藤原紀香サマの表紙にひかれて思わず手にした「週刊現代」1月6・8日合併号に、驚くべき記事が掲載されていた。1978年に北朝鮮に拉致されて24年後に帰国した蓮池薫氏は、1986年に、日本人を拉致するため国内に潜入していたというのだ。
「愛知県内で電力設備のメンテナンス会社に勤める元小学校教諭」の横井邦彦氏(55歳)は、
「忘れもしない、02年10月15日のことです、羽田空港に到着した政府チャーター機から、拉致被害者5人が降りてきました。その時、蓮池薫さん(49歳)を見て、『あ、私を拉致しようとした男だ!』と思わず叫んでしまったのです」と語る。
・・・1986年は、横井氏にとって最後の教員生活だった。3月18日の午後、体育館で二日後に控えた卒業式の予行練習を行い、その後片付けをしていた時、突然背後から「横井先生」と声をかけた男がいた。
「誰だろうと思って振り向くと、細身の男性が立っていました。それが、16年後に私がテレビを見ていてアッと驚いた蓮池薫さん(当時28歳)だったのです」
その男は、自分は北朝鮮から非合法な手段で渡航したこと、しかも日本人であることを告げた。
「実は私は、日本海沿岸で、無理やり工作員によって拉致されました。殴られた末、袋に詰め込まれ、船で連行されたのです」
横井氏が、「日本海沿岸と聞いて『ひょっとして、小浜ですか』と聞いてみました。福井県小浜市は、幼少時代の思い出の町だったのです」と訊ねると、その男は顔色を変えて「○○のことを知っているのか」と詰め寄ってきた。
「○○とは誰か」と問い返すと、「○○は私の部下で友人だ」と答えたという。「この時、蓮池さんが口にした○○という名前については、記憶にありません。しかしいま思えば、小浜出身の拉致被害者・地村保志さんだったのでしょう」
またその男は、横井氏が法学部を出ていることを知っていたので、「この言葉を聞いて再び怖くなりました。私が(愛知大学)法学部を出ていることなど、どこで知っているのでしょう」と恐れた。その男は、自分は「あなたと同じ、大学の法学部で学んでいた時に拉致」されたが、北朝鮮では「金正日政治軍事大学を卒業し烽火大学に進学した」と自慢げに語り、そこで「格闘技、軍事訓練、工作訓練・・・。そんなことばかり」を学んだという。
さらに横井氏を訪ねた理由について、
「それは、日本の革命運動を日本で実現させるためです。いま北朝鮮には、100人以上の日本人が集まってきています。その中には、私のように拉致された人もいますが、自発的に来た人もいます」と語った。
「私はようやく蓮池さんが私に接近してきた目的が分かりました。左翼運動の世界では名の知れた私を北朝鮮に連行し、革命運動に参加させようとしたのです」
当時横井氏は「社会主義労働者党」を結成し愛知県委員長に就任、この年7月の参院選出馬を決めていた(4万410票で落選)。その男は横井氏の経歴を見込んで、「100人以上の日本人」のリーダーに仕立てようとしたのである。
「それはかつてあなたが拉致されたように、私をいまここから拉致して、同様のルートで北朝鮮に連行するということですか」
しかし男は「われわれの指導者として迎えようというあなたにだから、こうして頭を下げている」と説明した。
横井氏が「日本人のリーダーなら、(よど号乗っ取りの主犯)田宮高麿が平壌にいるではないか」と返すと、田宮には問題があり統率力がない、だから田宮に代わる指導者として横井氏を迎えようとしていると語る。「金正日同志も田宮が指導者ではダメだという意向です」
「悲しいことですがね、私なんか、長良川の鵜飼いの鵜のようなものなんですよ。首にヒモを巻かれて魚を捕らされる、あの鵜です。だから鵜の気持ちは、痛いほどよく分かりますよ」
しかし横井氏に男の「身の上を同情するような余裕」はない。
「社労党の愛知県委員長という重責にあり、愛知県から出る気はない」と断ると、男は「態度を一変させ」「眉間にしわを寄せ」、
「ここまで話した以上、このまま帰すわけにはいかない。あなたを拉致してでも北朝鮮に連れていく」と凄んだ。
気づけば体育館の壇上や2階通路には、見覚えのない3人の男たちが横井氏を睨んでいた。
「私は3日前に、愛知県庁の記者クラブで参院選の出馬会見を開いたばかりだ。国政選挙の候補予定者が突然失踪したら、日本の警察が黙っていないぞ」
こう言い返されて男は困惑し、他の男らに歩み寄り話し込んでいた。数分後、男は横井氏の所に戻り、「脅すような口調で告げました」。
