東京電力などの電力会社の労働組合は、経営側と一体になって原発推進のため政界工作を行っている。それら御用組合を束ねるのが【電力総連】である。
まず過去ログの焼き直しだが、2011年4月に厚生労働省が東電とその労組や協力会社からヒアリングしたところ、福島第一原発で基準を超えた放射線を浴びた作業者も今後も原発で働けるように国に対応を求めたい、という要望が労使双方から出た。5年間で累計100ミリシーベルト被曝した場合は、最長5年間は原発作業ができないが、これを緩和せよというのだ。
福島第一で多くの作業員が被曝すれば、他の原発でも作業員不足が発生する。これを回避するため、労働者に更なる被曝を強いるつもりだ。呆れたことにこれは経営側だけでなく組合側からの要求でもあるのだ。労働者を守るためにあるはずの労働組合が、労働者に死をもたらす被曝労働に向かわせようとしているのだ。
◇ 被曝基準超えた作業員の雇用継続求める 労使、国に要望2011年4月9日17時14分 (魚拓)
そして同月、細川律夫厚労相(当時)が基準緩和を発表。年間50ミリシーベルト被曝した場合でも、同年度に別の原発での作業は認めるという。(*1)
◇ 原発作業員の被曝上限緩和 5年100ミリシーベルト (魚拓)
さらに焼き直しだが、かつては東電の正社員も電柱に登るなどの作業に従事していたが「感電死などの労災が問題とされたため」1960年代から請負化、つまり下請企業に任せるようになったという。
原発労働についても労組が「被曝の多い場所は請負にしてほしい」と要求、「労使一体となって危険な作業を下請化させた」。(5月28日東京新聞・こちら特報部)
こうして現在では、電柱や送電線に登って感電や墜落事故に見舞われるのも、原子炉の内部に入って被曝するのも、下請け・孫請け・ひ孫請けの労働者になった。このように同じ労働者仲間に危険な労働を押し付け見捨ててきたのが、東電など電力会社の労働組合であり、それらは電力総連に加入している。
■ 全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)は組合員数約22万人を擁す、旧同盟系の組織。日本労働組合総連合会(連合)の「中核組織」であり、政治への影響力も強い。経営側と一体になって原発推進に手を染めた労働者の敵である。史上最悪の原発事故の後も、その姿勢を崩そうとはしない。
電力総連の事務局長・内田厚氏は「福島原発の安定化が最優先課題。事故原因が分かっていないのに、原発を見直すべきかどうかの議論は出来ない」と繰り返す。「(原発は)議会制民主主義において国会で決めた国民の選択。もしも国民が脱原発を望んでいるなら、社民党や共産党が伸びるはずだ」
かつて電力会社の役員などが自民党に多額の献金を行っていたが(*2)、電力総連は「票とカネで民主党を全面的にバックアップ」し、「政権交代で存在感を飛躍的に増大」させた。菅内閣の特別顧問だった故・笹森清元連合会長は、東電労組委員長と電力総連会長を務めていたという。電力会社労組から議員に転進する者も多く、そして古巣から多額の献金を受けている。
参院議員の小林正夫氏は東電出身、藤原正司氏は関西電力出身。2007年〜2009年の政治資金収支報告書によると、電力総連の政治団体「電力総連政治活動委員会」から、小林氏へ4000万円、藤原氏へ3300万円が提供されている。
ちなみに旧同盟系労組の支援を受けている民主党議員の拠点が「民社協会」だという。つまりは「旧民社党系」だ。1960年に社会党から離脱した右派が結成した民社党は、日本の左派勢力分断を目論むCIAから資金提供を受けていたという(参考)。
「(旧民社系勢力について)人数は多くないが、団結力の固さとベテラン議員の多さで要職についている。小沢一郎元代表にべったりかと思えば、菅直人首相を支援する。中間的なスタンスを取りながら最後はうまい汁を吸う体質」(政治評論家・森田実氏)
「旧民社系や電力総連は、事故後も原発を推進し続けるだろう。労働者や国民の安全は二の次という政策が変わるとは思えない。見直しのふりをするのがせいぜいだ」
