衰弱知りながら給水停止・保護申請断る 障害者が孤独死
2006年07月17日05時55分
北九州市門司区の市営団地で5月、独り暮らしの身体障害者の男性(当時56)が、ミイラ化した遺体で見つかる事件があった。この事件で、北九州市が、男性が脱水症状で衰弱していたのを昨年9月に把握しながら給水停止を続け、病院に入院させるなどの措置も取っていなかったことが分かった。男性が生活保護を申請しようとしたのに対しても、相談段階で断っていた。
門司区役所の内部文書や、関係者の証言を総合すると、最初に異変に気づいたのは、団地を管理する市住宅供給公社の職員。家賃滞納が続いたため、昨年9月28日に訪問したところ、男性が床をはって出てきた。水道は9月14日、電気とガスはその前から止められていた。職員は市水道局に「男性が衰弱し、脱水状態にある」と連絡した。
市水道局は9月30日、男性の状況を区役所に知らせたが、水は止めたままだった。近くの住民は、男性が公園で水をくんでいる姿をたびたび目撃している。
区役所はその日のうちに、ケースワーカーと保健師を男性宅に派遣。男性は「生活保護を申請したい」と伝えた。だが、区役所は即座に保護を開始できる「職権保護」を適用しなかった。市内に住む次男から食料の差し入れがあるとして、「生死にかかわる状況ではない」と判断したからだ。
実際には、コンビニエンスストアで働く次男が数日に1回、食パンやおにぎりを持ってくる程度だった。男性は妻と離婚しており、息子たちとの関係は複雑だった。
男性は12月6日、区役所の保護課を訪問。「次男からの援助も途切れる。体も弱っており、保護をお願いしたい」と話した。しかし保護課は、長男が7月分と8月分の家賃を支払ったことを理由に、長男と話し合うことを求めて帰宅させた。それ以降、男性からの接触は途絶えた。
男性は5月23日、布団の中でミイラ化している状態で見つかった。司法解剖の結果、1月下旬に死亡したとみられる。
団地の町内会役員は「男性のやせ衰えた姿を見れば、誰もが生活保護が必要だと思った。しゃくし定規な考えが、男性を死に追いやった」と話している。
我が家は何故か水道代だけは引き落としにしてないんで(手続き用紙を請求したら送られてきたのだが、失くしちまった。三度ぐらいこういうことを繰り返してるうちに面倒臭くなったw)、支払い期日がとうに過ぎて督促状が来てから「やれやれ、そろそろ払うかなあ」、ってことを毎度やってるが、水道はなかなか止められないねえ。携帯なんかあっという間に止められるがね。
水道すら止められるほど困窮しているのに生活保護を断られるってのは、北九州市門司区って所は実質生活保護制度を放棄している、と考えた方がいいかもね。つーか最近はどこの自治体も日本国憲法第25条の違反に熱心なご様子。
生活保護 不服申し立て急増 自治体の水際作戦進む
2006年07月16日
失業や病気などで生活できなくなった時、最後の頼みの綱ともいえる生活保護制度で、受給を求める人らからの不服申し立てが05年度まで2年で倍増したことが朝日新聞社の調べでわかった。財政難の中、保護費を削ろうと申請を受け付けず、弱者に厳しくなった自治体の姿が浮かぶ。不当な窓口対応は福祉関係者の間で「水際作戦」と呼ばれる。不服申し立ての件数が全国2位だった大阪府で、生活困窮者が「水際」で追いつめられるケースを見た。
40代前半の女性は今春、大阪府内の市で生活保護を申請した。小中学生4人の子がおり、収入は児童扶養手当など月約7万円だけ。関節リウマチで両手が不自由なため、働く場がなかなか見つからない。医師は「手を使わず働ける職場があればいいが、そんな雇用先があるとは思えない」と診断書に付記した。
だが、市は「『稼働能力』を活用していない」として申請を却下。働けるのに働いていない、という見解だ。女性は不服申し立てに踏み切り、知事の裁決を待っている。支援する弁護士は「生活保護をとにかく認めないため、稼働能力を口実にしている」と憤る。
大阪弁護士会が6月末、生活保護に関する電話相談を実施したところ、申請を断られたという相談は31件あった。理由では、「稼働能力あり」が15件、「親族の扶養で生活を」が9件などだった。小野順子弁護士は「窓口で申請書を渡さず、『相談』扱いにする水際作戦の被害が目立つ」と指摘する。
