これは言うまでもなく、不当な人件費削減を行うためのものである。「サービス残業」を正当化するためのものである。
12月9日朝日新聞の特集記事によると、
「エグゼンプションがあれば、深夜まで残業が必要なときも割増料金を払わずに済む」
という本音を漏らした経営者もいるという。
もっとも、年収1千万ぐらいの社員ならば適用してもいいんじゃねえか・・・
と思ったのだが、
この記事によると、大手建設会社勤務で年収1千万あったが心疾患で倒れたある社員は、
朝5時半に出勤、夜10時まで勤務し、残業時間は月160時間、休日は年4日だったという。
「やり切れない仕事を目の前に置かれ、『自発的に働く』ことを強制されていた」
「ホワイトカラー・エグゼンプション」なるものが適用されれば、こういう勤務状態が増えるのではないか?
何時に出社しても咎められない代わりに、
週に5件のペースでこなしていた仕事を、6件も7件も押し付けられるのではないか?
「残業代ゼロ労働」導入を要請 経団連会長、厚労相に
2006年12月11日13時47分
日本経団連の御手洗冨士夫会長と柳沢厚生労働相らが11日、東京都内のホテルで懇談し、労働法制見直しなどについて意見交換した。経団連側は、一定条件の会社員を労働時間規制から外し残業代を払う必要がなくなる「ホワイトカラー・エグゼンプション」導入のほか、派遣労働者の期間制限や雇用申し込み義務の廃止などを要請した。
懇談は経団連側の申し入れで初めて行ったもので、厚労省と経団連の幹部約40人が出席。ホワイトカラー・エグゼンプションについて厚労相は「時間より成果で決める考え方は分かる」と導入に前向きの姿勢を示す一方、「問題は適用範囲」として年収要件が必要との同省の認識を示した。
派遣労働の規制緩和について厚労相は「日本の雇用慣行との調和をいかに図るかの視点が不可欠。やむを得ず派遣社員になる人がさらに多くなり、固定化する恐れがある」と述べ、これ以上進めることは否定した。
労働時間規制の一部除外、過労死家族会が導入断念を要望
厚生労働省がホワイトカラー社員の労働時間規制を一部除外する「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入を検討していることについて、過労死した人の遺族らでつくる「全国過労死を考える家族の会」は11日、「同制度は長時間労働を招き、過労死が増加する」として厚労省に導入を断念するよう申し入れた。
厚労省は来年の通常国会での法改正を目指しているが、労働組合などは強く反対している。
8年前に銀行員の夫(当時47)を心筋梗塞(こうそく)で亡くした女性は「管理職でも自分の裁量で仕事の量を決められない。同制度の導入はホワイトカラーに過重な労働と健康被害をもたらす」と話した。 (20:12)


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それにしてもそんなにひどい奴隷状態の労働を強いられておいて拒否もしなければサボタージュもしなければストライキもしない社会にいつからなってしまったのでしょうか?
だから軽営者(佐高信さんにならって禄でもない経営者のことを便宜上こう呼ぶことにします)はますますつけあがってると思います。
実名を挙げられて非難ごうごうでなかったらいつまでも軽営者は自分のおろかさに気がつこうとさえもしないでしょう。
実名を挙げられてボイコット運動などで干し殺され社会全体で社会的制裁を与えられなくてはすこしも恥じることなどないでしょう。
労働者をとことんまで侮辱し絞りに絞り上げる経団連に対し近いうち一揆が起きなければうそです。
銭・金の問題以前に、憲法で保障されているはずの「健康で文化的な最低限度の生活」をすでにぶち壊されつつあるところにとどめの一撃を打ち込もうとしているのですから。