2007年01月31日

≪どこが問題?!憲法改正国民投票法案≫

昨年12月8日、夏淑琴さん裁判口頭弁論を傍聴してしばらくウロウロした後、弁護士会館の2F講堂クレオABで行われた「どこが問題?!憲法改正国民投票法案」という集会に潜り込んだ。恐ろしく立派で広い会場だった。入場無料だから会場代は全額主催者が負担したわけか。なのにちと空席が目立ったのが残念。

メインの講演は大東文化大学助教授の井口秀作氏。「国民投票法案」とは、
1.内容が問題であり、
2.作ること自体も問題だ

という。
講演内容と、配布された資料を基に、「国民投票法案」の問題点について、軽く触りだけ学んでみる。

まず日本弁護士連合会の「憲法改正国民投票法案に異議あり!vol.2」というイラスト付き小冊子より、「国民投票法案」の内容の問題について引用する。

与党と民主党の「国民投票法案」では、「改正」しようとする項目ごとに賛成/反対を投票するのではなく、まとめて投票させられる危険性がある。たとえば自衛隊の国際貢献については賛成だが自衛隊を「自衛軍」とすることには反対でも、個別の意思表示は出来ないのである。

国会で憲法「改正」が発議されてから、最短で60日で投票が行えるようになる。国民の間で憲法「改正」について論議する時間があまりにも短い。

与党案では、教育者はその「地位を利用して」「国民投票法案」を行うことが出来ない。教育の場で学生に対して現行憲法の大切さを訴えることも出来ないのである。

与党案では、国や自治体の公務員はその「地位を利用して」「国民投票運動」を行うことが出来ない。この「地位を利用して」という部分は恣意的に解釈されることだろう。たとえば自治労の組合員が護憲を訴えるビラを配布すれば、こじ付けで検挙されるかもしれない。

与党案では、「買収や利益誘導」は禁止されている。もっとものようだが、たとえば「憲法を考える会」という集いを開き、参加者に飲み物や資料を配布することも違反となるかもしれない。

与党・民主党案では、「広報協議会」が設置され、無料で新聞やテレビで広報・宣伝が出来るようになるが、この枠は各党の国会議員数に応じて割り当てられる。
これは国会で3分の2以上の賛成を得て憲法「改正」が発議された後であるから、必然的に3分の2以上が憲法「改正」に賛成する宣伝になってしまう。

与党案では、無効票を除外し有効票の中から過半数以上の賛成を得れば憲法「改正」を成立させるという。
もし投票率が50%で、有効票が80%、その半数が賛成だとしたら、
0.5×0.8×0.5=0.2
つまり有権者のわずか20%の賛成で、憲法「改正」が成立することになる。



続いて、「国民投票法案」を作ること自体の問題点を、講演内容と配布された資料(「世界」06年11月号に井口氏が寄稿した「『国民投票法案』に浮上した新たな問題点」のコピー)から引用する。

「国民投票法案」を成立させること自体に反対することを、「改憲派」は卑怯なことだと主張する。特に「住民投票」と比較して批判している。

「憲法9条を守りたいのならば、堂々と投票所で反対票を投じればいいではないか」
「地方自治体には『住民投票』という、住民が意思表示するための制度もあるではないか」
「国民自身が投票することに反対なのか?そういう態度は民主的ではない」

しかし地方自治体で行われる住民投票には、法的拘束力がない。「諮問的なものに過ぎない」のである。たとえば住民投票で原発誘致が否定されても、議会が決定すれば強行されてしまうのである。
しかし「住民の意思を直接政策決定に反映させようとする場合」、「住民投票という意思決定過程を『創造』することが必要」になる。
つまり住民投票の是非について論じることは、住民投票という意思決定過程を「創造」すべきか、否かが論点となっているのである。これに反対することは、たしかに「住民の直接決定に消極的な態度」と言えるだろう。

一方「憲法改正」手続きに於いては、国会での3分の2以上の賛成を得て発議し、国民投票を実施し過半数の賛成をもってして「憲法改正」が行われることは、日本国憲法96条1項に明記されている。
国民投票を行わなければ「憲法改正」は出来ないことが憲法で定められているのである。与党や民主党が提出した「国民投票法案」について論じる以前に、国民投票を行わなくてはならないことが憲法で定められているのである。「『国民投票法案』は、国民投票という意思決定過程を『創造』するものではないのである」
であるから、与党や民主党の「国民投票法案」に反対することは、既に憲法で定められている国民投票を否定することではない。地方自治体に於ける住民投票の実施に対して反対することとは全く異なるのである。

それに、与党が提案する「憲法改正」に賛成しない立場であれば、与党が「憲法改正」を実行する目的の「国民投票法案」の成立に賛成しても意味がない。不要なものを作ることになぜ賛成しなければならないのだろうか?
また国民投票の費用は、与党案で約850億円だという。与党の「憲法改正」を否決することは即ち現状維持を求めることであるが、現状維持のために約850億円もの国費負担を求めることに意味があるだろうか?
憲法改悪に反対する立場から「国民投票法案」に反対することには、このように当然の理由がある。これからも堂々と「国民投票法案」の成立自体にも反対し、憲法改悪を阻止するべきである。



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posted by 鷹嘴 at 23:07| Comment(2) | TrackBack(2) | 憲法九条を守ろう! | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
有益な情報をありがとうございます。現行の国民投票法案の問題点と、改悪反対派には国民投票法案自体がいらない、という理由がよくわかりました。

>与党案では、国や自治体の公務員はその「地位を利用して」「国民投票運動」を行うことが出来ない。

ふと思ったのが国会議員は公務員なのか?ってことです。ググッて見たら、憲法上は公務員だけど法律では、どっちにも取れるという不思議な自体だそうです。
http://houseikyoku.sangiin.go.jp/column/column058.htm

もっとも公務員としても特別職国家公務員になるので、国家公務員法の埒外とのことですが。

本人達は思ってもいないだろうけど、与党案の「公務員」に議員が入るとしたら、あまりに自爆でおもしろいと思いましたww
Posted by みん at 2007年02月01日 11:52
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Posted by 89966363 at 2007年02月03日 02:31
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