全国有数で失業率が高い大阪府の保護受給者の割合(保護率、人口千人あたり)は04年度、全国最多の23・2人で、過去9年間の増加率も最も高かった。財政圧迫もそれだけ進み、大阪市の場合、06年度当初予算で生活保護費が6年前の約1・5倍の2291億円に増え、保護世帯への地下鉄・バス代や水道料の減免を打ち切った。
一方、保護率上昇に伴い、府の不服申し立て裁決数も4年間で約3倍の77件(05年度)に増加、保護件数を抑えようとして申請者とのあつれきが多くなっている実態がうかがえる。
大阪市旭区で生活保護担当職員の経験がある松崎喜良・神戸女子大助教授(公的扶助論)は「厳しい財政状況を反映し、自治体が国以上に保護切り捨てに躍起になっている。不服申し立てに至ったのは氷山の一角。特に大阪は保護率の増え方が急で、窓口が厳しさを求められるようになってきている」とみる。
運良く認められても、将来的に医者代は自腹になるのを覚悟しといた方がいいかも。しかしこうなったら「生活保護」とは言えないね。AML:8065よりコピペ。
医療扶助:生活保護者に「1割」自己負担 厚労省が検討
厚生労働省は10日、全額税金で負担している生活保護受給者の医療費「医療
扶助」について、08年度から一部自己負担を求める方向で検討に入った。医療
機関の窓口で、最低でもかかった医療費の1割を支払ってもらう考え。ただ、受
給者に自己負担を課すことは、憲法上の「最低限度の生活保障」を目的とする生
活保護の理念を覆す、との指摘もあり、同省は慎重に検討を進める意向だ。
06年度の生活保護費(予算ベース)は2兆6888億円。うち、51.8%
に当たる1兆3940億円が医療扶助に充てられている。現在は、生活保護受給
者が医療機関にかかっても窓口負担は一切不要で、財務省はこの点が生活保護費
全体を押し上げているとみて改善を迫っている。
社会保障費を2011年度までに国費ベースで1.1兆円削減することを目標
とした政府方針を受け、財務省は今後5年間、厚労省に毎年社会保障費の伸びを
2200億円圧縮するよう求める方針。厚労省は、07年度予算については、生
活保護費の母子家庭を対象とした加算の縮小と地域加算の見直し、雇用保険の国
庫負担削減などでクリアできるとみているが、08年度のメドはたっていない。
このため08年度は、生活保護費本体部分の「生活扶助」の水準カットととも
に、医療扶助への自己負担導入を検討することにした。
同省はこの社会保障費の削減効果を1000億円台とみている。
生活保護制度の改革をめぐっては、医療扶助を廃止し、生活保護受給者には市
町村の国民健康保険へ移行してもらって自己負担を求める案が再三浮上してい
る。ただ、市町村は「財政負担増を招く」と反発し、議論は進んでいない。この
ため厚労省は、医療扶助制度を残したまま自己負担を求める方針案を与党幹部ら
にも説明した。
【吉田啓志】
◇医療扶助 生活保護申請者で、自治体の医療助成制度などを活用しても生活
が苦しい人が対象。社会福祉事務所などで発券する診療依頼書を持参して受診す
る。99年度の月平均受給者は80万3855人だったが、04年度は115万
4521人と急増している。
毎日新聞 2006年7月11日 3時00分
医療制度改革法:自己負担、上限56万円 医療・介護の合算額−−08年4月
開始
◇厚労省が説明会
厚生労働省は10日、先に成立した医療制度改革関連法について、都道府県担
当者への説明会を開いた。医療と介護双方の費用を合算し自己負担限度額を設け
る「高額医療・高額介護合算制度」を08年4月にスタートさせ、年間の合算基
準限度額を56万円とする方針などを説明した。
現在の自己負担限度額は75歳の場合、医療費が月4万200円。一方、介護
保険は介護の必要度合いに応じて6150?3万5830円となっている。年額
換算では、医療費は48万2400円、介護は最も重い要介護度5の場合で42
万9960円に達する。なかには自己負担が100万円を超えるケースもあり、
同省は合算制度で負担軽減を図ることにした。合算限度額(年間)は一般の75
歳以上の56万円が基本で、70?74歳62万円▽70歳未満67万円−−とす
る。「現役並み所得者」(夫婦世帯で年収520万円以上)は、70歳以上が
67万円、70歳未満は126万円。【吉田啓志】
毎日新聞 2006年7月11日 東京朝刊
で、こういう情勢になったのも小泉改革5年間の成果ってもんか?