自民党は電力会社が作る「電気事業連合会と二人三脚で原発を推進」してきたが、民主党は電力総連に政治資金と選挙対策を依存している。そして電力総連の政治工作は民主党政権の原発推進政策に反映する。同党の「新成長戦略」では国内の原発増設、さらに原発の海外輸出が方針化された。
かつて自民党は電力会社から支援を受け、民主党は電力会社の労組から支援を受け、どちらも原発を推進している。これではいつまでたっても原発は無くなるどころか増えるだけだ。
■ 2011年6月17日衆院第二議員会館にて「全国労働安全衛生センター連絡会議」や市民団体が国に対し、原発労働者の労働環境改善を求める交渉を行った。「少人数の労働者に被曝のリスクを負わせている」ことを指摘し、「何重もの下請け構造の中で安全管理や雇用主の責任が確認できているのか」と追及した。これは電力会社とその労組が一体となって築いた構造である。電力会社の労組は正社員である組合員だけを守るために下請会社の社員・非正規雇用労働者へ被曝を強いるのだ。
市民団体「福島原発事故緊急会議」の岩下雅裕氏は東京新聞の取材に対し、「電力総連は会社と一体の労組。現場労働者の声を封じ込める重しになり、劣悪な労働環境が改善されない原因になっている」と語る。
昭和女子大特任教授・木下武男氏はこの状況を、
「半世紀以上に渡る労使癒着の結果だ」と指摘する。以上は2011年6月18日・東京新聞【こちら特報部】より引用。
「電産は左派的な産業別組合だったが、これを電力会社は嫌った。60年代には、労使癒着(協調)体制ができる。組合員が労組に逆らうことは会社に逆らうことと同じ。選挙運動もカンパも拒みにくい。旧同盟と旧民社党が巨大な集票マシンをつくった。民主党になってからは、原発推進が選挙で推薦するか否かの踏み台になった」
ちなみに電産(日本電気産業労働組合)・中国地方本部は1970年代後半、山口県豊北町に於ける原発建設計画に反対し、地元市民とともに建設を阻止したという(参考)。
■ こうして闘う労組は潰され御用組合だけが残る過程の中で、狭い日本列島に原発が乱立し、国鉄職員は分割民営化に伴って職場を追われ、非正規雇用労働者が激増し、労働運動が衰退していった。
下請会社に負担を押し付け、組合員の雇用は守る建前の一方で声を上げる者は叩き潰す御用組合は、電力会社の労組やJR総連だけではないだろう。東芝府中工場の孫請け労働者だった俺は、同工場の上野仁さんが資本・御用組合から受けた仕打ちを思い出す。
言うまでもなくこうした企業内労組は下請会社従業員・非正規雇用労働者の立場に対して冷淡どころか全く無関心、過度な負担を押し付けられ労働災害に見舞われても知らんぷりだ。東芝府中工場では子会社社員だけでなくかつての俺のような下請会社の労働者も多く、正社員と等しい負担を課される。そうした下請会社には、(俺の勤めていた会社もそうだが)ほとんど組合などなく、望まない配置転換や雇い止めに常に脅える身だ。しかし東芝の組合員たちは自分たちとの収入や待遇格差を気にかけることもなくハッパを飛ばすだけ。労働者仲間を見捨てる労働組合は、本当の労働組合とは言えない。
何度も言うが原発とは労働者の被曝を前提にして成り立っている。東芝など原発企業の労組も、下請労働者の被曝を傍観しつつ原発を推進している電力会社労組も、単なる資本家の手先だ。労働者の敵だ。かつての電産中国のように原発建設を阻止した労組こそ、本当の労組と言えるだろう。
そもそもユニオン・ショップ制度と組合費の給料天引きが、労組を腐らせる原因だと思うぞ。管理職以外の全社員が組合員となり、黙っていても毎月組合費を徴収できる制度は労組にとって大歓迎だし、この制度を潰されたくないため経営側との対決は避け、経営方針に従うようになるだろう。会社が原発推進の立場ならば、必然的に労組も保身のため同調せざるを得ない。原発事業から撤退しよう、なんて言いだすはずがない。
こうして経営側と労組はズブズブの癒着関係になる。組合費の会計が不明瞭なのをいいことに飲み食いに使っちまうような奴らが、執行委員を務めているというだけで出世コースだ。出世するどころか不当解雇されるくらいの対決姿勢が、労組本来の姿ではないか?
