「日本は神の国」発言の森前首相や「日本を不沈空母にしたい」発言の中曽根元首相らの監修によってまとめられたこの「要網」は、言うまでもなくトンデモな内容になっている・・・。
★たとえば前文では「日本国民は・・・国民統合の象徴たる天皇と共に歴史を刻んできた」とあるが、これはまるでウソっぱち。
明治維新以前は、武士や知識階級・富裕階級以外のほとんどの一般庶民は「天皇」なるものの存在すら知らなかったのである。
・・・・明治維新後間もなく政府は、各県で「人民告諭」というものを公布した。たとえば「奥羽人民告諭」では、
「天子様は天照皇太神宮様の後子孫様にてと説いている。天皇という存在を全く知らない者に対してはこのような説明が必要だったのだろう。
此世の始より日本の主にましまし
神様の御位正一位など国々にあるも
みな天子様より御ゆるし被遊候わけにて誠に神様より尊く
一尺の地も一人の人民もみな天子様のものにて
日本国の父母にましませば・・・・」
1869年に長崎で出された「御論書」はもっとあからさまに書いてある。
「この日本という御国には天照皇太神宮様から「天子様と云う方がござって」と、天皇というものが存在することをまず説明しなければならかなったのである。(以上「日本人と天皇」(雁屋哲/原作 シュガー佐藤/画)より引用)
御継ぎ遊ばされた所の
天子様と云う方がござって
是が昔からちっとも変わった事のない
この日本国の御主人さまぢゃ!!
天子様と云うものは色々御難渋遊ばされながら
今日まで御血統が絶えず
どこまでも違いなき事ぢゃ。
何と恐れ入った事ぢゃないか・・・・・」
日本人は天皇なんかとは全然関わりなく「歴史を刻んできた」のである。
★「安全保障及び非常事態」については、
「自衛のために自衛軍を保持する。自衛軍は国際の平和と安定に寄与することができる」とあるが、自民党の人間ってのは非常に頭が悪いらしく、この文章の矛盾に気づいていないようだ。
「国際の平和と安定に寄与」するものであれば「自衛軍」などとは言えません!むしろ「侵略軍」が近いと思われ。よーするにアメリカが「対テロ」だの「民主化」だのといった口実によって行なう侵略に、我が国は全面的に協力しますよ、ということを憲法上でも宣言しておきたいのだろう。
★「国民の権利及び義務」では、
「国防の責務―――国家の独立と国民の安全は国の責務であると同時に、国民の不断の努力により保持されなければならない」と謳っているが、「国民の不断の努力」ってのはナニかね?防空訓練とかですか(w
つーか「お国を守ろう」なんて発想はエンガチョだね!
また、「保険料など社会的費用を負担する責務を有する」とのことだが、将来どうなるか見込みが暗い国民年金を払い続けなさいよ、ってことだね。
さらに「家庭等を保護する責務」では、「国民は夫婦の協力と責任により、自らの家庭を良好に維持しなければならない」とあるが、余計なお世話である。夫婦喧嘩ぐらい勝手にやらせろ!(ウチのはハンパじゃねえぞw)
ついで「国民は子どもを養育する責務を有し、親を敬う精神を尊重しなければならない」っつーのも大きなお世話である。親を敬うかどうかなんて個人の勝手だし、もしガキが出来ても敬われたいなんて思わないね!なんつーか、もろ「教育勅語」の世界なんですけど・・・
・・・・自民党は結党当時の1955年から「自主憲法制定」を掲げてきたという(しかしアメリカの横暴に関しては一切の自主性を捨て去り盲従を貫いているのはブラックユーモアであるが)。つまりあの党は結党以来50年間、戦前への復古を目論んできたのである(まあこんなこと言うまでもないことだが)
国民はこんな集団に(途切れた時期はあったが)戦後のほとんどの期間に渡って政権を掌握させてきたことを反省し、そろそろ目を覚ますべきではあるまいか?