品の作動を保証する「価値残存年限」を明示して客に貸し出す。年限を過ぎたら、そのまま客に譲渡する。
客は残存年限分のレンタル料を前払いすれば、買うのと同様に製品を使える。途中の返却もでき、故障しても安心だ。堀之内九一郎社長は「中古品の需要に応え続けたい。逆風を追い風に変える」という。
「国内がだめなら、海外だ」というのは全国8カ所でリサイクル業者向けの中古品オークションを開催するリサイクルマスタージャパン(静岡県伊東市)。同社はアジアなど4カ国で海外現地法人の設立を準備中。早ければ07年から、国内のオークションで売れない商品を輸出する。
丸田信治社長は「同じことを考える業者は増えるだろう。粗悪な商品が輸出される恐れもある。国際問題にならないよう、経産省が目を光らせて欲しい」としている。
◆キーワード
〈電気用品安全法〉家電などの安全性を確保するため01年4月施行された。製造業者と輸入業者は出荷前に製品を検査し、PSEマークの表示義務がある。高い安全性が要求されるコンセント、コード類などは第三者機関が検査して特定電気用品用PSEマーク。法施行から販売禁止までの猶予期間が品目ごとに異なり、主要な259品目は3月末で期限が切れる。11年までに450品目すべての販売が禁止される。輸出や個人間の売買は例外。