「分かった。あなたを連れて帰るのは諦める。その代わり、いまここでした話を口外したら命はないぞ」横井氏は恐怖でその場にへたり込んでしまった。
「週刊現代」は真偽の程を確かめるために、昨年12月中旬横井氏を伴って新潟県柏崎市の蓮池氏宅を訪れた。横井氏が「20年前に蓮池薫さんと愛知県で会った者です」と告げたが、妻の祐木子氏は「主人はいません」と言うばかりだった。
そこで横井氏は「ぜひ国民に真実を語ってください」という手紙を託したが、12月20日現在、返答はないという。
・・・さて、信じられないような話だが、拉致被害者が各種の対日工作に関わっていたとしても不思議はないだろう。外務省の元北朝鮮担当者によると、2004年の平壌での「第3回実務者協議」の席上で、横田めぐみ氏の元夫の金秀男氏が「私は日本に行ったことがあるんですよ」と自慢げに語っていたという。「金秀男氏は韓国の拉致被害者ですが、日本語が達者でした。つまり、北朝鮮は拉致被害者を対日工作に徴用していたわけです」(同記事より)
たとえば何度も引用されている話だが、戦時中朝鮮半島にて、朝鮮人強制連行に朝鮮人自身が関わっていたという談話もある(鎌田澤一郎/著『朝鮮新話』)。日本帝国主義による植民地支配の被害者である立場の者が、同胞に対する加害者になってしまったのである。
同様に、拉致被害者が新たなる拉致に加担させられることもあり得ただろう。しかし蓮池氏が拉致に関わっていたとしても彼自身も拉致の被害者であることに変わりはない。憎むべきは韓国人や日本人を拉致した上に工作員に仕立て上げた金正日体制であり、拉致事件を政治目的に利用している自民党政権・救う会・家族会なのである。
「私は自分を拉致しようとした蓮池さんを恨んでいません。なぜなら、蓮池さんも被害者の一人で、自分で自嘲気味に話していたように、鵜飼いの鵜にすぎないからです。許せないのは、拉致した日本人まで対日工作員に仕立て上げた北朝鮮です。だからこそ蓮池さんには、いま胸に秘めている北朝鮮時代の真実を、明かしてほしいのです。私が今回、20年も経って、この忌まわしい事件を吐露したのは、まさにそのためです」
*この「週刊現代」の記事については、「救う会」や内閣府から抗議が出ている。
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2006.12.16-2)
■荒唐無稽な拉致記事−週刊現代に蓮池薫さんが抗議文
*ところで横井氏はこの件をネット上で公表していた。
http://www.asyura2.com/0610/asia6/msg/539.html
http://www.asyura2.com/0610/asia6/msg/580.html
http://www.asyura2.com/0610/asia6/msg/590.html
自身のブログもある。
★労働者のこだま(国内政治)
★横井邦彦の雑記帳
労働者のこだま(国内政治) ブログ再開にあたってから少々コピペ。
昨年は読者の皆様にはいろいろご迷惑をおかけいたしました。(以下略)
最初に、このブログを一時的に閉鎖しなければならなくなった週刊誌に掲載された20年前の事件の記事でありますが、横井の証言を掲載した『週刊現代』に対して、蓮池薫氏および内閣府より事実無根であるという「抗議文」が提出されています。
これは実に変な話でありまして、20年前に蓮池薫氏に会ったとあちこちでいっているのは私、横井邦彦でありますから、本来ならば、蓮池薫氏も内閣府も『週刊現代』にではなくむしろ私に対して、警告なり、抗議なり、非難なり、訂正要求なりをすべきことがらであったと思います。
(特に、蓮池薫氏に対しては、私の住所も携帯電話の番号も教えているのですから、何かおっしゃりたいことがあれば、ご一報いただけるとありがたかったと思います。)
しかし、これまでのところ、インターネット上でのネット右翼の無内容な喧噪や一部のマスコミ関係者を除けば、蓮池薫氏本人を含む関係者や公的機関(内閣府や警察等)のどこからも、私に対しては、何の反応も、接触もありません。
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しかしこの事件は拉致じゃなくオルグですよね。
拉致された人は北朝鮮とはなん関係もない人たちでしょう。
横井さんも北朝鮮とは何の関係もない人ですが、蓮池さんには当時その区別がつかなかったんでしょうな。