2013年06月08日

国連で日本政府代表者が人権問題を追及され逆ギレ

 先月スイス・ジュネーブで行われた国連「拷問禁止委員会」にて、日本の外務省の上田秀明ってゆう奴が逆ギレして叫んだってさ。
 2013年6月5日・東京新聞【こちら特報部】と、日弁連代表の一員として委員会を傍聴しこの事件を目撃していた小池振一郎弁護士のブログより引用。


 同委員会は5月21日と22日に日本政府報告書審査を行ったが、日本の人権状況について「複数の委員から質問が」相次いでいた。しかし日本側は、刑事事件の取調べに弁護人が立ち会えないことを指摘されても「取調べの妨げになるから」と逃げ、取調べ時間の制限が無いことを指摘されてもまともに答えなかった。日本側はこのように「不誠実な官僚答弁に終始」し、委員らはいら立ちを募らせていた。
 5月22日にはモーリシャス共和国(アフリカ)のドマー委員が次のような厳しい指摘を行った。
 「弁護人に取調べの立会がない。そのような制度だと真実でないことを真実にして、公的記録に残るのではないか」
 (そのような捜査によって)「誤った自白等が行われるのではないか」
 「自白に頼りすぎではないか。これは中世の名残である。こういった制度から離れていくべきである。日本の刑事手続を国際水準に合わせる必要がある」
 全く当然の指摘だ。前回の審査でも日本は「代用監獄制度などの冤罪を生む温床」を改善するように勧告されていたという。それらが全く改善されていないのは周知の通り。デモや抗議活動に参加しただけで難癖をつけられ何か月も勾留されるような国だからな。

 しかしこの委員会に、外務省「人権人道担当大使」の上田秀明という男が出席していた。この男はドマー委員の指摘に対し、
 「先ほど『中世』という発言があったが、日本は世界一の人権先進国だ」
とほざいた。寝言も休み休み言え!こいつも「世界一」というのは言い過ぎだと思ったのか「人権先進国の一つだ」と言い直したが、「これを聞いて、会場には静かな苦笑が広がった」。するとこいつは逆ギレして、
 「なぜ笑うんだ、笑うな、シャラップ、シャラップ!」
 と叫んだとさ。この大声に会場は「シーンと静まり返った」という。



 英会話学校経営のデイビッド・セイン氏によると「『シャラップ』は主に大人が子どもを叱るときか、幼児が使う。大人は口喧嘩でもあまり使わない。だから、大使の言葉にみんなびっくりしたのは分かる」と述べる。この「シャラップ」という言葉は、「黙れ!」というより「てめえ、黙りやがれ!」というような強いニュアンスがあり、「知的な表現とは言えない」。
 この上田って奴も、どうせ「一流大学」を出て難しい試験に受かって役人になったんだろうが、そういう育ちだからこそ国際舞台でこんなに威張りくさってこんな子供の喧嘩みたいな大声出すのかも。「エリートコース」の人生だから周囲にちやほやペコペコされて、こんなになっちゃったのかも。人権人道担当大使じゃなくて人権人道無視大使じゃんか。日本の恥だからとっととその何とか大使を辞めてくれ。つーかこんな奴に税金使うのはもったいない、さっさと懲戒解雇にしてほしいな。
 「橋下徹大阪市長発言、安倍首相、そして『イスラム諸国は喧嘩ばかり』とオリンピック招致に絡んで発言した猪瀬直樹東京都知事・・・。海外から『稚拙な国』という印象を確信させかねない発言がまた飛び出した」(東京新聞)

