アウシュビッツ名称変更で大論争
2006年07月04日11時13分
ポーランド政府が、同国南部にある世界遺産「アウシュビッツ強制収容所」について、旧ナチス・ドイツによる収容所であることを明確に示す名称に変更するようユネスコに求めている。しかし、ユダヤ人団体などが「歴史の書き換えだ」と反発、大論争になった。その後別のユダヤ人団体などが支持を表明したことから、同国政府は8日からリトアニアで始まる世界遺産委員会での改名に自信を見せるが、慎重論や反対論はなおくすぶっている。
同国政府が改名を求めるようになったのは、米紙ニューヨーク・タイムズや独週刊誌シュピーゲルなど外国メディアで「ポーランドの強制収容所」と表現されたことがきっかけだ。国立アウシュビッツ博物館のメンスフェルト氏は「ポーランドがユダヤ人虐殺の当事者であると誤解を与えかねない」と指摘する。
同国政府は3月、世界遺産委員会の事務局を務めるユネスコに名称変更を要請。「旧ナチス・ドイツのアウシュビッツ・ビルケナウ強制・絶滅収容所」とするよう求めている。
しかし、ニューヨークに本部を置く「世界ユダヤ人会議」(WJC)は「周辺のポーランド人は収容所の存在を知っていたはずだ。(改名は)ポーランドが何の役割も担っていなかったと強調するもので、歴史の書き換えだ」と批判。ポーランド側は「ロンドンのポーランド亡命政府は虐殺を報告していたが、世界は何もしなかったではないか」と反論した。
その後、別の有力な米国のユダヤ系団体「反中傷連盟」やエルサレムの国立ホロコースト記念館「ヤド・バシェム」などが改名を支持した。
一方、ドイツ系住民が多く、戦後旧ソ連、ポーランドから弾圧を受けたシロンスク(シレジア)地方のシロンスク民族同盟のロチュニョック議長は「旧ソ連やポーランドは戦後、シロンスク人らを強制収容していた。改名はこの歴史を消す」と主張する。ユネスコに改名しないよう書簡を送ったが、「政府はシロンスク人の強制収容を公式には認めておらず、我々の声は届かないだろう」とあきらめ顔だ。
WJCはその後、「ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)をポーランドのせいにすべきではない」との声明を出したものの、「(改名は)微妙な問題で、十分な考慮が必要」としてなお慎重な姿勢を示している。
2006年07月04日
【アウシュビッツ名称変更で大論争】
これは考えさせてくれるニュースだねえ。なんだか汚いボールを「これはお前のだろ!」と投げ合っているような・・・。
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この広報動画は、「日本海」という名称が確立した歴史的経緯や、この名称に関する国際機関の見解等、いわゆる「日本海呼称問題」の全般像について紹介するものです。政府としては、「日本海」の名称の正統性について、引き続き国際社会に訴えていきます。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/nihonkai_k/meisho_douga.html