2006年09月15日

「階級史観風」ってなんですか?

安倍は何が言いたいんだ?
安倍氏、靖国参拝問題で外務省と食い違い
 安倍晋三官房長官は11日の討論会で、中国政府が72年の日中国交正常化の際、一般の日本国民をA級戦犯など戦争指導者と区別する論理を使って戦争賠償請求を放棄した経緯について「そんな文書は残っていない」と述べ、中国独自の立場だとの認識を示した。谷垣禎一財務相の質問に答えた。

 中国側はこの論理に従い、A級戦犯を合祀(ごうし)する靖国神社への首相参拝に反発してきたが、安倍氏は「日本国民を2つの層に分けることは中国側の理解かもしれないが、日本側は皆が理解していることではない。やや“階級史観”風ではないかという議論もある」と疑問を呈した。
 これに関連し、外務省の谷内正太郎事務次官は同日午後の記者会見で、賠償放棄を明記した72年の日中共同声明を念頭に「中国政府がそのような立場でずっときていることは事実として認識している」と表明。「それについて良いとか悪いとか日本政府として立場は基本的に明らかにしていない」と述べた。
[2006年9月11日22時11分]

安倍氏、改憲に「5年近く」 中国の戦争責任観に異論
2006年09月12日00時26分
 安倍官房長官は11日の公開討論会で、持論の憲法改正について「これは1、2年でできる話ではない。5年近くのスパン(期間)も考えなければならない」と表明した。来夏の参院選についてはすでに決定した自民党候補の差し替えも検討する意向を示した。また、72年の日中国交正常化の際、中国が戦争指導者と一般国民を分けて自国民を説得したことについて「それは中国側の理解かもしれないが、日本側はみんなが理解しているということではない」と述べ、容認しない考えを示した。

 公開討論会は日本記者クラブの主催。自民党総裁選に立候補している安倍氏、谷垣財務相、麻生外相の3氏が出席し、政策論議を深めるため、候補者が互いに質問や意見を述べ合う形式を告示後初めて取り入れた。
 安倍氏は憲法改正の手順について「与党内あるいは野党の人たちにも呼びかけていく中で、コンセンサス作りにおいて党総裁としてリーダーシップを発揮していきたい」と述べ、「拙速でそもそもできるものでもないと思う」と語った。自民党単独で憲法改正の発議に必要な衆参両院の3分の2以上を持たないため、合意形成に時間が必要との見方を示したものだ。
 アジア外交をめぐっては、谷垣氏が「日中国交正常化をした時に、中国は戦争指導者と一般の日本国民を分けて国民に説明した経緯があった」と指摘すると、安倍氏は「そんな文書は残っていない。国と国とが国交を正常化するのは、交わした文書がすべてなんだろうと思う」と反論。そうした記述が国交正常化の際の文書に残っていないことを強調した上で「日本国民を二つの層に分けることは、階級史観風ではないか、という議論もある」と批判した。
 民主党との決戦となる来年夏の参院選については、安倍氏は「候補者は大切だ。当然、もう一度見直して決定しなければいけない」と述べ、与野党逆転をかける民主党に勝てる候補者選びに力を入れる考えを示した。郵政民営化に反対した「離党組」については「私が総裁になって、私とほとんど同じ考えを持っている人が野党にいる方が、国民にわかりにくい」と述べ、復党を認める考えを示した。
 集団的自衛権の行使をめぐる問題では、安倍氏が「公海上で日本と米国の艦船がパトロールをしていて(その最中に)米国が攻撃されても、日本は手出しできない。これを研究してみることすらいけないのか」と指摘。これに対して、谷垣氏は「憲法改正によって対応すべきだ」との前提の上で「どこまでが集団的自衛権の問題か、研究は否定する必要はない」と述べた。麻生氏も「条件をきちんとした上で考えてもおかしくない」と語った。
 一方、安倍氏は消費税引き上げの議論については来夏の参院選以降に行う考えを表明。社会保険庁の改革案を臨時国会に提出する考えも示した。

