2006年07月14日

【厚木基地騒音訴訟、国に40億円の賠償命令 東京高裁】

40億円って金額だけだとすごいと感じるかもしれないけど、一人当たりだとわずか83万円。これで、これからも我慢しろだとよ。
1960年に神奈川県大和市に一戸建てを購入して以来、爆音に悩まされきた原告団長の真屋さん(79歳)は、判決後の記者会見で
「新鮮味が何もない。地裁と同じ判決なら、一回で終わりにすれば良かった。8年7ヶ月もやって、時間の浪費だ」
「金のためじゃない。爆音をなくすためにやっているんだ。住民の痛さ、苦しさ、悲しさ、悩みをわかっていない」

と怒りをあらわにした。
そして、
爆音の 違法承知でなお爆音 これが法治の国の業かや

という短歌を詠みあげたという。(以上、7/14朝日新聞朝刊より引用)
日米軍事同盟の解消の日まで、基地周辺の住民の苦しみは終わることがないのである。

厚木基地騒音訴訟、国に40億円の賠償命令 東京高裁
2006年07月13日20時22分
 米海軍と海上自衛隊が共同使用する神奈川県の厚木基地(綾瀬市、大和市)の周辺住民計4865人が、過去(審理を終えた日まで)と将来(審理を終えた翌日以降)の航空機騒音被害について国に計約131億円の損害賠償を求めた「第3次厚木基地騒音訴訟」の控訴審判決が13日、東京高裁であった。大内俊身裁判長は、過去の被害分として計約40億4000万円の賠償を命じた。

 賠償額は昨年11月の新横田基地訴訟東京高裁判決の約32億5000万円を上回り、基地騒音訴訟としては過去最高。大内裁判長は「国が米軍に対し、騒音被害軽減に向けて真摯(しんし)でねばり強い交渉をしているとうかがわせる証拠は見あたらない」と国を批判した一審を引用。基地騒音の軽減に向け、国に一層の対策を迫る判決となった。
 基地騒音訴訟では、過去の被害への賠償を命じる流れが定着しており、焦点は(1)賠償の対象区域はどの範囲か(2)賠償額はいくらか(3)将来の損害についての賠償は認められるか――に絞られた。
 高裁は(1)〜(3)のいずれも一審の判断を維持。(1)は「うるささ指数(W値)75以上の区域」とした。昨年2月の新嘉手納基地訴訟一審判決が「85以上」と範囲を狭めたが、新横田基地訴訟に続き、高裁で「75以上」が定着した形となった。
 (2)の賠償額は、原告1人あたりの月額はこの訴訟の一審や他の基地訴訟と同じだが、もともと原告数が多いうえ、二審の裁判期間が上積みされたことから、総額では一審の約27億4600万円から約40億円余に増額された。
 (3)の「将来の損害」については、新横田基地訴訟高裁判決では結審以降、判決日までの請求を認めたが、今回は「考慮すべき事情が将来、変動することが予想される」と却下した。
 厚木基地の1、2次訴訟では飛行差し止めも求めたが、81年の大阪空港訴訟最高裁判決以降、差し止めを認めない判例が定着したため、3次訴訟は賠償のみ求めていた。

将来の被害認定争点 第3次厚木基地騒音訴訟13日判決
2006年07月12日15時46分
 米海軍と海上自衛隊が共同使用する厚木基地(神奈川県大和市、綾瀬市)の騒音被害を巡り、周辺住民4865人が国に総額約131億円を求めた第3次厚木基地騒音訴訟の控訴審判決が13日、東京高裁で言い渡される。真屋求・原告団長(79)は「巨額の賠償責任を負わせることで政府を追いつめ、爆音の軽減を前進させたい」と訴訟の狙いを話す。

 厚木基地から北約2キロ。大和市立西鶴間小学校は、米軍や海自機の飛行コース直下に位置する。「ゴーッ」「バリバリ」。体育の時間。米軍のジェット機が校庭の真上を横切るたびに、サッカーやドッジボールをしていた子どもたちの動きが一瞬止まる。
 国の補助金で二重窓にしている教室も、夏は開けっ放し。爆音がとどろくたびに、授業が中断する。原告のひとりで、同校の池田操教諭(46)は言う。「1回の授業で予定していた内容が終わらないことがある。生徒の集中力に影響が出るのではないかと心配だ」
 他市から転任してきた先生は一様に「大和の子は声が大きい」と驚くという。「爆音に負けないように大声を出すくせがついているからだ」と指摘する。
 5月、在日米軍再編の日米最終合意で、厚木基地の空母艦載機59機が山口県の岩国基地に移転することが決まった。だが「移された先の人が同じ思いをすると考えると、手放しには喜べない」と複雑な胸の内を明かす。
 米空母ミッドウェーが横須賀基地に配備されてから30年以上がたつ。この間、厚木基地周辺の100万人を超す住民に騒音がもたらされてきた。
 米海軍厚木基地司令官のジャスティン・クーパー大佐(45)は飛行時間3千時間以上のベテランのパイロット。判決を前に11日、朝日新聞の取材に応じ、「非常に人口過密な所にあるのは事実で、飛行の時間帯や高度の制限は国内だけでなく米国全土と比較しても一番厳しいだろう」とした上で、「日米同盟の核となる任務と地域との友好を保つバランスが大事であり、騒音の問題は真摯(しんし)に取り組まなければならない」と述べた。
 3次訴訟の原告には8歳から101歳と、年代も職業もさまざまな4865人が名を連ねた。
 1、2次で請求してきた飛行差し止めは、初めて請求しなかった。騒音被害への賠償を認める一方で差し止めを退ける司法判断が定着し、「認められる見込みがない」と踏んだためだ。
 このため3次訴訟では、賠償額に関する点だけが争点となった。
 02年10月の一審・横浜地裁判決は、準工業地域に住む11人を除く大半の原告の請求を認め、過去の騒音被害についてのみ計約27億4600万円を支払うよう国に命じた。
 今回の判決では、賠償対象区域となるかどうかのラインが、一審の「うるささ指数(W値)で75以上」で維持されるか▽将来の被害への賠償請求が認められるか、が争点となっている。
posted by 鷹嘴 at 16:59| Comment(0) | TrackBack(0) | アメ公 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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