2013年06月15日

埼玉県知事上田「従軍慰安婦はいなかった」「英霊に失礼」

 全然知らなかったけど、埼玉県知事の上田清司が5月14日の記者会見でまた馬鹿なことほざいたってさ。埼玉の恥です。遅くなったけど貼り付けます。


 ◇ 知事記者会見テキスト版 平成25年5月14日 - 埼玉県ホームページ 【慰安婦問題について】
 毎日 大阪市の橋本市長が従軍慰安婦の制度について、知事は呼称についてはいろいろ御見解があると思うんですが、当時としては必要であったのではないかという趣旨の発言をされたんですけども。
 この橋本市長の発言について同じ首長の立場で、こういった問題について評価をするような、肯定するような受け止められ方をする発言をしたことについて、上田知事としてはどのようなお考えをお持ちですか。

 知事 まず質問の中で「従軍慰安婦」という言葉が非常に私は気にくいません。「慰安婦」はいても、「従軍慰安婦」はいないと思っておりますので、御注意をいただきたいと思っています。軍に従事しながら慰安婦が行軍するという話は歴史上も見たこともないし聞いたこともありませんので、それは御注意いただきたいと思います。
 日本国を守るために、あるいは家族を守るために、ふるさとを守るために散った英霊の方に対して失礼だというふうに思っています。慰安婦がいたことは事実だと思っております。慰安婦が必要だったか必要でなかったかということに関しては、私は必要でなかったと思っています。
 そして、銃弾が飛び交う中というかたちで橋本市長さんは言われましたけど、一般的に言うと慰安所などがある所は非戦闘地域です。戦闘地域ではそういうことはないはずです。民間人ですから 、民間人を危険な目に遭わせるようなことはできません。同じ民間人でもいわゆる従軍看護婦だとか従軍記者と言われるのは、時として気の毒に危険な場所でもおられます。そして、不慮の事故、あるいは死に至ることもあると思いますが、そういう慰安所は激しい戦闘の場にはありません。硫黄島の中に慰安所があったかと、あるわけがないんです。従って、少し誤解もあるんではなかろうかと思っております。
 いずれにしても、基本的にはそういうものがあってほしくないし、あるべきではないと思っています。ただし、時としてそれをビジネスとしてとらえて、そういう空間を作ってくる人たちがいると、その事実はあったと。そして、いわゆる兵隊の方々に病気などが蔓延するといけないですから、当然、衛生管理上、軍はそうした人たちの衛生管理に何らかのかたちで関わった節はいろんなところに見られる節があります。当然、いわゆる感染症みたいなことにならないように医師が付いておりますので、軍にも。そうした医師、看護師を通じて一種の健康検査と言うんですか、そういったものが行われたというふうに思っておりますので、そういう意味での 軍の関与は、私は十分あったものだと思っておりますし、そういう事実の記載されている文献もあります。
 いずれにしても、慰安所は必要であるというような考え方には私は立っておりません。あるべきではないと思っています。それはもう明確なことだと思います。ただ残念だけども、そういうのをビジネスにする人たちが出てくるという、残念な結果が歴史上いくつもあるということであります。

 毎日 ちょっと念押しになってしまうんですけど、そういう制度、慰安所という制度が当時必要ではなかったという、知事は、肯定はできない、当時としても存在自体は肯定できない制度だったということで、今繰り返しおっしゃられたとおりという…

 知事 当然です。人類はそういうことを認めていないんです。ただ残念だけれども、そういうのをビジネスにする人たちがいたという事実はあると。
 認めちゃだめですよ、それは。私たちはそういうことを認めては。それは非常に悲しいということですね、認めては。

 「慰安婦はいても従軍慰安婦はいなかった・・・」という意味について、「慰安婦が一緒に行軍するわけがない」「慰安所がある所は非戦闘地域」などと説明しているが、それは当たり前のことじゃねえか。慰安婦を連れた業者(あるいはそういう任務を負った部隊)は、必ずしも部隊と共に移動する必要は無いだろ。慰安所を設置するのは非戦闘地域じゃねえと困るだろ。前線に近けりゃ敵の砲弾で吹っ飛ばされちまうじゃんか。ある程度前線から離れた拠点に設けるに決まってる。
 そりゃそうと上田は今でも、慰安所は日本軍の付属組織だったと認めたくないのだろう。
 「従軍慰安婦なるものにつきまして・・・・やはり民間の業者がそうした方々を軍とともに連れて歩いているとか、そういうふうな状況のようでございまして、こうした実態について、わたしどもとして調査して結果を出すことは、率直に申しましてできかねると思っております」(1990年6月6日の参議院予算委員会、岩波新書「従軍慰安婦」吉見義明/著 P-3)
 ・・・というかつての政府答弁と同様に、業者が勝手に女性を連れて慰安所を設けていた、軍の関与は無い・・・と主張したいのだろう。「ただし、時としてそれをビジネスとしてとらえて、そういう空間を作ってくる人たちがいると、その事実はあった」という発言にもその思惑が見える。橋下は、旧日本軍は性の捌け口を求めたしアメリカ軍にも与えるべきだと述べたが、そういう軍隊の本質を上田は否定している。つまり上田は、日本軍性奴隷など存在しなかったと述べたも同然だ。

