そりゃそうと、勝手に年金免除にさせられた人達のところには今後未納分の請求が一度にどっちゃり来るのかな?
年金違法免除10都府県、8万2千人に拡大
2006年05月29日23時25分
社会保険庁は29日、国民年金保険料の不正免除・猶予問題の緊急調査結果を公表した。本人の意思を確認しないで手続きをした違法な事例が新たに岐阜、静岡、奈良、秋田、埼玉の5県で見つかり、総計は従来より2万4354人多い計8万2040人になった。川崎厚生労働相は、この結果を精査するため第三者もまじえた異例の調査チームを設ける考えを表明。真相究明にはなお時間がかかる見通し。
調査は今年3月、5月に続いて3度目。それによると、国民年金法に違反して本人の同意がないまま手続きをしたケースは、これまで明らかになっていた東京、三重、京都、大阪、長崎の5都府県に加え、岐阜(639人)、静岡(6440人)、奈良(234人)でも判明。また、秋田(127人)、埼玉(1万27人)では、本人同意なしで免除手続きをし、その後、申請書が整わない分は免除を取り消したが、これも違法としている。また、東京はこれまで1事務所77人と発表していたが、新たにほかの1事務所で2401人分が見つかった。
これらの10都府県のうち、京都、三重、静岡の3府県は事務局の主導で不正を行っていた。また大阪、長崎では、各社会保険事務所の主導だったものの、事務局もこれを了承していたという。
一方、電話などによる意思確認だけで職員が申請書を代筆したケースは、新たに青森、新潟などで見つかり、合計22府県に。事後的に申請書をすべてとっていたのは千葉、福島、鹿児島の3県だけだった。
こうした不適切な手続きもすべて含めると、一連の不正免除・猶予の総数は、26都府県の100事務所、11万3975人分(午後11時の集計)にのぼる。
同庁は今後、本人の同意がない違法な手続きについては、免除・猶予の承認を取り消し、改めて本人から申請書の提出を求める。一方、すでに申請書が提出されているものについては手続きは取り消さない方針だ。
また、本人の同意があったケースは、今後、申請書の提出を求めていくが、同意が記録として残っていない場合は、違法手続きとして取り消す方針。このため、違法手続きの総数は、今後さらに増える可能性もある。
これに関連し、川崎厚労相は同日の参院決算委員会で「外部の方にも入っていただき徹底した調査をしなければならない」との考えを表明。これまでの社保庁の調査内容が正しいかどうかなどを調べる。
ついでにこっちも↓
年金不正免除 改まらぬ隠蔽体質、社保庁改革法案に暗雲
2006年05月26日08時35分
国民年金保険料の不正免除問題は、社会保険庁に報告されていない不正事例が三重県で新たに明らかになり、社会保険庁そのものに対する信頼性を揺るがす事態になってきた。「相変わらずの隠蔽(いんぺい)体質だ」との批判は政府・与党内からも漏れ、野党は「全容解明がなければ社会保険庁改革の議論はできない」と攻勢を強める。今国会で審議中の社会保険庁改革関連法案の成立にも暗雲が漂ってきた。
「人を信じたいけれども、この件については信じられない」。川崎厚労相は25日の参院行政改革特別委員会で、相次ぐ虚偽報告に怒りをあらわにした。
京都で不正免除が発覚した今年3月、社保庁は全国の社保事務局長にメールで調査を指示。不正事例の報告はなかったが、5月中旬に大阪の不正が発覚。社保庁は18、19両日に再調査に乗り出したが、三重はこの時も「適切な事務処理」と回答していた。
24日の衆院厚生労働委員会で「他にはないと信じたい」と語っていた村瀬清司・社保庁長官の言葉は、わずか1日で覆された。
なぜこんな事態になったのか。厚労省内では、地方事務所の職員が都道府県知事のもとでの地方事務官だった名残と指摘する声が多い。
各地に312ある地方の社会保険事務所は本庁に対して独立心が強く「長官でさえも、容易に視察させてもらえなかった」(厚労省幹部)という。都道府県ごとに統括する社会保険事務局長は本庁の出身者で、実務経験は乏しい。さらに本庁幹部は厚労省キャリアが占めるという「3層構造」で、同庁は一体感が乏しいと言われてきた。
閉鎖的な体質を打破しようと、04年7月に民間から起用された村瀬長官は地方事務所に足を運び、人事交流を活発化させるなど、風通しをよくする改革を進めてきたが、今回の問題はその体質の根深さを浮き彫りにした。
社会保険庁改革を話し合う政府の「社会保険新組織の実現に向けた有識者会議」のある委員は「長年しみついた体質は簡単には変わらない。改革が性急すぎたのかなという印象だ」と話す。
「まさにこうした問題を起こすような、古い社保庁を改革させるための法案だ」
政府・与党内では、今回の事態を受けて国会で審議中の社保庁改革関連法案が振り出しに戻るのは本末転倒との空気が強い。ただ、予想外の不正の広がりに「(法案は)風前のともしびだ」と危ぶむ声も出始めた。
一方、野党側は、一連の不祥事がどれだけの広がりがあるのかなど実態把握、真相究明がなければ、社保庁改革の議論ができないと主張。対決姿勢を強めている。
民主党は25日に「『年金偽装』追及チーム」を発足させ、独自調査で対抗する構えで「実体解明なしに審議を強行するなら、国民的立場から(改革法案を)受け入れられない」としている。