ところで「税金を食い潰す調査捕鯨」は2008年2月2日の朝日新聞の記事からの引用だが、朝日はほかにも、大手水産会社は捕鯨に参入するつもりなんか無いことや、せっかくのクジラ肉が売れ残って大量の在庫が冷凍庫に眠っているのを指摘したことがあり、この問題については読売やサンケイよりはマシだなあ、と思っていたのだが・・・同紙の今月8日付け「天声人語」にヘンなことが書いてあった。
天声人語 2010年1月8日(金)付 (魚拓)「この大食漢だけを保護した時、生態系にどんな影響があるかは想像するしかない」
大型のクジラは、毎日5トンを超すオキアミや小魚を腹に収めるそうだ。この大食漢だけを保護した時、生態系にどんな影響があるかは想像するしかない。海のこと、知っているようで何も知らなかったと、近く公開の記録映画「オーシャンズ」で痛感した▼圧巻は、水面を跳ねながら泳ぐイルカたちだ。高速ボートで並走し、ブレない工夫を施したカメラで撮ったという。イルカが海面に追い込んだイワシの群れに、上空で待ち構えるカツオドリが次々と突っ込んでいく▼船で引く魚雷型カメラ、無人ヘリも駆使し、大小の生き物たちが活写される。漁師や船乗りもたぶん見ていない光景を前に、この役者たちと「青い劇場」を守らねばと胸に刻んだ▼陸からの汚染物は深海にまで届くという。大気中の二酸化炭素が溶け込み、海水の酸性化が進む。独自の生態系を育む南米ガラパゴス諸島では、温暖化と乱獲により、24本の腕を持つヒトデやスズメダイの仲間が絶滅したと伝えられた▼〈海は一枚の大きな紺の布だと歌った詩人もある。さしずめ波打際(なみうちぎわ)は、それを縁どる白いレースということになる〉。井上靖の作品「海」の一節に、荒れ狂う波の映像が重なる。布は鉛色に染まってうねり、白いレースが激しく岸を打つ。海は巨大な生命体のようだ▼映画の語りに「人間の英知が海を汚していく」とあった。陸の主ゆえ、また、それがあまりに力強いから、人は海の衰弱に無頓着すぎた。調査捕鯨への無法行為などは、本当の危機を見えにくくするだけだ。英知で報いる時である。
これ、「調査捕鯨」推進派の常套句だけさ、だったら日本や欧米が大規模な捕鯨を始める前はどうだったのさ。海の資源はクジラに食い荒らされてペンペン草一本生えてなかった(笑)、とでも言うのかえ?
つか推進派は「ミンククジラの数が増えすぎている、漁業に影響がある、だから捕鯨も必要だ」とかほざいているが、これ要するに、「調査捕鯨」などではなく実質は商業捕鯨であることを認めちまってるわけだが、朝日も同じ立場かね?
「映画の語りに『人間の英知が海を汚していく』とあった」
「調査捕鯨への無法行為などは、本当の危機を見えにくくするだけだ。英知で報いる時である」
その「英知」とやらが環境を破壊したと述べつつも、その「英知で報いる」とは意味不明。つか、シー・シェパードのやってることは「無法行為」であり、「調査捕鯨」はそうではないのは認めるよ。IWCから何度も何度も中止しろって言われてるけどさ。
しかし日本が今やってる「調査捕鯨」ってのは、クジラを無駄に殺し、何年やっても調査の成果など無く、売れ残りの在庫を積み上げ、税金を浪費する愚行じゃないかね?朝日の記事を読んでそう思ったんだけど。調査捕鯨の名を借りた商業捕鯨こそ、本当の危機を見えにくくするだけじゃありませんか?ま、この天声人語書いた奴が馬鹿だっただけかもしれないけどね、どっちにしろ今更朝日に期待するものはありませんな。
・・・ところで俺は、調査捕鯨は上記の理由で今すぐやめてほしいが、別に捕鯨自体が悪いとは思わん。「エコテロリスト」の呼び名が高いシー・シェパードはどう考えているのか見てみたら、こんなことが書いてあった。
「我々は、日本やノルウェーの捕鯨に抗議しているわけではないのです。シーシェパードは、国際自然保護法で定義された『違法な捕鯨活動』に反対しています」
それ、本当だな(笑)といってもカンパとかする気にはなれないけど。つか「テロは悪い」っていう単純な言い方も危険かもしれない、と最近思うんだけど。あくまで非暴力で抗議するのも、実力行使に出るのも、それぞれの運動の指向の違いじゃねえか?それに何がテロで何が合法かもコロコロ変わる世の中じゃん。もちろん俺は今後も非暴力を貫きますけどw