 それにしても、上田にせよ橋下にせよそのまんま東にせよ、日本軍性奴隷の被害を否定する連中全てに共通したことだが、「強制連行の証拠は無い」「業者が勝手にやったこと」の二つを馬鹿みたいに繰り返すねえ。植民地朝鮮に於いて官憲による性奴隷強制連行を示す公的資料は見つかっていないようだが、他の植民地・占領地に於いては戦後の調査によって強制の事実が明らかになっている。戦後補償裁判で敗訴したものの強制連行の事実は認定された例も多数ある(強制連行を否定する連中は、朝鮮の例のみを挙げ、強制連行は無かったという事実歪曲を広めようとしている)。
 そもそも、何者かに暴力的に連れ去られるのも、「いい仕事がある」などと騙されて監禁されるのも、「拉致」であり「誘拐」だ。この二つを区別する意味はない。元日本軍性奴隷の多くは、業者に騙されて連れ出されたと証言している。橋下との面会を取りやめたお二人も同様だ。
 もちろん自発的に応募した女性もいたと思うが、戦地でのあまりに過酷な環境は想像出来なかっただろう。途中で辞めたい、帰りたいと言っても応じてくれるわけがない。これも一種の「拉致」あるいは「誘拐」ではないか?たとえば1942年にシンガポールで軍司令部が慰安婦を募集すると現地の女性が応募したが、慰安所には日本兵が列をなして押し寄せた。4、5人を相手にしたところで担当兵士が打ち切ろうとすると、騒然となったため、やむなく「女性の手足を寝台にしばりつけ」て続けさせたという(岩波新書「従軍慰安婦」吉見義明/著 P-121)。
 どのような経緯で性奴隷にされたのかを論じる意味はない。悪質な業者による就業詐欺であっても、その業者に罪があるのは言うまでもないが、それを取り締まれなかった日本の官憲に大きな責任がある。

 それに性奴隷の徴集も慰安所の経営も多くは業者によるものだが、そもそも軍の許可無しに戦地まで渡航できるわけがない。許可無しに慰安所を開設出来るわけがない。かつて吉見義明氏は「軍が業者にやらせる方が効率的だとアウトソーシングしていた」と喝破した(過去ログ参照)。
 要するに日本軍は下請け業者にやらせていた、というだけだ。「業者がやっていただけ」と言い張る政治家らは、たとえば杜撰な公共工事が原因で死傷事故が起きても、「業者がやったことだ」と言い訳して逃げる気だろうか?日本軍・官憲が直接手を下さなかった分、より悪質ではないか?あとになってから「業者がやったことだ」と言い訳できるもんな。ああいう連中が政治家をやっていること自体ナンセンスだ。

 そもそも慰安所が設置された理由は、占領地にて日本軍将兵による強姦事件が多発したためだ(言うまでもなく慰安所を設けても強姦事件は無くならなかったが)。侵略戦争によって強姦が発生し、日本軍はそれを抑制するため慰安所という組織的な集団強姦を(下請けを使って)行ったのだ。侵略戦争さえ始めなければ何もなかったのだ(だから、日帝の侵略戦争を侵略と認めない連中と議論しても話が噛み合わない)。
 戦争とは、軍隊とは、人間の精神を追い詰め部下への虐待や性犯罪を含めたあらゆる犯罪を誘発する。橋下が言ったことは本質を突いていると思う。旧日本軍は性暴力を抑えきれず、苦し紛れに慰安所を設けた。在沖アメリカ軍も性暴力を抑えきれるわけがない。だからといって風俗を利用させても性犯罪は無くならないだろう(根本的に違う問題のような気がする)。軍隊による全ての性暴力を根絶させるには、軍隊という政治権力だけを守るための暴力機関を消滅させなくてはならない。
 それにしても上田の「英霊に失礼」という発言は、全ての戦争被害者にとって絶対に許しがたい暴言である。かつ、軍隊という異常な環境の中で性犯罪に手を染め、捕虜や非戦闘員虐殺を強いられ、挙句の果てに銃弾や飢餓によってジャングルに白骨を晒した日本兵にとって、「英霊」と称されることは最大限の侮辱ではなかろうか。

