2月8日東京新聞【こちら特報部 名ばかり事業主に待った 蛇の目ミシン委託販売員】より引用。「事業主」って普通、コンビニの店主とか新聞販売店とか、あるいは企業・団体の一部の業務だけ(ビルメンとか社員食堂とか)請け負っている会社のことを言うはずだけど、名目だけ悪用して労働者を搾取する悪質企業が増えているようだ。「すき家」とか。
「蛇の目ミシン工業」の【委託販売員】である伊藤彰俊さんの仕事は、自家用車に乗ってミシンや24時間風呂などを訪問販売する仕事。名目上は【個人事業主】だが毎朝8時半に支店に出社、掃除をしてから朝9時の朝礼に出席。営業に出る前には予定などを書いた日報を提出し、出たあとも連絡を入れなくてはならない。支店に戻ると今度は「反省会と称する報告会が待っている」。しかも支店に残って電話番や来客対応する「店当番」もローテーションで回ってくる。これ、完全に【個人事業主】なんかじゃなく普通の営業マンじゃねえか!
しかも給料は完全歩合制、売り上げの16%。【個人事業主】だから雇用保険も社会保険も残業手当も有休もなく、月給手取り10万程度。自家用車のガソリン代や携帯電話代など経費を引くと5万円ほどしか残らず。ひどいときは1万円を切るという。
伊藤さんのような蛇の目ミシンの委託販売員は全国に約200人。伊藤さんらは蛇の目に対し、「営業社員と同じ仕事内容で、実態は労働者だ」と、未払い賃金や雇用保険加入を求めて交渉したが、会社側は「委託販売員は個人事業主。雇用関係はなく、労働者ではない」とふざけた反論をよこしたという。
何度でも言うが、派遣とか請負とか期間工とか個人請負とかいろんな名目があるが、そんなものは全て、労働者に正当な賃金も待遇も与えず、いつでも解雇できる状態に留めるための口実に過ぎない。【委託販売員】という形式など、労働者を労働者として認めることさえ拒否しているじゃねえか。
08年3月に労基署に申請したときは「労働者に当たるかどうか確認できない」として蛇の目への指導は見送られたという。同年11月、伊藤さんは仲間とともに「派遣ユニオン ジャノメミシン直営店ユニオン」を結成。10年2月の二度目の申告を行い、やっと今年1月31日、労基署が蛇の目は労働基準法に違反していることを認め、最低保障給の支払いや有休取得を認めるよう、蛇の目に是正勧告を行った。蛇の目側は「是正勧告の内容を詳しく聞いてから対応を決めたい」としている。しかし、労基署の役目としては蛇の目に対し、伊藤さんら委託販売員を直接雇用するように指導するべきではないか?
「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長によると、このような委託契約はトラック運転手、塾講師、理容師、プログラマー、バイク便などに広がっているという。日雇い派遣労働への規制が強まったので、企業は今度はこういう逃げ口を利用しているのだ。
「労働基準法など、労働者保護規制を適用させないために、業務委託契約や委託契約を結んで働かさせている。違法なのだから、当局は厳しく取り締まるべきだ」
2011年02月13日
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