読売新聞サイトの速報だが、この虐殺行為に言及していたジャーナリストが暗殺されたという。最悪だな。
記事に民族主義者ら反発?トルコで編集者銃撃され死亡
【カイロ=長谷川由紀】トルコからの報道によると、同国の最大都市イスタンブール中心部で19日、アルメニア系トルコ人ジャーナリスト、フラント・ディンク氏(53)が頭などを撃たれ、死亡した。
ディンク氏は、トルコでタブー視されている、20世紀初めにオスマン帝国で起きた「アルメニア人虐殺」に関する記事や言動で知られ、民族主義者らから反発を買っていた。
ディンク氏はトルコ語とアルメニア語の2か国語週刊紙「アゴス」の編集長。アゴスの事務所がある建物を出たところを、若い男に銃撃されたという。
トルコ政府は「虐殺」を否定しており、同国では虐殺を認める発言や文章の発表は、国家を誹謗(ひぼう)した罪に問われる。ディンク氏は何度か起訴され、昨年、有罪判決を受けた。
トルコが加盟を目指す欧州連合(EU)は、アルメニア人虐殺問題を含め、トルコ側に言論統制緩和を求めている。エルドアン首相は「民主主義と言論の自由に対する銃撃だ」と犯行を非難したが、事件は政権にとって痛手となりそうだ。
(2007年1月20日12時8分 読売新聞)
(追加)
白昼の銃撃、トルコに強い衝撃 アルメニア系記者殺害
2007年01月20日10時40分
トルコ最大の都市イスタンブールで19日、アルメニア系トルコ人のジャーナリスト、フラント・ディンク氏(52)が射殺された事件は、トルコ国内に強い衝撃を与えた。第1次大戦でのオスマン軍によるアルメニア人大量殺害をめぐる言論に対するテロとみられ、欧州連合(EU)加盟交渉が停滞するなか、欧州側も事件に強い関心を示している。
銃撃は、イスタンブールの繁華街にあるディンク氏の事務所ビル前で白昼に起きた。自身が創刊した週刊紙「アゴス」紙上などで、アルメニア人殺害は民族虐殺だとしたうえで、アルメニア人に対し、トルコへの敵意を捨てよと主張していた。こうした言論が国家侮辱罪にあたるとして起訴され、05年に猶予付きの有罪判決を受けた。その後、過激な民族主義者らから脅迫を受け続け、10日付のコラムでは、脅迫の電子メールが殺到していると書いていた。
ディンク氏殺害に抗議し、言論の自由を求めるプラカードを掲げた市民数千人が、殺害現場のシスリ地区を中心に19日夜にデモ行進を続け、トルコとアルメニア人の歴史的和解を呼びかけた氏の業績をしのんだ。
エルドアン首相は、ディンク氏殺害を非難する声明を出し、「殺害に責任のある者は必ず捕まえる」と述べた。
トルコの記者殺害事件、少年を逮捕 背後関係に関心
2007年01月21日21時28分
トルコからの報道によると、イスタンブールで起きたアルメニア系ジャーナリストのフラント・ディンク氏(52)殺害事件で、トルコ警察は20日深夜、黒海沿岸の都市トラブゾン在住で90年生まれの無職の少年を逮捕した。第1次大戦中のアルメニア人大量殺害に関する発言で脅迫を受けていたディンク氏に対して殺害を教唆したグループなど、少年の背後関係などに関心が集まっている。
アルメニア系新聞社の前に置かれた、殺害されたフラント・ディンク記者の写真には、花束やろうそくが供えられていた=イスタンブールで21日、AP
少年は黒海沿岸の都市サムスンで、トラブゾンに向かうバス内で逮捕され、銃を持っていた。警察当局は犯行現場近くの防犯カメラに写った容疑者の写真を公開、父親が通報したという。
トルコのメディアによると、少年は高校中退後、インターネットカフェに出入りし、サッカーチームにも属していたが、周囲とうまくいかず、やめたという。過激な民族主義団体に属していたとの報道もある。