11月7日、日比谷公園野外大音楽堂にて「全国労働者総決起集会」&デモが行われた。俺は3度目の参加。非常に遅くなってみっともないが当日の感想を書き留めておく。
■ 例年通り昼12時からスタート、開会挨拶は呼びかけ団体である全国金属機械労働組合・港合同の中村吉政副委員長。まず今年3月逝去した動労千葉の中野洋顧問を偲んで全員で黙祷を行った。続いて裁判員制度と闘う高山俊吉弁護士、三里塚芝山連合空港反対同盟の萩原進事務局次長、沖縄県北中城村・宮城盛光議員の発言。
高山弁護士と、裁判員制度いらなインコ
萩原さんは「企業より労働者が大切なはずだ」「空港より農業が大切なはずだ」と、農業を破壊するFTA(自由貿易協定)もTPP環太平洋戦略的経済連携協定)も絶対反対だ、と訴えた。もしTPPとやらが成立して海外の農作物が非関税のまま輸入されれば全国の農家は廃業を余儀なくされるだろう。三里塚で闘う萩原さん・市東さんも例外ではない。日本の食糧自給率はゼロとなるだけでなく、放棄された耕作地には雑草が生い茂り、水田の保水力も失われる。つまり民主党政権と財界が目論んでいるTPPは農業の破壊だけでなく国土の破壊でもあるわけだ。
■ 会場の外では右翼の街宣車がやかましい。と思ったら静かになり、またうるさくなる。多分警察に追い払われて、グルっと回ってまた戻ってくる、という繰り返しをしてるんだろう。韓国の民主労総ソウル地域本部、アメリカのILWU(国際港湾倉庫労働組合)、UTLA(ロサンゼルス統一教員組合)など各国の労組からの発言に続いて、ビルマ、イラン、ネパール、パキスタン、アフガニスタン・・・など各国の、そしてクルド人の労働者が、難民認定を困難にしている日本の入管制度を抗議し、母国の非民主政権を弾劾した。ビルマの軍政による総選挙のこの日、在日ビルマ大使館でも抗議行動が行われたという(参考)。
ジャマル・サーベリさんらイラン難民は、「イラン・イスラム政権を打倒しよう」 「イラン政府は全ての政治犯を解放しろ!」 「イラン政府は石打ち刑をやめろ!!」 などと日本語で書かれたプラカードを持って登壇した。弾圧国家は中国や北朝鮮だけではないことを忘れてはならない、と自戒。
1990年に来日したジャマルさんは難民認定を拒否され、今年も5ヶ月間に渡り不当に入国管理局(入管)に収容されていた。イランに強制送還されれば死刑もあり得たというが、ムキンポさんら支援者の尽力によって8月にやっと釈放された。
ジャマルさんは会場外でも署名を募っていたという。そういえば会場内でもムキンポさんを見かけたな。
◇ ムキンポの忍者ブログ 全国労働者総決起集会 → 赤旗まつり → 京品ホテル跡地 → 非民主的なビルマ総選挙に対する抗議行動
この日の参加者は5900人とのこと。
■ 「とめよう戦争への道! 百万人署名運動」事務局長の西川重則さんがAPEC反対を訴え、呼びかけ団体である全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の高英男副委員長、そして動労千葉の田中康宏委員長が基調報告を行った。
関西生コン支部は、生コン製造販売・運送業の中小企業の労働者による「産別労組」である(ある企業内の従業員だけを対象にした労組ではなく、企業の枠を超えて業界内の労働者を束ねる労組)。
生コンとは、セメント・骨材(砂利)・水を混ぜ合わせ、ミキサー車で建設現場に運ばれるが、製造から90分以内に型枠に流し込まなくてはならない。こういう事情のため、生コン製造業者は必然的に中小零細企業が多くなる(大規模な生産能力を備えてみても、90分以内に輸送・打設が完了できるような近所に、都合よく工事が続かないだろう)。
大阪の業者は「大阪広域生コン協同組合」を通じて生コンを販売する。1立方メートルの生コンの販売価格は1万4800円に設定されているが、ゼネコンの値引き要求のため、原価割れで販売せざるを得ない場合もあるという!赤字じゃねえか!
