教科書売り込みの規制緩和 公取委、特殊指定廃止へ
2006年03月17日01時17分
公正取引委員会は16日、教科書の採択に絡んで出版社が教育委員会関係者らに行う営業活動を強く規制した「特殊指定」を廃止する方針を発表した。商習慣の範囲での贈答や接待、出版社が採択関係者に説明会を開いたりすることが大幅に自由化される見通しだ。資金力がある大手出版社が競争で有利になるなど、透明性が優先される教科書選びへの影響を懸念する声が出ている。
公取委は「規制緩和は時代の流れ」として、不正には国家公務員倫理法や刑法の贈収賄罪などが歯止めになるとしている。4月17日まで一般から意見を募った上で手続きを進める。
特殊指定は、過剰な競争がふさわしくない商品やサービスで公取委が独占禁止法に基づき行う告示で、7分野が指定されていた。公取委は競争促進の観点から昨年11月、食品缶詰・瓶詰、海運、オープン懸賞、教科書、新聞の5分野で指定廃止の検討に入った。2月末までに教科書と新聞以外は廃止や廃止方針が決まった。見直されていないのは物流と大規模小売業。
教科書の特殊指定は1956年に告示され、具体的な禁止事項を定めた運用指針で、小中高校などの教科書採択に関連して金品の供与や接待を行うことや、供与を申し出ることなどを禁じている。「教科書では特にそのような行為を排除すべきだとの考えで指定された」(公取委取引企画課)
しかし、公取委は「教科書の売り込み競争や取引実態も変化し、利益供与などで教科書採択がゆがめられる恐れは著しく減少し、特殊指定の必要性がなくなった」として、規制の簡素化の観点から廃止するという。
指定が廃止されると、通常の商習慣の範囲内で業者が教委関係者に中元や歳暮を贈ったり、出版社が教科書を紹介する研修会などを自由に開けるようになる。
教科書の出版社で作る教科書協会は「教科書は内容で選ばれるべきなのに、出版社の資金力に影響される恐れがある」と廃止に反発している。
これに対し、公取委は一定額以上の接待・贈答を規制した国家公務員倫理法や刑法の贈収賄罪なども歯止めになる、と判断しており、「決して利益供与を奨励するわけではない」と強調している。
公取委への意見は電子メール(kyoukasho-torihiki@jftc.go.jp)などで募集する。
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《教科書の特殊指定が運用基準で禁じている主な行為》
・教科書の採択を勧誘依頼するための金銭の提供
・採択関係者等の刊行物などへの過大な広告代支払い
・物品(教材や書籍なども含む)を贈ること
・宴会への招待、接待
・観劇、旅行、催し物などへの招待
・他社教科書との比較対照を公表すること
・他社教科書の内容を批判すること
これについて文部科学省は「教科書採択の現場が混乱しかねない」と反発している。
「資本力のある会社が広告や宣伝に力を入れ、中身にかかわらず採択されるような事態になれば、小さな会社は生き残れない。多様な教科書が発行されなければ、質が低下しかねない」(「文科省幹部」の発言)
たしかに、東京書籍のような大手の寡占が進み、日本書籍新社がさらに採択数を減らしてしまうことになるかもしれない。
崩壊寸前の「つくる会」にとってもより厳しい状況になると思われ。もっとも3年後は消滅してるかもしれんがねw