労使癒着の企業は得てして社会的・政治的に影響力の強い大企業だったりしてね。こんなんじゃ原発はいつまでたっても無くならず、非正規雇用労働者は非正規のままだ。世の中良くなるはずがない。
しかしこういう社会情勢だからこそ、個人でも加入できるユニオンや、企業内労組でありながらJR資本と非和解の闘いを続ける動労千葉や、大手ゼネコンと闘い半年間のストを打ち抜いて生コンの適正価格を勝ち取った関西生コン支部の存在感が輝いてくる。
俺たち労働者は、雇用形態によっていつでも解雇されかねない労働者の立場を、被曝し命を削られる原発労働者の立場を、決して無視してはならない。労働者ならば、他の労働者の立場に無関心であってはならない。労働者ならば、労働者の被曝によって維持されている原発の存在を許してはならない。
■ 2011年6月20日、市民団体「福島原発事故緊急会議」が東電労組と電力総連に対し、申し入れ書を提出した。福島原発で働く労働者の被曝への対応、下請労働者の健康管理と労災認定への支援などへの質問である。
そして6月29日、同市民団体のメンバー約40人が、都内の東電労組が入居しているビル前に集結。しかし電力総連の対応はそっけないものだった。応対した組合員は「申し入れが来たかどうかも分からない」「事前連絡が無かった」と繰り返すのみ。この申し入れプロジェクトの責任者である岩下雅裕氏が名刺を出しても受け取りを拒否。
このあと同団体は電力総連が入居するビルを訪れたが、組合員らしき男たちが立ち入りを阻止、「一触即発の雰囲気に」。交渉の結果、記者非公開で内田厚事務局長と話し合いが持たれたが、内田氏は「電力総連は申し入れを受ける立場の団体ではない」と突っぱねたという。
労働者の健康管理については「電気事業連合会を通じて各社に要望書を出した」というが、その文書を見せてくれと言っても「秘密です」と拒否された。岩下氏は「労組が会社側に改善を求めた文書のどこに秘密があるのか」とあきれ返る。以上2011年6月30日・東京新聞より引用。
■ 2011年11月30日、「政治資金収支報告書」の2010年分が公表され、電力会社の労組がつくる「政治団体」が、民主党の国会議員や地方議員に多額の献金をしていたことが明らかになった。
たとえば「電力総連政治活動委員会」などの「政治団体」は、東電労組出身の参院議員小林正夫氏に「10年7月の参院選を前に2657万円を集中投下」していた。前幹事長の岡田克也氏からは26万円、元文部科学大臣の川端達夫氏からは170万円のパーティー券を購入していた。
また地方議員も多額の寄付を受けている。「東電労組政治連盟」は「民主党を中心とする地方議員ら16氏側に計約1億800万円」を寄付していた。最高額は東電労組出身・民主党公認の石黒達男氏。1497万円の寄付を受け、昨年の統一地方選で練馬区議に初当選。
同組織は12都県の支部に約1億4000万円を配分し、各地の議員に寄付が行われた。東電労組などが出身の地方議員は09年12月時点で全国157人、労組側は彼らを「組織内議員」と呼び重点的にフォローしているようだ。
「東電労組政治連盟」は東京新聞の取材に対し「(寄付と)政権交代は関係ない。民主党の議員というより、組織内議員を支援しているつもりだ」と、説明したとのこと。ま、民主党議員のほうが増えたんだからそういう言い方も出来るかもな。(*3)
「政治資金規正法のあらまし」(総務省)によると、政治団体を除く企業や労組は、政党・政党支部や政治資金団体以外には寄付をしてはならない、とある。
分かりにくいが、企業や労組による政治家個人への献金は違法だが、政治政党に献金をしても合法。(もっとも電力各社は「『公益事業者としてふさわしくない』として74年から寄付を自粛」しているが(参考)。
しかも「政治団体」による政治家個人への献金は合法である。「金銭の寄付は禁止」とあるが、「選挙運動に関するもののみ」許可されている。抜け道だらけだ。
まとめると、東電やその労組が政治家某に献金するのは違法だが、民主党や自民党に寄付するのは合法。また東電労組が作る「政治団体」が政治家個人に献金しても合法だ。こうして原発は維持されている。
