派遣労働者の直接雇用、政府の義務撤廃を検討 経財会議
2006年12月01日03時04分
政府の経済財政諮問会議が30日開かれ、労働市場改革「労働ビッグバン」として、一定期間後に正社員化することを前提としている現在の派遣労働者のあり方を見直す方向で検討に入った。この日は、派遣契約の期間制限の廃止や延長を民間議員が提案。期間が無期限になれば、派遣期間を超える労働者に対し、企業が直接雇用を申し込む義務も撤廃されることになる。諮問会議では専門調査会を設置して議論を深め、労働者派遣法の抜本的な改正などに取り組むことにした。ただ、今回の見直しは、派遣の固定化をもたらしかねず、大きな論議を呼びそうだ。
諮問会議では、八代尚宏・国際基督教大教授や御手洗冨士夫・日本経団連会長ら民間議員4人が、「労働ビッグバンと再チャレンジ支援」と題する文書を提出。労働者派遣法の見直しを始め、外国人労働者の就労範囲の拡大、最低賃金制度のあり方や育児サービスの充実などを検討課題として提案した。
なかでも注目されるのが、派遣労働者に関する規制だ。現在は派遣期間に最長3年といった制限があり、長期間働いた労働者への直接雇用の申し込み義務も企業側に課せられている。民間議員らはこの規制があるため、企業が正社員化を避けようと、派遣労働者に対して短期間で契約を打ち切るなど、雇用の不安定化をもたらしていると指摘。規制緩和で派遣期間の制限をなくすことで、「派遣労働者の真の保護につながる」と主張している。
しかし、「企業が労働者を直接雇用するのが原則」という労働法制の基本原則に深くかかわる。戦後60年近く守られてきたこの原則に関する議論になりそうだ。
労働ビッグバンの目的には「不公正な格差の是正」も掲げられている。正社員の解雇条件や賃下げの条件を緩和することで、派遣、パート、契約など様々な雇用形態の非正社員との格差を縮めることも、検討課題になりそうだ。
連合などは労働ビッグバンについて「労働者の代表がいない場で議論されており、企業側に都合のいい中身になる」と警戒を強めている。専門調査会が、非正社員らの意見をどのように反映させるのかも不透明。公平性の確保が問われそうだ。
安倍首相は会議で「労働市場改革は内閣の大きな課題」と言明。専門調査会で議論を深め、随時、諮問会議に報告し、府省横断の検討の場をつくって来夏の「骨太の方針」に方向性や工程表を盛り込む方針だ。
また民間議員は、役所の仕事を官民競争入札にかけて効率化を目指す「市場化テスト」をハローワークの職業紹介事業に導入し、サービスを高めるよう提案した。厚生労働省は「公務員が従事する全国ネットワークの職業安定組織」の設置を義務づける国際労働機関(ILO)条約を理由に導入に反対している。
民間議員は、主要な官のネットワークを維持しつつその一部を民間委託する分には条約違反にはならない、と主張した。ただ諮問会議で柳沢厚労相が反対を表明するなど、厚労省の反発は根強いとみられる。
ついでにこれもコピペ。
最低賃金引き上げへ 生活保護水準を考慮 厚労省方針せめて俺の会社(1800円くらいだったっけ?)ぐらいに上げるべきだな。
2006年12月01日06時07分
厚生労働省は30日、企業が働く人に支払う最低賃金の水準を引き上げる方針を固めた。最低賃金が地域によっては生活保護の水準を下回り、ワーキングプア(働く貧困層)を生む事態を改善するのが狙い。最低賃金法を改正し、「生活保護との整合性も考慮する必要がある」と明記する。基準を下回った企業に対する罰則も強化する。
来年の通常国会に最賃法改正案の提出を予定しているが、企業側は反対しており、調整は難航も予想される。改正されれば1968年以来、約40年ぶりとなる。
最低賃金には、都道府県ごとに全労働者を対象にする「地域別」と、特定の業種だけ高めに金額を決める「産業別」がある。具体的な金額は働く人の生計費や企業の支払い能力などを元に毎年改定しており、06年の平均時給額は地域別が673円、産業別は761円。 (スゲー安くね?)
見直し案では地域別について、最低賃金の算定根拠として生活保護の水準も考慮する。地域別の平均時給を年収に換算すると約140万円。生活保護の基準額は1人世帯(男性45歳)で148万円、2人世帯(女性48歳、子供12歳)で231万円など、最低賃金よりも高くなっており、見直しが実施されれば、最低賃金が底上げされる。
また、最低賃金を下回る水準で人を雇った企業に対して、現行では労働者1人あたり2万円以下の罰金が科されるが、これでは不十分と判断。30万円以上に引き上げる。
一方、地域別を上回る形で金額が設定され、経済界から「屋上屋」と批判が強い産業別については、罰則をなくし、労使の自主的な取り組みで改善をはかることとする。