2010年12月23日

【こちら特報部】漫画規制 戦前と似ている

 2月に都議会に提出された【東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案】は、【非実在青少年】(18歳未満という設定の人物)の性行為を描いたマンガを18歳未満に売ってはならない、というトンデモないものであり、6月に否決された。
 しかし11月提出の新たな改正案は12月15日にあっさり可決してしまった。強姦、ロリコン、近親相姦を描くマンガを18歳未満に売るな、というこれまた愚かしいものだ。結局民主党議員団もこのマンガ弾圧法を支持したわけだ。非常に非常に残念、激しい憤りを感じる。東京の石原だけではなく他府県の知事にも橋下、そのまんま東、上田清司など馬鹿が多いので拡散を恐れている。
 それにしても本屋で客を18歳未満ってどうやって見分けるんだろうか。免許証とか学生証とか会社の従業員証とか見せることになるんか。どれもない場合はどうすんだろうか。つーか18歳未満の人間が、強姦やロリコンや近親相姦が出てくるマンガを見ちゃいけない、ってゆうのはナンセンスの極みじゃねえか?人間って生き物には強姦したり近親相姦したり幼女を犯したりする習性があるから、世間にはそういうこともあることを中学高校になれば知っておくべきだし(法律とか倫理観とかはまた別の問題)、そういうマンガをマジに受け取らずに楽しめる程度に精神を成熟させておくべきだと思うぞ。世の中きれいごとだけじゃないんだから。
 それとも子供には法に反する行為を描いたマンガを見せちゃだめだってことか?だったら小説も映画もテレビドラマも見せられなくなるぞ。だいたい実際に行ったら法に触れるからフィクションの世界で楽しむんじゃねえか。幼女犯したら捕まるからマンガ見てシコるんじゃねえか。
 俺は高校のとき筒井康隆読んでたが、「問題外科」なんて看護婦を生体解剖した上にレイプして殺しちまう話だぞ。みんなそういうのを読んで大人になっていくんだ。石原って馬鹿は日本人の知的レベルを自分のレベルまで下げるつもりか?

 そういや石原は、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じ」「遺伝とかのせいでしょ」「テレビも同性愛者の連中が出てる」などとほざいたという。マツコ・デラックス氏あたりが目障りなのかもしれないが、テレビにオカマが出てくるなんて当たり前ですが?つーか昔の戦国武将だって江戸時代の武士だって男色なんて当たり前だ。石原は日本の歴史を勉強したほうがいい。さらに別の会見では、「変態は気の毒」「DNAが狂ってる」「アブノーマル」などとも抜かしたという。
「改正案の真の狙いも、こうした発言の延長線上にありそうだ」(12月8日東京新聞)。石原が理想とするファシズム国家にはマイノリティもエロマンガも存在してはならないんだろうね。断種したいんだろうね。ナチスドイツやイスラエルみたいな奴だな。
 それにしても石原ほどの馬鹿も市井にゃ珍しくないかもしれんが、破綻状態の「新銀行東京」へ追加投資、東京オリンピック誘致活動などで都税を浪費しつつも、懲りもせず海外で豪遊し、都知事の座に居座り続ける石原慎太郎は、「どこかやっぱり足りない感じ」の「気の毒」な男であり、「DNAが狂ってる」としか思えないのだが。

 ともかく、こういう馬鹿が知事だから表現の自由が害されるのも仕方ない、などと納得できるわけがない。それに、こいつが「何もそういうものを描いてはいけないと言っているわけではない。子どもの目にさらさないように処置をしただけだ」などと言い訳してみても信用できるわけがないのだ。東京新聞【こちら特報部】の、12月8日【再提出案 規制対象は拡大】と、12月14日【漫画規制 戦前と似ている】より引用。

 児童文学作家の山中恒氏は戦時下の言論統制の研究を行っているが、この都条例改正を『かつての少国民世代として恐ろしい』と感じている。日本の中国侵略が泥沼の様相を呈してきた1938年、内務省警保局図書課が「児童読物改善に関する指導要綱」を示した。「過度に感情的なるもの」の規制など細かい基準を設け、「目が大きすぎて、現実離れしている」キャラも禁止されたという。
 山中氏は『真の目的は、大衆出版最大手の講談社を統制の参加に組み込むことだったのでは』と推測する。講談社の絵本の発禁処分を受け、他社も処分を恐れて自主規制を始め、「児童書は国体主義を礼賛する内容に変貌していった。『当局の顔色をうかがって、過剰に規制せざるを得ない方向へもっていかれた。今回の都条例案にも同じ匂いを感じる』
 読者にウケる内容を作っても販売禁止になってしまったら経営が成り立たない。おのずと権力に迎合する内容に変化していったのである。「販売規制という“兵糧攻め”を恐れて、表現の自主規制が進む危険性は現代でも変わらない」
 都条例では強姦や「不当に賛美または誇張」したものを規制するというが、そんなのは「審議会」のさじ加減でどうにでもなる。日弁連は会長名の反対声明で「定義は曖昧で不明確。結局は正当な表現の自由を侵害する恐れがある」と批判。シンポジウムでは元週刊誌編集長の鈴木力氏が「国旗・国家法案の際も、故小渕首相は『強制はしない』と言明していた。それが今、どれほどの東京都教員が、『日の丸・君が代』で処分されているかと警告した。