 そういうわけで、名指しされた橋下だけじゃなく上田らバカウヨ政治家及び奴らに同調する連中は、吉見義明教授の公開質問状に反論できるなら反論してみなよ。まあ無理だと思うけどね。
 この質問状は数々の歴史事実を挙げているが、拉致問題についての例示もある。北朝鮮政府の命を受けた者が日本人を「誘拐(甘言)により連行した」事例も、警察庁は「拉致容疑事案と認定」しているという。暴力的に誘拐しようと騙して誘い出そうと、拉致は拉致なのだ。「慰安婦強制連行は無かった」と主張したいなら、北朝鮮の日本人拉致も否定しなければならないだろう。
 それにしてもバカ政治家どもは、国内じゃ威勢がいいのにアメリカになんか忠告されると途端に大人しくなっちまうのが笑える。アジア解放の戦い(笑)を邪魔した憎い相手のはずなのにねえ。

 ところで・・・この日の知事記者会見では産経の記者からも慰安婦問題について質問があったようだが、上田がまともに見えるくらい馬鹿な質問してるぞ。産経の記者ってやっぱ、救いようのない馬鹿なんだねえw

慰安婦問題について2
産経 今さっきの慰安所のお話ですけども、あるべきではなかったと。そういうものは認めてはいけないというふうにおっしゃったけど、戦争中でないこの平時においてもそういう場所はありますよね、実際。この埼玉にも慰安所のようなものがあると思いますけど、そういう所は認めてはいけないというお考えですか。

知事 基本的にあるべきではないと思っています。

産経 実際あるじゃないですか。それはどうしてあるんですか。

知事 今の話は、慰安所とは別個の話ですか。現代における風俗営業で、何らかのかたちで性を元にした商売が現存するではないかという御意見に対して私はどう思うかという話ですか。

産経 そうです。

知事 基本的に良くないと思っています。そのことについて、「現にあるじゃないか」と。現にあることについての様々な取締りがあるはずです。それでもなかなかなくならないという現状があることについては知っています。
 その部分はもう、私の領域を越えています。警察の守備範囲だと思っています。

産経 知事の話を聞いてちょっと違和感を覚えたのは、現代においてもそういう施設はあるわけですよ、平時においても。さっき「慰安所があった地域は非戦闘地域であって、銃弾が飛んでいる所ではない」とおっしゃったけども、銃弾が飛んでる所で戦っている人たちが帰って来る場所ですよね。
 そういう人たち、要するに軍人相手に「慰安所が必要でなかった」とおっしゃったけど、軍人の方の性欲はどこで解消すべきだったとお考えですか。

知事 ちょっと質問が違うんじゃないかなと思います。人間にそういう欲がある。それを解消するために、とりわけ「軍人の性欲を解消するために慰安所が必要でありますよ」という御意見な訳ですね。私は性欲はあるかもしれませんが、人間にはもう一つ、性欲を解消する理性もありますので。あるいはそれ以上に緊迫した戦闘地域とかありますから、性欲どころじゃないんです。だから、そういう所では必要ではない。そういうことを申し上げたつもりです。

産経 必要ではなかったと。

知事 だから、必ずしも必要だという言い回しについて、私はすごい不快感を持っています。「人間には皆、性欲があって、そういうものを処理する組織なり機関がないとだめだ」という考え方に私はくみしてないということです。

産経 戦時中は、結構、レイプとかがたくさんあったと聞いていますけど。日本人が北方領土辺りでたいぶレイプをロシア人にされたと書いてあるのを読んだりしているんですけど、そういうものを防ぐ意味はなかったでしょうか。

知事 例えそういう慰安所があっても、レイプが防げているかどうかはまた別問題だと思っています。第一、レイプを防ぐためにそういうものをきちっと運営しなくちゃいけないという考え方自体が非常に悲しいことだと思いませんか。
 実際、日本の終戦時においても、あるいはそういう考え方があったのかもしれません。でもレイプを防ぐためだったら、夜間外出を避けるとか、まとまった行動をするとか、ちゃんと敗戦国なりの立場の中で、きちっとした対処を連合国側に求めるなり、そういうことがしかるべきだというふうに思います。敗戦国だったらみんなレイプされるなんていうのはとんでもない話です。
(終)



 以下は愚痴だが・・・上田のような、というか橋下、安倍その他大勢の連中には決して投票してはならないのだが、世間一般では日本軍の加害事実について関心が薄くないだろうか。維新の支持率が下がっているようだが、橋下の発言内容そのものよりもバタバタしている印象が支持率を下げたのではないだろうか。たとえば民主党政権時代に鳩山が普天間基地問題で右往左往して支持を失ったが、その後就任した菅は辺野古移設を明言したが政権支持率は約60%程度に回復した。政策よりもあたふたする姿が有権者にとって幻滅するようだ(その後菅は尖閣諸島問題で迷走し、やはり支持を下げた)
 それに、政治家の発言・政策に疑問を感じても、なんとなく自民党や目立つ政治家に投票してしまう人も多いようですな(俺のオフラインの知り合いとか)。なんとも悩ましい限りであります・・・。

posted by 鷹嘴 at 00:10 | TrackBack(0) | 歴史認識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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