2011年02月01日

裁判員制度の業務を民間委託してんだから個人情報ダダ漏れ?

 1月18日東京新聞より。首都圏や大阪・名古屋などの地方裁判所で、裁判員制度の業務の一部が民間業者に委託されているという。
 委託されている業務は、裁判員候補者名簿に登録された人への通知、調査票の発送・集計、コールセンター受付(候補者からの問い合わせ)、裁判当日の選任手続きの一部(庁舎内の案内・待機室での書類配布・回収・整理、裁判員候補者からの定型的な質問への回答、会場設営や案内)などがある。裁判員候補者の個人情報どころか、政治的・思想的信条まで漏洩する危険性が高いだろう。

 「裁判員法」には、「何人も、裁判員・補充裁判員・裁判員候補者・それらの予定者の、住所氏名や『個人を特定するに足りる情報』を公にしてはらない」とある(101条)。
 これは「なんぴとも・・・おおやけにしてはならない」であるから、本人が「俺、裁判員候補になったよ」とか「裁判員に選ばれちゃった」などと第三者に対して公言(例えばネット)することさえ、禁止される。もっとも家族や上司に話すのは例外とのこと(最高裁のQ&A)。そりゃそうだ、休暇取らなきゃなんないからな。また、過去に裁判員や候補であったことを本人が告白されることは禁じられていないが、第三者が本人の同意無しに公にすることは禁じられている。
 また、「検察官や弁護人・被告人が、裁判員候補者の氏名を漏らしたとき」、または「裁判員候補者が、質問票に記載した内容や選任手続きにおける陳述の内容を漏らしたとき」は、「一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が科せられる(109条)。

 しかし裁判員や候補者の個人情報を知りうる立場にある委託業者については、罰則が存在しない。「個人情報保護法や、行政機関などが持つ個人情報を管理する関連法では、司法の分野である裁判所が民間委託する個人情報の扱いについては、適用できないという」。つまりは裁判員や候補者になったときの個人情報が委託業者によってどのように扱われても、業者が罰せられることはないのだ。裁判員には「評議の秘密」などを漏らした場合は「6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金」、という厳しい罰則を設けているのだが(108条)。場合によれば被告人や犯罪被害者の家族から報復を受けることも考えられるのに、恐ろしいことだ。識者は次のように批判している。
 「裁判員法は業務の民間委託を念頭においていなかったようだ。だが現実にはある。取り扱いに関する明確なルールがないのは問題だ」
 「地方自治体は条例を整備し、契約にあたっても詳細な委託契約書を作っている。裁判員候補者に関するデータは個人情報の塊。個別の契約で、守秘義務を課すだけでは外部漏洩に対応できない。裁判所に適用する個人情報保護法を制定する必要がある」(一橋大学・堀部政男名誉教授)

 「裁判所はそもそも裁判員制度で、どんな作業を外部委託し、どのように個人情報を保護しているかを明らかにする必要がある」
 「外部委託している電子記録が仮に流出した場合、『想定外だった』では済まされない。裁判員らには厳しい守秘義務を課しているのに、裁判所自体が裁判員やその候補者たちの個人情報の扱いについて、あいまいであることは許されない」(保坂展人さん)

 別に俺は、国・自治体の仕事は一切民間委託してはならん、などとは言わないよ。しかし民間に委託しても構わない業務と、絶対に委託してはならない業務があると思う。裁判員制度に関わる業務など後者のはずだ。
 それにしても役所の仕事をどんどん民間に委託しているこのご時世で、裁判員制度の運営だけは全て役人で、というわけにもいかないのだろう。つまり裁判員制度を続ける以上、裁判員と候補者の個人情報漏洩は防げない。言い換えれば日本政府には裁判員制度を適正に実施する能力は無いのだ。この面からも裁判員制度絶対反対!である。
posted by 鷹嘴 at 01:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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