ノーベル賞作家グラス氏「ナチ武装親衛隊にいた」と告白
2006年08月12日10時31分
ドイツのノーベル賞作家、ギュンター・グラス氏(78)が第2次大戦時、ナチスの武装親衛隊に所属していたと11日、独有力紙フランクフルター・アルゲマイネ(電子版)が報じた。グラス氏は鋭い社会風刺や政治評論、平和運動への深いかかわりで知られ、今後波紋を呼びそうだ。
同紙によると、グラス氏は今年9月に出版予定の自伝の中で武装親衛隊に所属していたことを告白しているという。同紙のインタビューに対し、グラス氏は「長い沈黙をへて自伝を記すことにした。(所属した事実を)はき出さなければならなくなった。自分自身に強いた」と述べた。当時は罪悪感を感じなかったが「戦後は恥を感じ、苦しんできた」と打ち明けた。所属したのは17歳の時で、44年末か45年初めとみられる。同隊からの「召喚だった」と述べ、自発的ではなかったことを強調した。武装親衛隊は39年ごろ発足。親衛隊(SS)の中で強大な武力を保持するナチス最強の部隊と称された。ヒトラーの侵略行為を実現する役割を果たし、国防軍とともに戦争終結まで戦った。
グラス氏は、現在はポーランド領のグダニスク(旧ダンチヒ)生まれ。3歳で成長が止まった少年の目でナチス台頭から敗戦の混乱期を描いた小説「ブリキの太鼓」や「はてしなき荒野」などで知られる。99年にノーベル文学賞受賞。平和運動にもかかわりイラク戦争に反対した。
「元ナチス」告白、グラス氏窮地 ノーベル賞返還要求も
2006年08月17日22時59分
ドイツのノーベル賞作家、ギュンター・グラス氏(78)が第2次大戦末期にナチスの武装親衛隊に所属していた過去を明らかにしたことが、反響を呼んでいる。ナチスの歴史的責任を問い続けた独文壇の代表格だっただけに失望や怒りの声が相次ぎ、ノーベル賞返還を求める声も出ている。この問題を詳述した同氏の自伝が16日に前倒し販売され、購入者が相次いだ。
グラス氏は独紙フランクフルター・アルゲマイネで武装親衛隊への所属を告白。複数の独メディアによると、ナチス研究の第一人者の作家ヨアヒム・フェスト氏は「一貫してナチスを批判しドイツのあるべき姿を唱えたグラス氏だが、もはや信じられない」と批判。独ユダヤ人中央評議会のクノーブロッホ会長も「ナチスの罪を批判してきた評論や演説は一体なんだったのか」とコメントした。
与党キリスト教民主同盟の文化担当議員は「モラルにかかわる。ノーベル賞などあらゆる賞を返さなければならない」と批判した。スウェーデン・アカデミーの広報担当者はノーベル賞を取り消さない方針を示しているが、独ニュース専門テレビ「n―tv」の16日の世論調査では「自主返還すべきだ」との意見が3割を占めた。
隣国ポーランドでもグラス氏の故郷、グダニスク市が93年に与えた「名誉市民」称号の返上をワレサ元大統領が要求。チェコでも地元ペンクラブが94年に与えた賞の取り消しを求める声が上がる。「自伝の格好のPRだ」と皮肉の声もある。グラス氏は独テレビで「裁きたいように裁けばよい」とコメントした。
これ、分かんねえなあ。17歳の時じゃん。日本だったら当時の17歳はみんな報国なんたら隊とかだよ?