[AML 12294] 改めて大阪市へ抗議を!釜ヶ崎住民票問題
ブログ「旗旗」 山が動いた?大阪高裁が住民登録削除差し止めの仮処分を決定!
あいりん地区の住民登録 大阪高裁、市の抹消処分認めず
2007年03月02日01時24分
大阪市西成区のあいりん地区にある三つの建物に3千人以上の日雇い労働者らが住民登録していた問題で、建設労働者の男性(34)が同市による住民票削除の差し止めを求めた仮処分申請があり、大阪高裁(横田勝年裁判長)は1日、削除後に簡易宿泊所での住民登録が支障なく行われる保証がない現状では「削除は信義則に反して許されない」として、申し立てを却下した大阪地裁の決定を取り消し、市側に削除の停止を命じた。市は転居届を出した人などを除く約2500人分の削除を2日に予定していたが、手続きの延期を検討する。
男性は04年に問題の建物の一つである「釜ケ崎解放会館」に住民登録。市が今年1月、実態のない登録を削除する方針を示したのを受け、2月7日に「4月8日投開票の大阪市議選に投票できなくなる」などとして、大阪市を相手取り、市議選終了まで住民票を削除しないよう求める行政訴訟と仮処分申請を大阪地裁に起こした。大阪地裁は2月20日、「ふだん利用している簡易宿泊所に住民登録すれば選挙権が確保できる」などとして申請を却下、男性が大阪高裁に抗告していた。
高裁決定はまず、同会館は郵便物の郵送先に利用されているだけで男性の生活の本拠とは言えず、「住所は主として利用している簡易宿泊所」と認定。しかし、削除に先立って3月1日から簡易宿泊所を住所地にできるよう対策をとったとする市側の主張は「立証が不十分なうえ、そのようなルールを確立するためには相当な周知期間が必要だ」と退け、行政訴訟の判決が確定するまで、削除の停止を命じた。
決定はまた、一般論として、同会館に住民登録している労働者らの大部分に生活の実態がない可能性が高く、このまま市議選の投票を認めれば、選挙無効の原因となる余地があると指摘した。
大阪市には最高裁に特別抗告する手段もあるが、憲法違反などの事由がある場合に限られており、困難な情勢だ。大阪市市民局の森田博・市民部長は記者会見し、「意外なご判断」としたうえで、「周知期間が足りないとの指摘は否定できない」と話した。
西成・住民票削除を延期 高裁決定受け、大阪市
2007年03月02日
大阪市は2日、同市西成区の大量住民登録問題で、この日夜に予定していた日雇い労働者ら約2500人分の住民票の削除を3週間程度、延期すると発表した。建設労働者の男性の仮処分申請に基づき、市側に住民票削除の停止を命じた1日の大阪高裁決定が、簡易宿泊所で住民登録するという市側の基準について、「相当の周知期間が必要」と指摘したのを受けた措置。ただ、その間に新住所を届け出ない労働者らについては、30日の大阪市議選挙の告示までに削除を進める考えで、なお労働者側の反発が予想される。
一方、市は、大阪高裁決定に対する最高裁への特別抗告は、憲法違反などの事由に限られていることから断念した。建設労働者の男性は当面、削除対象から除外する。
高裁決定は男性の住民票削除の停止を命じる一方、約2500人の労働者らの大部分に居住実態がない可能性を指摘。4月8日投開票の大阪市議会選挙での投票を一律に認めた場合、選挙が無効になる恐れについて触れた。市は「3月30日の告示までに、実態のない住民票を削除する必要があると判断した」という。
市は住民票の削除に伴う代替措置として、あいりん地区内の簡易宿泊所での住民登録を認める具体的な基準を設定。1日から運用を始めている。
具体的には、(1)長期間、継続して宿泊している(2)料金前払いで長期間、部屋を確保している(3)前払いがなくても、継続して宿泊する意思がある(4)遠方に長期間出張するが、西成に戻った時は特定の簡易宿泊所に泊まる――などのケース。
該当者に対しては、大阪府宿所生活衛生同業組合に加盟する92の簡易宿泊所が「宿泊証明」を発行し、住民登録を認めるという。
市は3週間の間に、西成区役所に相談窓口を設置するほか、あいりん地区にポスターを張ったり、鉄道の駅構内でアナウンスをしたりするなどして、周知徹底を図りたい考えだ。
この日午前11時から記者会見した市市民局の森田博・市民部長は「高裁決定を真摯(しんし)に受け止める。市が大量の住民登録を認めていた点は、一定の責任を問われるだろう」と話した。