これら電力会社労組がつくる「政治団体」は、組合員が徴収される会費を資金源としている。「東電社員の給与明細書には『組合費等』の項目があり、労組の組合費と(東電労組)政治連盟の会費が給料から天引き」されているという。ある東電社員は「かつては一部社員が会費の支払いを拒否し、労組とトラブルになったこともあったが、最近は聞かない」と語る。
しかも信じがたいことに組合員ではない管理職社員も、この「政治団体」のための「賛助会費」を支払っているという。さらに「東京電力を除く4つの電力会社は、会社が管理職の給料から天引き」しているという(引用元)。労組の関連団体に、組合員ではない管理職社員が寄付していたんだ!もう労組も経営側も区別がない、原発維持のための機関に過ぎない。
北海道大学教授・山口二郎氏は次のように批判する。
「献金の原資となる電気料金は国民に選択の余地がなく、税金のようなものだ。その金で影響力を手に入れる構図は変えなくてはならない」
平たく言えば、俺たちの払う電気代が原発の維持どころか新増設への工作にも、使われてるってことだな。以上2011年12月1日・東京新聞、及びリンク先より引用。
■ 電力総連は当然ながら献金するだけでなく、民主党国会議員に対し原発維持のための組織的な陳情活動をしていたそうな。
議員の秘書らは、「脱原発に方向転換されては、従業員の生活が困ると陳情を受けた」「票を集めてくれる存在だから、選挙を意識して対応せざるを得ない」と証言し、電力総連関係者は、「会社がなくなれば労組もなくなる。会社の代わりに原発推進を訴えた」と明かす。
電力総連は民主党にカネだけでなく「票と人」を提供している。「ポスター貼りから電話作戦まで選挙慣れした組合員」を動員し、民主党に頼りにされている。電力系労組幹部は「うちは選挙に強い」と胸を張ったという。
ある電力系労組は、自分たちが支援している議員の発言をチェックし、国会などで原発に否定的な質問をした場合、議員や秘書を地元に呼び出して「あれはどういう意味ですか?」などと問いただすんだとさ。恐ろしいゴロツキだわな。
「うちが選挙の票と人手を持っていることを強調すると、大抵の議員は言動が慎重になる」
たしかに議員のセンセイ方にとっちゃ、原発批判と引き換えに資金源や選挙の支援を失い落選したくねえよな。なんて救いようのない世界でしょう。
電力総連はこうした民主党への工作について、「労組が取り組む社会保障や雇用などの諸問題は、政治でなければ解決できあにものがある。私たちの考え方に理解、協力していただける議員を支援している」と語るが、原発の維持と新増設こそが、もっとも重要な「私たちの考え方」じゃねえか?
東電の労組幹部は、「事故も収束していないし、原子力じゃないとだめなんで言えない状況だ」けど、「たとえ民主党でも、脱原発という議員は応援しない」と赤裸々に語る。以上2011年12月1日・朝日新聞より。
なんか絶望的な気分になってくるね。だけどさ、いまどき(政策に影響を及ぼすような)大企業の正社員って、労働者全体の中じゃたいした数じゃねえだろ?俺のような中小企業の労働者や非正規雇用労働者の方が圧倒的人数だろう。だから数じゃ勝ってる俺たち労働者・市民が団結して、電力総連のような御用組合とそれにおんぶにだっこの政界を打倒しなければ。官僚、大企業とその労組、それらにコントロールされてる民主党や自民党に、俺たちの運命を決めさせちゃならない。奴らによる支配を打倒しなくてはならない。
もちろん大企業の社員だって、かつての電産中国や動労千葉を見習って、出来る範囲で抵抗して欲しいと思うよ。
■ おまけ。東京都杉並区に安斉昭サンという区議会議員がいるそうだが、この人は区議と東電社員の二足の草鞋を履いているそうな。もちろん民間企業の会社員が議員になってはいけない、という法律は無いが。
1969年生まれの彼は「東電学園高等部」を88年に卒業し東電杉並支店に入社。東電労組支部の執行委員長などを経て2007年に民主党新人で当選。「(区の)事業が正しく執行されているかをチェックする監査委員を務めている」。杉並区議の収入は1千万円、それ以外に政務調査費を月16万円、さらに監査委員の報酬は月15万円。それ以外に東電の正社員としての給料も頂いてんのかな?