 つーか、こいつにせよ安倍にせよ猪瀬にせよ、「世界一」ってフレーズが好きだよねえ。それに「他の国にも慰安所があった」みたいな、他の国も悪いことやってるから日本だけが悪いんじゃないみたいな、他と比較してどうのこうの言い出すよねえ。
 19世紀の黒船来航以来プラス1945年の敗戦による欧米への劣等感みたいのが、こういう歪んだ精神を生み出し、欧米とは肩を並べたがり、欧米以外の諸国に対しては見下すような、みっともない国になっちまったんだな。他の国がどうあろうと、自分の国の限界ってゆうか格ってもんを自覚し、悪いところは他人から言われる前に自分たちで直していく、みたいな心構えがほしいんだけど。まあ日帝本国人なんてこんなもんよ。おれもなーw

 それにしても「日本は世界一の人権先進国だ」などと、冗談でも言えないことをよくもまあ言ったものだ。そりゃあ日本どころじゃないひどい国もあるが、下から数えた方が早くねえか?ドマー委員の「中世の名残である」という指摘は全く当然だ。なにしろこの国の警察・検察は容疑者に対し、物証など全く無くても思い込みだけで毎日毎日早朝から深夜まで「お前がやったんだ!」と怒鳴り、あるいは「お前じゃないなら犯人は誰それだな?」などと揺さぶりをかけ、あるいは関係者を「正直に言わないとお前も逮捕だ!」などと脅して虚偽供述を強制するもんな。司法はそれを追認するだけ。中世の魔女狩りのようではないか?自白を得られなくても誰かが「あいつが犯人だ」と言えば、それどころか「あいつを見たかも」程度の曖昧な供述で重刑だもんな。
 国連の委員会でこういう人権侵害を指摘され、国の代表が逆ギレして叫ぶとは、この未開野蛮な日本国を象徴する出来事だな。

 それはともかく拷問禁止委員会は5月31日に総括所見を発表し、日本政府に対し「改善に向けて努力する義務を負う」勧告を行った。日弁連会長声明による「特に重視すべき内容」は、
 ・警察留置場拘禁期間の上限設定
 ・被疑者の権利を守るため弁護士との「秘密のアクセス」の構築
 ・代用監獄制度の廃止検討
 ・取調べ時間の制限及び違反した際の制裁規定
 ・取調べの可視化(全過程の電子的記録)
 ・自白中心主義の廃止
 ・難民の保護(拷問を行う国へ送還しない、難民申請者の収容は最後の手段として必要最小限にすることなど)
 ・刑事施設及び留置施設の被収容者からの不服申し立てへの対応改善・虐待など行った者への的確な訴追・処罰
 ・拘禁処遇の改善
 ・死刑囚の処遇改善・恩赦や執行猶予制度の実現・死刑制度廃止の可能性の考慮
 ・政府関係者や公的立場にある者による「戦時性奴隷(いわゆる日本軍慰安婦)」が受けた被害を否定する動きに反駁すること
  この問題の解決のため(史実の教育を含め)法律上・行政上の措置をとること
 ・パリ原則に合致した国内人権機関を早期設置すること
 などである。

 いかに日本が人権を無視している国か分かるだろう。他の国のことを言える立場じゃない。しかも現在の政権はこのような国際社会の指摘と逆行し、さらに我々の権利と自由を奪い縛りつけようとしている。
 それにしても日本国とは、いまこの国で暮らしている市民(あるいは一時滞在している人々)の人権を蹂躙し、しかも政府代表者に「日本は世界一の人権先進国だ」などと逆さまなことを言わせる国である。こんな国が、約70年前の侵略戦争に於ける植民地・占領地での加害行為を事実のまま認めるわけがなく、むしろ歪曲美化しようとするのは当然だろうか。
 拷問禁止委員会の委員や傍聴した日弁連の弁護士は、逆ギレして叫びまくる上田秀明の姿に、ネオナチなど歴史修正主義者の姿を重ね合わせただろうか。罵声・恫喝とともに部下を虐待し占領地の非戦闘員を虐殺し戦時性奴隷を苦しめた旧日本軍将兵の姿を見ただろうか。容疑者を恫喝し虚偽供述を迫る取調官の姿を見ただろうか。全部繋がってねえか?1868年の政権交代以降(あるいはもっと昔から引き継いだモノかも)、論理性も誠実さも無く、物事の無視し、強者には媚びへつらい弱者は恫喝して従わせる日本帝国主義の姿が、上田秀明の行状を通して見えてこないか?
 それはともかく、国連の場で人権問題を指摘されてもお茶を濁すだけ、しかも逆ギレして叫びだすような男に「人権人道担当大使」という大層な肩書きを与えているような日本政府が、刑事司法制度を改善するわけがない。国内の人権問題を改善するわけがない。かつての侵略戦争に於ける性暴力の事実に真剣に向き合うわけがない。と思う(それどころか悪化する一方)。今すぐ政権というかこの体制全てを打倒し覆さなければならないのだが・・・それを心得つつ、それぞれの個別事例について屈せず闘っていきたいものだ。


