ブレーキのボルトに緩み 死亡事故エレベーター
2006年06月13日16時01分
東京都港区の公共住宅で、都立高校2年の男子生徒(16)がエレベーターに挟まれ死亡した事故で、事故機のブレーキの部品を留めるボルトの締め付けが緩んでいたことが、警視庁の調べで分かった。同庁はこの緩みが事故につながった可能性もあるとみて、慎重に鑑定を進めている。
事故機は、モーター周辺にあるブレーキドラムを二つのブレーキパッドで挟み込んで止める構造になっていた。
捜査1課が事故後にブレーキを取り外し解体したところ、パッドと外側の部品を留めるボルトの一部が緩んでいた。パッドは二つとも締め付けが緩く、こうした状態だと制動力が落ちるという。
ボルトの締め付け具合は、エレベーターの保守点検をするメンテナンス業者が点検する項目の一つ。業者は事故の8日前に最後の保守・点検をしていた。
また、事故機のパッドは隣の同型機に比べて摩耗していたが、業者の点検項目には、パッドの減り具合が含まれていなかった。
捜査1課はボルトの緩みやパッドの摩耗が事故の一因になった疑いがあるとみて、保守・点検が適切だったかどうか業者から事情を聴いている。
エレベーターは扉が開いていると動かない構造になっているが、事故が起きたとき扉は全開状態で、そのまま上昇。男子生徒が救出された後には、電源が切られた状態で、本来だったらその場でとどまるはずのかごが最上階を超えるまでに達したとされる。
直前までエレベーターが異常なく動いていたことから、同課はブレーキ以外に安全装置を制御するコンピューターについても不具合がなかったか調べている。
ところで海外ではこんなニュースも。
2006年06月13日点検がいい加減だったとか?つーかそんなに簡単に緩むもんなんか?
NY事故、ねじ緩みが原因 2カ月前にシンドラー点検
【ニューヨーク12日共同】米ニューヨークの高層ビルで2004年8月、シンドラーエレベータ製のエレベーターが急上昇し男性が死亡した事故は、ニューヨーク市の調査の結果、ブレーキ系統に使われていたねじの緩みが原因だったことが12日、分かった。
調査報告書によると、エレベーターの維持管理は同社が担当。事故の約2カ月前に点検を済ませ「問題なし」としていたが、ねじの緩みが原因でブレーキが利かなくなり、エレベーターが急上昇しビルの天井部分に激突する事故につながった。
ねじはブレーキの役目を果たす部分に使われるパイプを接合するもので、緩みが原因でパイプが外れ、制御不能になったという。
ついでにこっちもコピペ。
でたらめシンドラー 世界中で事故
シンドラーエレベータ社製のエレベーターによる事故が、日本だけでなく海外でも多発していたことが明らかになってきた。にもかかわらず、情報開示も、徹底的な原因究明もせず、「当社の責任ではない」といわんばかりのコメントを出し逃げ回っている。あきれた体質に関係者の怒りは爆発寸前だ。
JINビジネスニュースの調べによると、
2006年5月1日、米国テネシー州3歳の児童がエレベーターのドアに寄りかかったところドアが開き、9階から転落し死亡した。
ニューヨークでは2004年8月、ビルの貨物用エレベーターで63歳のガードマンの男性が地下からエレベーターに乗ったところ、突然、最上階の38階まで急上昇し天井に激突、男性は死亡した。
カナダでも05年と89年に2件の死亡事故が起きた。
香港では02年1月、11歳の男児が乗り込もうとした際に、扉が開いたまま上昇。エレベーターの床と天井に挟まれ死亡した。
このほかトラブルも多発している。
中身を見ると、日本で起きた死亡事故、トラブルとそっくりで、たまたま、とは思えない。これだけ重大事故が起きているのだから、原因の徹底した調査、情報公開、広報が必要なのは当然だ。その当然なことをしていない。
被害者や関係者、マスコミを憤らせているのが、シンドラー社の事故に対する対応だ。警視庁の強制捜査が入った2006年6月7日午後6時過ぎに記者会見を予定していたのが、いきなりすっぽかした。
保守管理が悪いせい、といっているのに等しいコメント
詰め寄る報道陣に対し西村智行・新設事業本部長は、「シンドラーはエレベーター業界で世界第2位…」「捜査に全面協力している」とくり返しあらかじめ用意されていた書面を何度も読むだけだった。
港区の高校生死亡事故では、区が開いた住民説明会への出席を拒否した。出席していた武井雅昭区長が同社の担当者に携帯電話で連絡しても「捜査に影響する可能性がある」と態度は変わらなかった。集まった100人の住人から怒りの声が出た。区の担当者は「文書での回答も求めているが、完全無視のような状態。だから何もわからない」 と話す。
実は、先の海外の事故でもシンドラー社は「知らぬ存ぜぬ、当社の責任ではない」といわんばかりのコメントを出し逃げ回っているのだ。
テネシー州の死亡事故ではPR会社を通じ、「この事案は現在捜査中であり、その原因について推測するのは適切ではありません」。ニューヨークの事故では「最初の調査では、ケーブル破損などは確認されていない。 現段階では事故の原因について推測したりこれ以上のコメントを出すのは時期尚早だ」
06年6月6日に日本の死亡事故について、ウェブ上に同社のケン・スミス社長名のコメントが出た。その中で問題のくだりがある。
「05年3月までは当社が保守を担当し、その後は2社が保守を行っております。この事故がエレベーターの設計や設備によるものでない事を確信している旨を述べさせていただきたいと思います」
これは保守管理が悪いせい、といっているのに等しい。では、シンドラー社が保守管理も受け持っている東工大やほかの施設でのトラブル多発は何なのか。
「驕りのカルチャーがある会社のようだ」
「死亡事故を起こした会社として、シンドラー社の対応は全くもってデタラメ!」
そう「断罪」するのは、経営倫理実践研究センター専任講師で「広報力が会社を救う」(毎日新聞社刊)などの著書がある萩原誠さんだ。
萩原さんは「驕りのカルチャーがある会社のようだ」と分析する。自分の責任を認めずに他者の責任にすり替えようとしているからだ。
「例えケガ程度であっても社長が出てきて謝罪しなければいけない。会社の責任をすなおに認めることこそ、信頼される会社と言えるのに、ケン社長がテレビカメラを向けられた時もカメラを無視した」。これは、企業の危機管理の姿勢の問題だともいう。シンドラー社のように逃げ回れば逃げ回るほど、関係者の怒りは強くなり、マスコミ報道は長期化・深耕し、会社は窮地に追い込まれていく。
「驕りのカルチャーを持つようになった企業は日本企業にも増えてきた。偽装問題、回転ドア事故、ファンド…。シンドラー社を反面教師に襟を正す良い機会になればいいのだが」
萩原さんは密かに憂いている。
2006年06月08日18時25分