2007年03月10日

3月9日夏淑琴さん名誉毀損訴訟第5回口頭弁論の報告

(前回投稿の中に誤りがあったので訂正します)
3月9日に東京地裁で行われた「損害賠償等 平成18年(ワ)第9972号」(夏淑琴さん名誉毀損訴訟)の第5回口頭弁論の模様を簡単に報告します。


前回公判(1月19日)は傍聴席40に対し抽選は42人でしたが、今回は55人の方々が抽選に集まって下さいました。また裁判前の宣伝活動には多くの学生の方々(約30人?)が参加し、活気あふれる宣伝を行うことが出来ました。ありがとうございました。


当日私は、待ち合わせの時間に5分ほど遅刻(スイマセン!)して東京地裁前に着きましたが、いつもの事務局メンバーだけでなく、大勢の学生の皆さんが集まっていたことに驚きました。そして各自が持参したハンドマイクやプラカードでアピールが始まりました。
ところでこの日、東京大空襲損害賠償集団訴訟の提訴が行われ、多くの支援者や大空襲を体験した方々が集まっていました。
毎度の西村修平を中心とした右翼グループも遅れてやってきたのですが、残念ながらいつも彼らが陣取る場所(裁判所を出て右側)は、提訴の行進のために集合していた大空襲訴訟の方々と報道陣でごった返していました。それでも連中は強引に割り込み、こともあろうに大空襲訴訟の方々への侮辱を始めました。我々が目当てで集まってきたはずなのに?
そのうちクマさんと指環さんが連中のところに行き何か話をしていました。私はいつもの場所(裁判所を出て左側)にいたので状況が分からず遠目で見ていたのですが、突然猫が獲物に飛びつくようなアクション(笑)が目に入りました。右翼の連中がクマさんと指環さんにつかみかかったのです。これは警察官の制止で収まりました。

そして大空襲訴訟の方々の提訴の行進が始まりましたが、右翼グループは歩道の端の方で「訴えたいならアメリカを訴えろ!」などと叫んでいました。自衛隊イラク派遣を批判した防衛大学校五百旗学校長の罷免を要求している彼らとは思えない主張です(笑)
たしかに東京大空襲はアメリカの重大な戦争犯罪ですが、無謀な侵略戦争を起こし、敗色濃厚になったのに終戦を遅らせた日本政府にも大きな責任があります。それと元軍人やその遺族には恩給があるのに民間人の犠牲者には全く補償が行われない矛盾も説明してほしいものです。
この提訴の模様は新聞各社のニュースサイトでは写真付きで報じられましたが、残念ながら?私が見た限りでは右翼グループが写っている写真は採用されなかったようです。

そして大空襲訴訟の提訴が終わると、やっと自分たちの指定席?を確保した右翼グループは毎度のように大音響で内容のない主張を始めました。いつもより人数が少なく10人弱でした。その時連中が掲げたプラカードの中には、

強姦魔・殺人鬼の
中帰連
金子安次と鈴木良雄
は切腹してシナ人
と日本に謝罪せよ

強姦魔の強い味方で
同士熊谷伸一郎さん
殺人魔のじいさんの
事業を引き継ぐ同業者


などという文言があったのです。これは悪質な名誉毀損です。
あまりにもヒドイと思って連中に対して「いくらなんでもそりゃないんじゃない?」と抗議しに行きましたが、常連の西村や眉毛の太い中年男だけでなく、50代ぐらいの女性も「何が悪いんだよ!」と開き直りました(この日は女性が二名いました)。この行為に恥じるところがないというのならば、是非彼女のご主人やお子さんにもこれを見せるべきでしょう。
押し問答になりそうでしたがすぐに私服警官と穂積弁護士に制止されました。毎回来る2名の私服警官は右翼担当の公安らしいですが、かといっても気を許せるものではありません。右翼が来る前からこちら側を眺めながらメモを取っていました。
そして傍聴券抽選の時間が近づいてきたので並びましたが、いつものように西村たちは並ばずにマイクで叫び続けていました。私が見た限りではあの連中の中で抽選に並んでいたのは、常連のメガネをかけたやや背の高い初老の男と、山高帽にコート姿の謎の青年(私は勝手に「帽子男」と呼んでいます)だけだったようです。しかも彼らは並んでいるときもお行儀が悪かったそうです・・・。


