残留孤児訴訟、国が控訴 孤児側に怒りの声
2006年12月11日19時39分
中国残留日本人孤児に対する国の賠償責任を認めた1日の神戸地裁判決を不服として、国は11日、大阪高裁に控訴した。
神戸地裁判決では、国が残留孤児を日本人と認めず、日本の家族の身元保証なしに入国を許可しなかったため、永住帰国の遅延を余儀なくされたとし、「違法な行政行為」と判断。また、北朝鮮の拉致被害者に対する日本語習得や就職の支援策と比べて「極めて貧弱」と断じた。
国側は、入国を許可しなかったのは入国管理法に基づく行為で、「入管法の解釈を誤っている」ことを控訴理由とした。昨年7月の大阪地裁判決で原告の孤児らが敗訴したことも挙げている。また、北朝鮮の拉致被害者との比較については「被害の性質を同視するのは誤り」と批判した。
残留孤児訴訟は、孤児らが15地裁に提訴しており、来年1月30日には、東京地裁で判決公判が開かれる。
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国側の控訴を聞いた東京原告団の池田澄江代表(62)は「怒りを感じる。せっかく神戸判決が私たちを救ったのに、国は私たちをもう一度捨てたようなものだ」と声を震わせた。来月末の東京地裁判決に向け、一層世論の関心を高めていく考えだ。
全国の残留孤児訴訟の弁護団を束ねる小野寺利孝弁護士は「控訴されても、孤児への給付金制度の創設など、政治解決を求めていく姿勢は変わらない」という。
11日昼には、文化人らが、国に控訴断念と孤児の老後の生活保障などを求める「緊急アピール」を発表した。その1人で、作家の井出孫六さんは「怒りというより、情けなさを感じる。神戸判決は、国として孤児たちにどう向き合ったらいいかを真剣に考えたものだ。国はもっと大きな度量で解決を考えてほしい」と話した。
・・・たしかに「同視」されたら、国としては困るだろうね。
北朝鮮による日本人拉致事件の方は、日本政府には全く落ち度は無いばかりか政治利用もできる。
しかし残留孤児の問題は、日本の侵略戦争と棄民政策がもたらしたものだから、日本政府としてはあんまり責任を認めたくないことだからね。