参考:
◇ 日本の刑事司法は『中世』か 小池振一郎の弁護士日誌
◇ 日本弁護士連合会│Japan Federation of Bar Associations:国連拷問禁止委員会の総括所見に関する会長声明
◇(魚拓)国連拷問禁止委員会 日本に勧告 NHKニュース
◇ 朝日新聞デジタル:慰安婦問題、国連委が勧告 「日本の政治家が事実否定」 - 国際 (魚拓)
◇ 上田人権人道大使に見る、世界に恥ずかしい「人権外交」(伊藤 和子) - 個人 - Yahoo!ニュース
 当日、布川事件の冤罪被害者櫻井昌司さんもこの拷問禁止委員会を傍聴していて、叫びまくる上田に呆れかえったという。
「あれは委員と言うよりは自分に向かって言ったんだと思いますよ」

posted by 鷹嘴 at 00:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 権力 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
原告は裁判のこの手口で何度もはぐらかしをされてきた、昨年7月に民事1部の大沼裁判官は、公安検事・高橋真の答弁書の「認否はしない」 これは一般には擬制自白であるが、証拠はないと請求棄却判決をした。 

この4月、同じ1部の大沼裁判官が担当した、逆転無罪判事・原田國男も同じく「認否はしない」 この初口頭弁論も即日結審して今月21日の判決である。

また、本審と同じ2部で4日後の初口頭弁論が開かれる、元東京地検八王子支部長検事・吉村弘の答弁書でも「認否はしない」 認否はしないは沈黙すると同意語に解釈されるが、法曹はこうした小賢しい詭弁論理法で誑かす。
 http://www.suihanmuzai.com/130608.jpg.html
Posted by 遂犯無罪 at 2013年06月09日 08:46
面白い調査がある。欧米先進国の刑事裁判の検察勝率である。どの国も、ほぼ70%前後である。ところが、日本では99.99%。

80%とか90%ならともかく。99.99%というのは、有り得ない数字だ。例えば、原稿を書き写すだけで、約3%の誤字が現れる。

99.99%というのは、正しい裁判が行われていない証拠である。即ち、裁判所は、検察が告訴した通りに、判決を行っているに過ぎない。日本における裁判の審理は、行われていない、と言って良いだろう。

これはもう、戦前の特高警察と同じである。警察が”クロ”と言えば、”クロ”という、江戸時代のやり方である。

九州の選挙違反事件でも、たかが食事をしただけで選挙違反として、1年も拘留させてみたり、痴漢事件の冤罪で1年も拘留するなど、常軌を逸した警察の暴走が日常化している。この姿は、ほぼ戦前並である。

腐った国に住んでいる事を知らないのは、国民だけである。何故、知らないのか? マスコミが腐っているからである。まるで、戦前並のこの国を世界一と思っているバカが多過ぎるのも、その一因であろう。

もとより、権力側を批判して来た猪瀬が、権力側に経った途端、権力側に味方する、というのは、日本人ならではの行動である。
Posted by PAL at 2013年07月16日 17:22
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