***
裁判の模様ですが、相変わらず被告側(東中野氏の弁護団)の煮え切らない態度に、原告側(夏さん支援側)も裁判長も苛立ちを覚える展開でした。
被告側が提出した大量の「書証」の中には当時の南京城内の地図もあり、裁判長が何のためにこれが必要なのか確認したところ、被告側は「1937年12月13日に新路口付近(夏さん一家の住んでいた所)で激しい戦闘が行われていたことを示す資料の一つ」と答えました。(私の想像ですが、戦闘の最中に民家に押し入って犯罪を行う余裕などない、と主張したいのでしょうか?)
裁判長は「解説とかは無いのですか?この地図を見て読み取れということですか?」と呆れ顔です。被告側弁護士は「次回よく分かるようにします」と答えましたが、原告側の渡辺弁護士は「本件の争点と関連があるのか?」と追及しました。それもそのはず、被告側は「新路口事件」(夏さんの家族が殺害された事件のことを被告側はこのように呼んでいます)の事実について議論するのかしないのかはっきりした態度を示さないのに、このような資料を提出しているのです。

また原告側の弁護士5人は先月南京を訪れ、夏さんと面会し聞き取りを行い陳述書(2月11日)を作成、提出しましたが、被告側はまだそれを読んでいないというのです。それに反論するかどうかもこれから検討するそうです。
被告側はこのような態度ですが、裁判長はそろそろ結論を出したいそうです。事件を証明させるなどということよりも、被告が東中野氏の著書によってどのような精神的苦痛を受けたのかを「裁判所が評価する事案ではなかろうか?」と述べました。

つまり、
「夏さん一家の事件は本当にあったことなのか?夏さんは本当にマギーの解説文の中の生き残りの少女なのか?」

などということを議論するよりも、東中野氏の著書「南京虐殺の徹底検証」は、どのように夏さんの名誉を傷つけたのか、判断したいということです。
また夏さんを招いての反対尋問は必要ないと考えているそうですが、当然のことでしょう。
ところで被告側も東中野氏本人の陳述書を準備するそうですが、提出は「5月は無理。現在東中野は新しい本の執筆中で寝る間もない。6月か7月になる」ということです。どこまで裁判を引き伸ばすつもりでしょうか?
これには渡辺弁護士も憤激を抑えきれないご様子でした。裁判長も「忙しいのは分かるけどそりゃじゃ抗弁にならない」と呆れました。結局6月20日に提出することになりました。
報告集会で渡辺弁護士は、「そもそも東中野氏本人の陳述書については、裁判長が以前から出すのか出さないのかたずねていたのに、今頃になって出すと言い始めるとは!」と憤っていました。

次回公判は6月29日13時30分、ここで審理を終了させます。次々回は7月27日13時30分、原告・被告双方が15分ずつの口頭弁論を行います。ここで弁論終了、結審となる見込みです。判決は10月になる見込みです。


***
閉廷後、弁護士会館で報告集会が行われ20数名の方々が参加していただきました。
まず渡辺弁護士がこの裁判の進行状況と被告側の不誠実な態度についての説明があり、続いて南京を訪問して夏さんとご家族に面会した菅野弁護士の報告がありました。夏さんのご家族と現地の弁護士(律師)から大いに歓待を受けたそうです。

また菅野弁護士は、被告側の準備書面に於ける、
「原告側が、新路口事件(夏さん一家の被害)の証明を行うべきだ!」「南京事件の証明を行うべきだ!」
「原告側は準備書面で『東中野は夏淑琴をニセモノに仕立て上げた』とか書いているが、ニセモノだなんて言っていない。それこそ名誉毀損じゃないか?それが問題ないのなら、東中野の書いたことだって問題ないはずだ!」
という反論を紹介しました。このような馬鹿げた開き直りを裁判で行うとはあきれたものです。

続いて傍聴と宣伝活動に参加された皆さんが感想を述べました。とりわけ学生の皆さんが裁判所前のマイクアピールでも、この報告集会でも積極的に発言していたのが印象的でした。若い世代が旧日本軍のかつての加害事実に関心を持ち、活動に参加していく姿に頼もしさを感じました。
(文責 事務局高橋)
posted by 鷹嘴 at 12:53| Comment(2) | TrackBack(2) | 夏淑琴さん裁判 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
>2名の私服警官は右翼担当の公安

えっ(^^;
公安に「右翼担当」とか居たのですか?そりゃ頑張ってもらわにゃ(笑)
Posted by とほほ at 2007年03月19日 18:54
>> 2名の私服警官は右翼担当の公安

と、みんな言ってるんですが、
それにしちゃこっちの方もジロジロ見てるし、なんかメモ取ってるし、薄気味悪いです。

ちなみにホリエモンの判決の時にテレビに映ってたお巡りさんも毎回来てます。あの界隈の担当なんでしょうね。
Posted by 鷹嘴 at 2007年03月19日 20:28
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