「外交は文書だけでない」/福島党首が安倍氏批判
 社民党の福島瑞穂党首は13日午後、国会内で記者会見し、安倍晋三官房長官が日中国交正常化の際、中国政府が一般の日本国民と戦争指導者を区別した経緯をめぐり「そんな文書は残っていない」と発言したことについて「外交は交わした文書だけがすべてではない。お互いに(認識を)積み上げてコンセンサスを作ってきたのだから、外交的にも極めておかしい」と批判した。

 その上で福島氏は「日中国交正常化の際の合意を踏みにじるだけでなく、戦後60年間の民主的な動きの積み重ねを覆そうとしている」と指摘。「安倍氏自身が、あの戦争を侵略戦争と認めるのか、戦争責任をどう考えるのか、という問題だ」と強調した。
(2006/09/13 20:48)

・・・たしかに、日中共同声明の中に「中国は戦争指導者と一般の日本国民を分けて国民に説明」したという文言はない。しかし谷垣はそんなことは言っていない。そのように「国民に説明した」と言っただけである。安倍は日本語が理解出来ないのか?
ちなみに(以下は9月14日朝日新聞3面からの引用)、日中共同声明の署名の4日前北京の人民大会堂にて、当時首相だった田中角栄を招いた夕食会で周恩来首相が、
「中国人民は、毛沢東主席の教えに従って、ごく少数の軍国主義分子と広範な日本人民とを厳格に区別してきました」
と述べたという。
「外交とは、水面には見えない交渉が下支えしている。国交正常化の際、中国はこの理屈で、まだ反日感情の強く残る国民を納得させ、賠償を放棄した。日本はそれに乗って国交回復を実現させた。
両国の共同文書には入らなかったが、そうした事情で困難な交渉がまとまったことは、広く知られている。
それを今になって『文書が全て』と片づけてしまうのは、中国側の苦心に冷や水をかけるものだ。あまりにも一方的な議論ではないか。
安倍氏の発想の根っこにあるものは、あの戦争を侵略戦争と言いたくないという歴史観だろう」
つまり安倍はそういう幼稚な心情によって、これまで自民党の政治家たちが積み重ねて来たことを崩そうとしているのである。

さて、安倍はそういう中国政府の国民への説明を「階級史観」と呼びたいようだが、無学な俺には何のことだがサパーリ分からん。つーか「日中国交正常化をした時に、中国は戦争指導者と一般の日本国民を分けて国民に説明した経緯があった」というのは、つまりこういうことだろ思う。
「私たちはついに日本帝国主義を打倒しましたが、私たちを支援してくれた世界の人民のなかには、日本の人民も含まれています。また日本の人民が、現在の日本軍国主義復活に対して、私たちと同じ側に立って戦っていることも知っています。歴史の歯車は、もはや反動どもの力によって逆転することはありません。私たちは世界の被抑圧民族・人民と固く団結して、インドシナ人民を断固支持し、日本軍国主義反対の革命勢力を支持し、米帝に反対する世界の革命的行動を支持するものです。世界の勝利は革命的人民の側にあり、もちろん日本人民の側にもあります」
(「中国の旅」(本多勝一/著 朝日文庫)P-206より。1971年、本多先生は中国各地を訪れ日本軍の残虐行為を取材した。天津から列車と車を乗り継いで途中一泊しながら「潘家峪」(バンカコク)という山村を訪れ、そこで「県の革命委員会」から潘広林さんという当時17歳だった虐殺事件の体験者を紹介され、「潘家峪事件」と呼ばれる虐殺事件(参考)について証言を得た。
潘広林さんは取材の最後に本多先生に対し、以上のようなことを語った。言うまでもなく当時アメリカは「インドシナ半島」にあるベトナムを侵略していた)
「あの国際裁判に出廷したころ、私は現在とは違ったことを考えていました。中国人の失った損失は全て返してもらいたいと思っていた。莫大な財産はもちろんですが、日本の侵略のおかげで死んだ厖大な数の中国人や、生き残っても私のように重傷でひどい目にあった者たちのために仕返しをしたいと思っていました。賠償する側に対して、賠償させる側が受けたと同じ目にあわせよう、つまりは血で血をつぐなわせようとまで考えていました。
けれども、今は違います。私の考えが変わったのは、中国革命によって国民党政権が崩壊したあとでした(ここで伍長徳さんは突然、それまで抑制していた感情があらわになり、滂沱たる涙を流した)。中国人民にあのような苦しみをもたらした本当の原因は、決して日本人民そのものではない。日本人民をそのように駆り立てた日本帝国主義、その思想こそが侵略の元凶なのだ。中国人民が殺されたのと同じ数の日本人民を殺したところで、この元凶は何の影響も受けないどころか、逆効果でしかない。私にそう教えたのは、毛主席の率いる中国共産党でした。日本人民とは、むしろ固く手をにぎっていかなければならない。そして、帝国主義が私たちの国や人民に加えた災厄の深さを幼いときから見たり体験してきた一人としての私は、この体験を次の世代に伝え、帝国主義の恐ろしさをよく認識させると同時に、人民との友好関係は子々孫々まで推進しなければならない、そう思っているのです」
(南京への道」(本多勝一/著 朝日文庫)P-365より。本多先生は1983年と84年に南京大虐殺の生存者への取材を行った。南京陥落直後、南京市内で豆腐店を営んでいた伍長徳さんは安全区に避難していたが、日本軍が侵入し伍長徳さんら大勢の男性を「何か日本語で叫びながら」連行し、機銃掃射して虐殺した。これが南京に於ける「便衣兵の掃討」の実像である。伍長徳さんは銃撃の直前に地面に伏せ、そのまま死体のフリをして難を逃れたという)

