盗用の朝日新聞記者が諭旨解雇
朝日新聞社写真記者の記事盗用問題で、同記者がさらに読売新聞と新潟日報(新潟市)の記事計二本を盗用していたことが六日、分かった。朝日は同日、記者を諭旨解雇処分とするとともに、両社に謝罪した。
朝日はこのほか、人事管理や記事出稿の責任を問い、武内健二ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長と山口百希・東京本社編集局写真センターマネジャーを減給し更迭、三浦昭彦上席役員待遇編集担当を減給とするなど計五人を処分した。
盗用していたのは元写真センター新潟駐在の丹羽敏通写真記者(46)で、社内調査の結果、昨年四月の赴任以来の記事の出稿本数は計十六本と判明、これらを精査して新たに二本を盗用と判断した。
朝日によると、丹羽記者は一月二十一日付富山版の「祈り-冷水を浴びて」の記事を、一年前の昨年一月の読売新聞富山版から盗用。今年一月二十六日付名古屋本社・西部本社の夕刊社会面や同二十九日付新潟版に掲載された「暖冬で唐辛子移動」の記事は二十一日付新潟日報から盗用した。
丹羽記者は一九八四年入社。甲府支局で一年間記者をした後はカメラマン一筋で、昨年四月新潟に異動するまでの約二十年間記事を書く機会がほとんどなく、「写真にはこだわりがあるが、記事を書くことはプレッシャーを感じていた」と話しているという。
最初は新潟総局のスクラップブックなどで朝日の過去記事を参考にしていたが、先月ごろから他紙の記事を参考にするようになったといい、他紙を盗用することについて「強い罪悪感はなかった」という。
記事盗用、朝日新聞社が編集局長ら更迭…新たに2件
朝日新聞の写真記者が読売新聞の記事を盗用していた問題で、朝日新聞社は6日、この記者がさらに、読売新聞の別の記事と新潟日報の記事から計2件の記事盗用をしていたことを明らかにした。
朝日新聞社は、記事を盗用した元東京本社編集局写真センター員・丹羽敏通記者(46)(1日付で東京本社管理本部付)を諭旨解雇処分とするとともに、武内健二・役員待遇ゼネラルマネジャー兼東京本社編集局長と山口百希・写真センターマネジャーを減給処分にした上で更迭した。
同社によると、新たに分かった2件のうち、1月21日の朝日新聞富山県版の記事は、昨年1月21日に読売新聞富山県版に掲載された「大寒の滝で修行」の記事と酷似。また1月26日の朝日新聞名古屋本社、西部本社の夕刊社会面、1月29日の新潟県版に掲載された記事は、今年1月21日に新潟日報に掲載された「雪原映える紅」から盗用されていた。
社内調査に対し丹羽記者は、読売新聞などの記事を「参考にした」と述べ、「文章を書くことに自信がなく、記事を書くことにプレッシャーを感じていた」などと語っているという。
このほか朝日新聞社は、三浦昭彦・上席役員待遇編集担当を減給処分、外岡秀俊・役員待遇ゼネラルエディター兼東京本社編集局長をけん責処分にした。武内編集局長の後任には、6日付けで粕谷卓志・東京本社社会エディターを充てた。
朝日新聞社は同日夜、三浦昭彦・上席役員待遇編集担当が記者会見し、「深刻に反省し、このような事態を二度と起こさないための態勢を早急に整える」と話した。
(2007年2月6日22時41分 読売新聞)
記事盗用の本社記者を解雇 東京編集局長ら解職
2007年02月06日19時10分
本社カメラマンによる記事盗用問題で、新たに2件の記事盗用があったことが分かり、朝日新聞社は6日、丹羽敏通・前東京本社編集局写真センター員(46)=新潟総局駐在、1日付で管理本部付=を、計3件の記事盗用の責任を問い、諭旨解雇とした。また、丹羽カメラマンの指導・監督を怠った管理責任を問い、武内健二・ゼネラルマネジャー兼同局長と山口百希・同写真センターマネジャーを解職、減給とする処分を発表した。
このほか三浦昭彦・上席役員待遇編集担当を減給、さらに記事出稿上の責任を問い外岡秀俊・ゼネラルエディター兼同局長を譴責、吉田耕一郎・写真センター次長を戒告とした。
この問題で、本社は今月1日に盗用の事実を発表した後、社内調査を続けてきた。
丹羽カメラマンが06年4月に新潟総局に赴任してから執筆した記事は16本で、いずれも自ら撮影した写真につく記事だった。
この16本のうち、今年1月21日付朝刊富山版に掲載した大岩山日石寺(富山県上市町)の「寒修行」の模様を伝える記事は、読売新聞富山版に昨年1月21日付で掲載された記事を下敷きに書かれたものだった。
読売新聞の記事が「ホラ貝の音と読経が響く中、白装束にはち巻き姿の信者たちが(中略)『エーイッ、エーイッ』と気合を入れていた」と表現した部分が、朝日新聞の記事では「ホラ貝の音と読経の中、白装束にはちまき姿の信者たちは(中略)『エーイッ、エーイッ』と気合をいれ、身を切るような冷たい水に打たれていた」と、酷似していた。
また、今年1月26日付名古屋本社夕刊社会面と同日付西部本社夕刊社会面、同月29日付朝刊新潟版に掲載した「かんずり」づくりに関する記事は、新潟日報の同月21日付朝刊の記事の一部と同様の表現が見られた。
「雪さらしはあくを抜き、まろやかに仕上げるために欠かせない。三、四日さらした後、水洗い、発酵などの工程を経て三年後に完成する」とする新潟日報の表現に対し、朝日新聞(新潟版)では「雪さらしは、あくを抜きまろやかに仕上げるために欠かせない。3、4日ほどさらした後、水洗いや発酵などの工程を経て3年後に完成する」となっていた。
丹羽カメラマンはいずれも取材はしていたが、記事執筆の際に「参考にした」と本社の調査に対し認めている。
朝日新聞社編集担当・三浦昭彦の話 取材によって事実を確認し、自分の言葉で伝えるという記者の仕事の核心部分がおろそかになっていました。「盗用、盗作は絶対に許されない」と宣言した本社の記者行動基準にも反する行為でした。あってはならない事態が起きたことを深刻に反省し、処罰に当たっては人事管理も含めて責任を明確にしました。カメラマンを含む記者の教育を徹底し、このような事態を二度と起こさないための態勢を早急に整えます。


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