関西生コン支部は、この業界と労働者の生活を守るため、販売価格1万8000円を要求、6月27日には労働者側・経営者側合わせて2300人以上を集めた集会を実施。 そして7月から無期限ストに突入、大阪府内の全ての土木・建設工事がストップした。
「生コン支部を中心とする今回の中心的な三つの労働組合の組織率は、300社の中では3割にも満たない」が、彼らの「掲げる要求が建設生コン産業における労働者や経営者の要求と合致」していたのだ。このまま倒産・失業を受け入れるか、業界の存続のために決起するかの瀬戸際だったのだ。
竹中工務店などスーパーゼネコンの圧力、日共系労組の分断工作に屈せずデモを打ち抜き、8月18日には旧契約物件1万6300円、新契約物件1万6800円という値上げが合意された。しかしこの集会の時点ではまだゼネコンからの支払いが確認できず、スト態勢は維持されていた。高英男さんは「この集会で勝利報告をしたかった」と語っていた。
11月17日の集団交渉で、新価格の収受が確認され賃上げ交渉も妥結し、スト終結宣言がなされた。こうして生コン労働者は、この業界を守り、かつ己の生活を守る闘いに勝利したのだ。
ちなみに8月24日東京新聞【こちら特報部】では関西生コン支部の闘いを紹介している(これも俺が朝日やめて東京にした理由の一つだ)。武建一執行委員長の指針は「品質管理、適正価格、安定供給」。労働者の権利を守るとともに良質な生コンを供給しこの業界を健全に発展させることが目的なのだ。武さんは中卒でこの業界に入り、「何回も企業の用心棒に脅迫され、監禁され、殺されかけ、仲間は殺され、官憲には弾圧で逮捕されたという。生コンを守ろうとする人の筋金入りの略歴だ」。
■ 続いて、国鉄千葉動力車労働組合(動労千葉)の田中康宏委員長が発言した。動労千葉は400名ほどの小さい組織であるが、労使協調路線に走る他の大きな労組と異なり、労働者の権利を奪おうとするJR資本と正面から闘う労組である。
JR東日本は今年4月に、車両の点検整備・修理など「検修」業務を外注化する計画を立てていた。この分野で働く約5千人を人員整理し、労働者を有期雇用・低賃金で酷使する下請け会社に任せようというのだ。車両の安全性を放棄することにもなる。
既に2001年に保線などの設備業務が下請けに「丸投げ」された。かつてJRの職員が週に一回行っていた線路点検が、下請け会社による二週間に一回の点検に減らされたため、レールが折れるなどの異常事態が発生している。
動労千葉はこの攻撃と闘い、5度のストライキを打ち、4月実施をストップさせた。車両の安全管理は鉄道会社自らが行う、という当たり前のことを守り抜いたのである。
ところで現在JRでは、駅の窓口業務などの大半に契約社員が配置されている。給料はJR正社員の半分程度であり、契約は1年ごと、5年以内に正社員登用試験に合格しなければ解雇される。合格率は3割以下だが試験とは名ばかり、会社に都合のいい人物しか採用されない。あきれたことに「組合活動をすれば正社員にしない」方針だというのだ。
しかし「会社の査定を気にしていたら文句も言えない。声を大にして反対といいたい」と、労組に加入する若手が増えているという。動労千葉にも最近6人の青年が加入し、共にストライキを闘ったという(以上、【たたかう労働組合の全国ネットワークをつくろう!】の11・7集会告知ビラより引用)。是非とも動労千葉には、JR内の非正規雇用労働者にも組織を広げてほしいものだ。
■ 続いて、【国鉄分割・民営化に反対し、1047名解雇撤回闘争を支援する全国運動】の呼びかけ人の方々、動労千葉争議団、国労闘争団、JP労組、自治体労働者、動労千葉を支援する会、東京武蔵野病院で不当解雇を撤回させた【精研労組】、ショックアブゾーバなどのメーカー「SHOWA」埼玉工場の派遣切りと戦う【さいたまユニオン行田分会】などが発言。斎藤郁真委員長率いる法政大学文化連盟も登場した。そして閉会挨拶、行動提起、「インターナショナル」の合唱、団結ガンバローを叫び、いよいよデモ。
デモ待機中
銀座に出て東京駅前を通る定番コース
オジャマモンが入居してたビルのあたりで、事情は分からんが一人弾圧されたらしい。去年と違って右翼は遠くに追い払われたようで、街宣車のガナリ声も全く聞こえなかった。解散地点の常盤橋公園で、韓国など各国の労組の皆さんと握手。これも恒例だが最後に待ち構える動労千葉田中委員長とも堅く握手を交わした。皆さんお疲れさまでした。このあと打ち上げしたけど、そこそこ飲んでお開きになりました。日曜の夜だからね。また明日から団結してガンバロー!!
2010年11月29日
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