つまり、国家間の対立があったとしても、国民同士までもが対立してはならない、双方とも国家に抑圧されている立場なのだから、国境を超えて連帯しなければならない・・・ということだろう。
日中戦争では日本国民は加害者であると共に被害者でもあった。現時点で約2600人もの兵士が犠牲になっているアメリカでも同じことが言える。中国国民にとって日中戦争の次の災厄は文化大革命だったが、共産党の一党独裁という体制は今でも変わらない。
ブッシュと小泉の連携による、「規制緩和」(という名目の大企業と富裕層への利益誘導)によって「格差社会」が形成し、苦しんでいるのは日本国民もアメリカ国民も同じである。中国でも都市部と地方で格差が広がっている。農民は今まで通り貧しく暮らし、発電所建設などによって補償も受けずに強制退去させられることもある。炭鉱労働は「万人坑」を彷彿とさせる劣悪さである。
こうして国家に苦しめられている各国の国民が、他国の国民と敵対しても意味がない。自分たちは国家という魔物に支配されている被害者、という立場で共通している。国境という枠を超えてこの魔物と対決しなければならない、ということだろう。
しかし支配者する側にとっちゃ支配される側がこれに目覚めてしまったらマズイことは安倍でも分かるのだろう。反日デモ参加者は日本料理店を襲撃して欲しい、嫌韓厨には「チョン氏ね」「シナ人氏ね」などと書き込んで欲しい、このブログ主みたいな反米厨にはイラクやアフガンでアメリカ兵が死ねば大喜びして欲しい、次の911を期待して欲しい・・・のが連中の本音だろう。

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posted by 鷹嘴 at 12:21| Comment(1) | TrackBack(3) | 歴史認識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「日本の国民を何十万も中国に送り込んで戦争に巻き込んでおきながら、自分はのうのうと私腹を肥やしてきた世襲制政治家の一族」と、
「彼らによって殺されたりひどい目に合わされたりした人々」との間には、
同じ日本人でも立場や考え方の違いがあるのは
現実問題として隠しようがないわけで、
(@∀@)
安倍があくまでそれを「ないことにしたい」
という気持ちはよくわかるよね!
Posted by 九郎政宗 at 2006年09月16日 15:18
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