 この改正案成立には、PTAも陳情を行うなど関わっていたようだが、都は姑息な手段を用いていたようだ。藤本由香里准教授(明治大)によると、都職員が改正案について小学生の父母に説明する際、「18禁マークのある作品も野放しになっているように示して説明したという」。どうにも出来レースというかヤラセの臭いがする。
 山中氏は、『過激な性描写の漫画を親に見せ、子供の手の届く書棚にこんな本が並んでいると言いはやせば、親は驚く。特殊例を普遍化させるイメージ戦略』と指摘する。そりゃ親に過激なセックスシーンのあるマンガを見せて「あなたのお子さんにこんなマンガ見せられますか?」と言われりゃ、NOって言うだろうね。だいたい親なんか馬鹿だからな、親の言うことなんか聞いてりゃロクなことねえぜ。
 殺人事件の被害者遺族の不満を煽り立てて公訴時効を廃止にし、飲酒運転を厳罰化し、また嫌煙ファシストの言うがままに喫煙者を迫害しタバコを増税したのと同じ手口だ。(事実、凶悪犯罪も性犯罪も年々減少傾向にあるという。過激なマンガを野放しにしていれば危ない、というのは全くの寝言だ)

 こうして権力は大衆をたぶらかし、統制を強め、厳罰化を進め言論の自由を奪っていく。
 「山中さんは 『誰もが反論できない、“きれいごと”を持ち出し、論点をすり替える。でも、これは性描写の問題じゃない』。ネットでポルノ動画も見られる時代に、なぜ漫画だけを規制するのか。改正案の目的は、『権力側が書いて良いことと悪いことを決める』以外の何物でもないと考える」
 「性描写がダメなら、やがてアウトロー的なテーマの描写まで規制対象になるのかもしれない。そうなれば、ヤミ金や詐欺師を題材にした人気漫画までも・・・」
 ってことは「ナニワ金融道」も「闇金ウシジマくん」も「クロサギ」も、博打で負ければ人身売買される「カイジ」も規制されるかもしれないのか。あるいは反体制勢力を描いたマンガ、たとえば三里塚闘争を空港反対同盟の農民の視点で描いた「ぼくの村の話」も、「過激派を不当に賛美または誇張」したという理由で規制されるかも。
 「山中さんは『日本の官僚は法令の拡大解釈にたけている』という。『俗悪マンガだから規制は仕方ない』から始まって、いつの間にか『言論統制の強化につながった歴史』を、もう一度振り返るときだと感じている」

 こういう言論統制の流れはマンガだけに留まらないかもしれない。▼CLick for Anti War が東京都副知事の猪瀬直樹の“つぶやき”を紹介していた。
百かゼロかという議論は不毛。「慎重に運用する」という付帯決議もついている。以下、ひとつの見識・産経社説「子供を守る当然の改正だ」 http://bit.ly/fCPNcA 
9:47 PM Dec 16th webから
 短縮URLはサンケイの社説「漫画以外でもインターネットを含めて子供を性的対象とする映像が氾濫している。子供たちの心身を守るためにも、公共の利益を踏まえた取り組みが必要だ」だとさ。次はネット規制か?

◇ 東京都青少年の健全な育成に関する条例 - Wikipedia
◇ 東京都青少年の健全な育成に関する条例改正案 質問回答集(2010年10月)
◇ 性描写漫画規制「自由な表現に影響」「親の願い反映」 (魚拓)
◇ 石原都知事:同性愛者「やっぱり足りない感じ」 (魚拓)
◇ 石原都知事に「あの発言は狂ってる!」 マツコ・デラックス、青少年条例で激怒 J-CASTニュース
◇ 都青少年条例:民主「世論」に配慮 出版業界、根強い反発 (魚拓)
◇ 都青少年健全育成条例改正案:成立 性的描写の漫画規制 付帯で「慎重運用」 (魚拓)
◇ 【主張】都性描写規制条例 子供を守る当然の改正だ (魚拓)
◇ 性描写漫画「一利もない」=規制条例の成立で―石原都知事 (魚拓)
◇ これは、石原慎太郎都知事らご一行がコペンハーゲンで豪遊旅行(09年10月)をした際のJTB法人東京都との契約書。わずか数日間で1億2千万円を乱費。全て税金だ。オイオイ。
posted by 鷹嘴 at 18:07| Comment(0) | TrackBack(1) | 権力 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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