【追記のお知らせ 2017年4月9日】
 記事「【5月7日】雁屋哲さんの講演+井戸川克隆さんと対談」に、「美味しんぼ『鼻血問題』に答える」から福島現地での鼻血の症状についての報告例を引用しました

2011年07月30日

【東電保護法案?】原発賠償機構法案

 7月28日衆議院本会議で、「原子力損害賠償支援機構法案」が与野党の賛成多数で可決した。これは福島原発事故を起した東電の賠償責任を軽減し、かつこの犯罪企業を存続させようというものである。7月22日東京新聞【こちら特報部】の、「原発賠償法案『会社更生法適用を』『政府案は不当』有識者団体が提言」などから引用。

 この法案は、東電など「原子力事業者」の負担金積み立てによって「原子力損害賠償支援機構」を設立し、資金が足りなければ「国債発行による公的資金などを借り入れ」、東電が支払うべき賠償金を立て替える(東電が長期間かけて返済)というものである。
 これに対し民間の有識者団体「公正な社会を作る民間フォーラム」が、「東京電力と関係する特定利益者の負担軽減を優先する不当な内容だ」と批判し、「まずは東電に会社更生法を適用せよ」と提言した。
 メンバーの一人である福井秀夫氏(政策研究大学院大学・教授)は、
 「各銀行は債権放棄となる東電の法的整理を避けたい。財政当局は国家賠償をしたくない。東電は会社を維持したい――と三者の思惑が一致。そこで出てきたのが、この政府案だ」
 と批判する。たしかに東電は倒産したくないだろうし、銀行だって東電が倒産すりゃ借金はチャラになるから困るわな。
 「負担は事故に何ら責任のない消費者に転嫁される。しかも機構の設立によって、事故とは関係のない東電以外の電力会社の利用者にも転嫁される。責任のない者に負担を押し付ける。事故の負担は一義的には東電。そして、ステークホルダー(利害関係者)の株主、債権者が負うべきだ」(福井氏)

 【こち特】編集部も次のように補足している。
 「一般に企業が重大な事故を起し、巨額な損害賠償責任を負って債務超過となれば、会社更生法が適用され、株主や債権者の責任負担を求められる。それに従えば、今回も、東電が最大限に責任を負い、それでも足りなければ国民負担を求めるというのが筋だ」
 全く同感。まず原因企業の東電のケツの毛まで抜いて、それでも足りなければ(足りないに決まってるけど)国庫負担を検討するべきではないか?そして東電は倒産するなり身の振り方を考えればいいんだ。まずは閉鎖したまんまの渋谷電力館とか売っちまえばいいのに。
 「東電の貸付対照表によれば、純資産額は約1兆6千億円、金融機関からの長期借入金は約3兆4千億円に上る。東電も出資する原子力関連の公益財団法人には約3兆円もの積立金が眠る」(編集部)
 「それらには手を付けられず、東電と関係者の組織は温存され、収入確保のために電気料金を上げるというのは、不公正の極みだ」(福井氏)

 同じくメンバーの久保利英明氏(弁護士)も次のように指摘する。
 「会社更生法とは文字通り、会社を更正させる法律。事業は継続するので『電力供給が止まる』なんてありえない」
 「日本航空は会社更生手続きを取ったが、飛行機は止まっていない。それに、大企業で不祥事があれば役員一掃は当たり前のこと。企業風土を変えないと、再び問題が起こるからだ。東電はそれをしない。なぜ、東電だけが特別なのか。これではモラル・ハザード(倫理観の欠如)の塊だ」
 事故後も改められない隠蔽体質やちぐはぐな対応を見てると、東電はまたこういう大事故起しても責任逃れするだろうなって思うよな。つーか全然反省してないみたいなんですけど。つーか民主党も、国策企業である東電を守りたいんだろうよ。水俣病を起したチッソが国の庇護のもとに存続しているようにね。

 しかもこの法案は、電力会社の積立金が足りなければ機構に国債を交付(国が金を貸す)と定めておきながら、次のような但し書きもがある。
 ただし、政府は、負担金によって電気の安定供給等に支障を来し、または利用者に著しい負担を及ぼす過大な負担金を定めることとなり、国民生活・国民経済に重大な支障を生ずるおそれがある場合、機構に対して必要な資金の交付を行うことができる。
 要するに国が金を貸すんじゃなくて金を与えるというわけだ。東電を生かしたままで。
 「これで東電は今後、どんなに資金難に陥ったとしても、交付国債の現金化だけでなく税金の直接投入で生き延びることが可能になった。絶対安心の生命維持装置を確保したも同然だ」(7月27日東京新聞社説)

 「法案の趣旨」は、
1.損害賠償のための万全の措置
2.福島原発事故処理に関係する事業者等への悪影響の回避
3.電力の安定供給
となっているが、最も重要なのは2だろうな。東電を潰さないための法案だね。

 また福井氏は、政界では東電への会社更生法適用案が少数意見にとどまっていることについて「電気事業者による政界工作のせいだ。既得権益者の特権維持策にすぎない」と指摘する。
 「私たちの提言を紹介すると、市民はほぼ100%が賛同する。知られていないだけで、もっとメディアが告知してくれれば世界は変わる」
 ってゆうか、少なくともテレビは電力会社や電機メーカーの機嫌を損ねたくないんだろうな。

 こうして加害企業たる東電の責任を曖昧にして、株主・銀行など債権者の損害を食い止めつつ、国民全体に負担させようとしているわけだ。それどころか今後、賠償金に上限が設けられようとしているらしい。
posted by 鷹嘴 at 01:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 原発 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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