引き続き先月のニュースを。
日本政府は2月18日に「シー・シェパードの妨害のため危険」という名目で今年度の調査捕鯨打ち切りを宣言。ミンククジラが170頭、というナガスクジラは2頭という捕獲数に終わった。
中止の本当の理由は、グリーンピースジャパンが指摘しているように、クジラ肉の売れ残り在庫が年々増えるばかりで(財)日本鯨類研究所の経営を圧迫しているためだろう。売れなきゃ生産調整するのは当たり前の話だからな。シー・シェパードによる阻止行動は、調査捕鯨を途中で切り上げるための絶好の口実だったろうな。
2月18日東京新聞朝刊【こちら特報部 調査捕鯨捕りすぎて撤退?】によると、調査捕鯨による鯨肉在庫量は昨年末に5930トンと「最高レベル」に達し、しかも昨年はアイスランドから764トンの鯨肉が輸入された。フリージャーナリストの佐久間淳子さんは『もし私が行政刷新担当相だったら『安い輸入品じゃダメなんですか!』と言って調査捕鯨をやめる』と語る。
『実際に中止となれば、反捕鯨団体も攻撃対象を失い、存在意義が薄まる。大相撲の八百長問題ではないが、お互いの利益のために『あとは流れで』と、適当な捕獲頭数に達したところで中止するのかもしれない』
実際にこの日、閣僚から正式に中止が発表されたわけだ。
前にも言ったようにシー・シェパードのような反捕鯨団体と日本政府には「ある種の共生関係」があるようだ。日本政府が捕鯨を強行に進めれば、反捕鯨団体への期待が高まり世界中から寄付が集まる。日本政府も「奴らはテロリストだ!」と宣伝し、マスゴミを利用して国内世論の支持を集める。そして今回は、日本にとっては「妨害行動が危険だから」という口実で捕鯨を中断することが出来たし、シー・シェパードにとっては「我々の活動によって捕鯨を中断させた」と宣伝できる。まるで勝越し負越しのボーダーラインにある相撲取り同士が星を譲り合うようなもんじゃね?
日本人は昔から鯨を食べてきた「ということにして」、調査捕鯨は商業捕鯨ではない「ということにして」、続けられてきた南極海場所(笑)は、今場所は妨害行動が危険だから「ということにして」中断されたわけだ。
つーかこういう「仮構性」で成り立っているイカサマ興行は永久に中止してほしい。大相撲と同じように調査捕鯨だって税金の補助があるんだからな。
・・・ところでその東京新聞(というか中日新聞)は2月24日、調査捕鯨について「暴力に屈しない外交を」という社説を載せた。
簡単に言えば、調査捕鯨はIWCから認められているし(何度も中止勧告が出ているのを知らんのか)、調査捕鯨は「食糧資源へのデータとなる」し、このまんまじゃ他の外交問題にも波及するだろう、なめられちゃアカン!という、どっかで聞いたような頭の悪そうな文章だ。
まあ中日新聞だって一枚岩じゃないんだろう、社説とか書くおエライさんは、よそと同じような頭の固いおっさんなんだろうな。
◇ プレスリリース:2011-2-18 早期帰港の真相は鯨研の経営難 国際環境NGOグリーンピース
◇ 調査捕鯨船団、早期帰港の本当の理由 国際環境NGOグリーンピース
◇ 調査捕鯨:妨害受け打ち切り 予定1カ月残し (魚拓)
◇ 調査捕鯨中止 暴力に屈しない外交を (魚拓)
2011年03月07日
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