財政 苦しむ自治体 地方交付税本社調査2006年07月07日
●12市町、サービス見直し●
朝日新聞が実施した地方交付税に関するアンケートで、三位一体改革の影響で税額が減った県内市町の財源確保に苦しむ姿が浮かび上がった。回答した26市町のうち、20市町が財政調整基金を取り崩したほか、12市町では住民サービスの見直しも余儀なくされ、各種団体への補助金を減らしたり、下水道料金や保育料の値上げに踏み切ったりしていた。多くの市町は現状に強い不満を感じ、竹中平蔵総務相が提案する新型交付税にも反対の考えを示している。
アンケートは5月下旬に郵送し、6月末までに県内では川越、木曽岬、南伊勢の3町以外から回答があった。
改革が始まった04年以降、人件費総額削減▽公共事業費削減▽財政調整基金取り崩し▽住民サービス見直し、のすべてを実施した自治体は、伊勢市、名張市、志摩市、明和町、大台町、玉城町、大紀町、御浜町、紀宝町の9市町にのぼる。一方、亀山市は人件費、公共事業費、住民サービスのいずれも維持したまま、財政調整基金残高を05年度末、03年度末の65%程度にまで減らしてしのいだ。
こうした厳しい現状に、15市町は地方交付税のあり方自体の見直しを求めている。現状維持派の6市町も、現状以上の「改悪」を懸念。尾鷲市は「国の財政を考えると改革は必要」と譲歩しつつ、「今のままでは地方財政は立ちゆかなくなる」との意見だ。一方的な減額はほぼ全市町が反対の立場をとる。
地方交付税には「地方の財源不足を補う財源保障的な側面が強く、過保護だ」との批判がある。しかし多くの市町は異を唱えた。「人件費削減に伴い、今後、業務のアウトソーシング(外部発注)費用も増える」(朝日町)、「交付税削減は高齢化と過疎を抱える地方の福祉推進に歯止めをかける。決して手厚くない」(伊賀市)。しかし、「過去において、地方団体に痛みの少ない節度のない事業選択を許してきた要因は否めない」(伊勢市)と、一定の理解を示す意見もあった。
人口と面積だけで額を割り出す新型交付税案には、「具体的な影響がわからない」(熊野市)などと評価を保留する自治体もあったが、20市町が反対。地方交付税の減額が進むと、さらなる自治体合併が必要だと考えるのは7市町にのぼった。
○●延長保育料に差、ごみ袋値上げも●○
住民サービスを見直した県内市町の例を見てみると……。
伊賀市は、市民団体への補助金を今年度から3年間、10%ずつカットする。対象は、環境保護や趣味のサークルの活動など。一律10%減らす市町が多い中、担当者が団体の代表者と個別に会い、厳しい財政事情を話し、削減可能な交付先を精査した。
朝日町は4月、20件で300円だった住民基本台帳の閲覧手数料を、1件300円にした。1件あたりに換算すると、値上げ幅は20倍だ。
保育料でも工夫した。午後6時半から徴収していた延長保育料を昨春、同4時半からに繰り上げ、預かり時間の長さ別に3種類の料金を設けた。これまで午後4時半〜6時半に帰っていた子の家庭は、新たな出費を強いられた。
家庭ごみを有料回収する鳥羽市は、10月から袋代を値上げする。1枚あたり平均36円増。平均的な家庭で1カ月300円の負担増になるという。