東京新聞の取材班はこの件も含めて安斉氏に取材したが「プライベートなことは答えない」「私がどこに勤めていようと関係ない」「東電と関係すれば何でも悪と決め付けるような報道はおかしい」と逆ギレしたそうな。
ところで東電は原発事故の補償に充てるため杉並の「東京電力総合グランド」を区に売却することを決定、売却価格は約200億円と見られるそうだが、ここで「利益相反」の問題が浮上する。つまりだ、杉並区としては当然のことながら東電グランドを出来る限り安く購入したい。東電としては出来るだけ高く売りたい。しかし杉並区議かつ監査委員の安斉氏は東電社員だ。さて安斉氏はどちらの利益を優先するのかな?以上、2012年1月20日 東京新聞【こちら特報部】より。
そして1月31日、杉並区は新年度予算案に東電グランドのための取得の予算60億円を計上したと発表。
◇ 東電グランド 杉並区取得へ (魚拓)
◇ 杉並区が東電グラウンドを60億円で買収へ 一部区民からは批判の声も (魚拓)
この金額で東電がOKするのか分からんけど。言うまでもなく杉並区の納税者としては200億円より60億円で購入してくれたほうが望ましいに決まっている。東電は売却が完了したらこの60億円を全て賠償に充てて欲しいものだ。ここだけじゃなく、早いとこ保養所や社宅などの資産を全て売却してほしい。つーか、ホントはこんな会社は国から補助なんかせず倒産してもらって、ケツの毛まで抜くべきだけどな。
そういうわけで?また原発について書くつもりだけど、ここ最近の1ヶ月に投稿1件という超スローペースは当分改まらないことをお断りしておきます。ゆる〜く続けます(笑)
*1 福島第一原発の復旧作業に携わる作業員の被曝上限は250ミリシーベルトまで上げられたが、2011年12月16日の省令によってこの特別措置は撤廃された。しかし原子炉冷却などの緊急作業での被曝上限は100シーベルト、また福島第一原発で被曝していた作業者の場合は2012年3月いっぱいまで250ミリシーベルトを上限にするという。
*2 自民党の政治資金団体「国民政治協会」本部の2009年分政治資金収支報告書によると、国会議員によるものを除く個人献金総額6485万円のうち4702万円(72.5%)が、9社の電力会社の役員やOBからのものだった。なんと現職役員の92.2%が献金していたという。実質上の企業献金に他ならない。
09年度のトップは東京電力役員らの1427万円。ある東電元役員は「心ある人は献金を、と言われたが、どうしたらいいか」と関係者に相談したという。この元役員は「みんな出すから自分も出す、みたいな感じだった」と打ち明ける。
しかし09年の政権交代によって自民党政治団体への献金額は減少しているようだ。たとえば北海道電力会長と社長は08年まで毎年30万円ほど献金していたが、15万に減らしたという。ここまで2011年7月23日・東京新聞。こうした献金額の合計は09年は4702万円だったが、10年は3427万円とのこと。2011年12月1日・東京新聞より。
※関連: (魚拓)電力9社役員の7割、自民献金 計2500万円
ちなみに献金をおこなっていたのは電力会社の役員だけではない。2010年分政治資金収支報告書によると、電力会社の関連会社15社が「国民政治協会」に、合計7119万円を献金していた。関電工は1330万円(国民政治協会・平成22年収支報告の8ページ) 、原発メーカーの東芝は1400万円(同10ページ)、東電前社長の清水氏は30万円。2011年12月1日・東京新聞より。
*3 こちらの記事が気になる。
民主党はかつて、原発を「再生可能エネルギー普及までの過度的エネルギー」と位置付けていた。だが、09年衆院選のマニフェスト(政権公約)では「原子力利用に着実に取り組む」と転換した。民主党のマニフェストなんざ読まずに投票しちまった俺は、原発推進に協力したことになるのか。つーかみんなで政権交代だって喜んでたのは、原発推進を喜んだようなもんか。
電力労組でつくる電力総連の政治団体から民主党議員への資金提供は、07〜09年の3年間で計1億1000万円超に上る。民主党の政策転換との関連を疑わざるを得ない。