11月29日のNHK「クローズアップ現代」にて、「外国人研修制度」を取り上げていた。
前にも書いたが最近、アジア各国から「研修」「実習」という名目で招き入れた人々を、最低賃金以下の低賃金で酷使する事例が問題になっている。
番組で紹介していたのは愛知県豊田市の自動車メーカー(トヨタか!)の孫請け会社で働かされているベトナム人の若い女性。「研修」のはずだったのだが、自動車の座席シートの縫い合わせ作業を、朝8時から遅いときは夜中の1時まで従事させられている。しかも残業手当は350円。しかも馬鹿馬鹿しい事にトイレ休憩した回数と時間をカウントされ、規定時間を越えると1分当りの罰金が課せられる。
彼女はこの作業について「こんなことはベトナムでもやっていた」と語る。わざわざ日本に来て訓練するような作業ではないのである。要するに彼女は「研修」という名目で奴隷的労働を強いられているのである。
雇い主の態度は酷薄かつ異常で、「お前は人間ではない、動物だ」と罵られたこともある。現在彼女は労働監督署にこの不当な雇用について相談している。
また、「逃亡防止」のため、パスポートや給与が振り込まれる通帳を取り上げている事例もある。しかしそれでも母国よりも高収入を得られるので、この「制度」に応募する人々も多いらしい・・・。
最近の中小企業は海外との厳しい競争に晒され、大幅なコストダウンが強いられているため、海外の研修生を不当に働かせることが常識になっているという。インタビューに応じた経営者も悪びれず語っていた。また、こうした中小企業へアジア各地からの「研修生」「実習生」を供給するブローカーが存在し、企業間の組合組織がそれを振り分けているという。つまり実態は「研修」「実習」のための「制度」などではなく、労働力を搾取するための機構ではないか?
どうやらこの国の経済は、この問題や偽装請負などに見られるように、経営者側が雇用のルールをあの手この手で破らなければ成り立たないようである。
2006年12月01日
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今の日本の軽営者にはこの真逆のことをやって恥じない倫理観の欠如が見て取れます。
豊田商事事件のような無残な殺され方をしたとしても自業自得信賞必罰天罰覿面だと感じた次第です。