2007年03月24日

【原爆症訴訟、21人不認定取り消し 東京地裁、9人棄却】

一昨日のニュース。国家賠償が棄却されたのは気に食わないが、認定基準についてはまともな判断だと思う。

原爆症訴訟、21人不認定取り消し 東京地裁、9人棄却
2007年03月22日12時11分
 広島と長崎で被爆した30人(11人は死亡し遺族が承継)が、原爆症の認定申請を却下した国の処分取り消しと1人あたり300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、東京地裁であった。鶴岡稔彦裁判長は病気と放射線との因果関係を認め、21人について不認定とした国の処分を取り消した。9人の請求は棄却した。賠償請求は全員について認めなかった。

 判決は因果関係について「合理的な通常人が、病気の原因は放射線だと判断するに足る根拠があるかどうかという観点から判断するほかない」と述べた。そのうえで、国の審査方針について「認定基準の機械的な適用は、放射線リスクの過小評価をもたらすおそれがある」と指摘。被爆者に厳しい対応を批判した。

 一連の集団訴訟で判決は5件目。国側の「5連敗」となった。被爆者援護法に基づく原爆症の認定行政を担当する厚生労働省は「一連の判決は科学の常識に反する」と、相次ぐ敗訴にも徹底抗戦の構えを崩さない。大阪訴訟などで控訴。20日に敗訴した仙台に続き東京でも、判決前から敗訴の可能性を織り込み、控訴を念頭に検討していた。

 集団訴訟は全国の17地裁で起こされ、長期化する中で死亡する原告も目立ちはじめた。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は「残された時間は少ない。国の開き直りは許されない」と早期の政治決着を求めている。

 国は、爆心地からの距離をもとに放射線量を推定。性別や年齢などによるリスクを病気ごとに加味する「原因確率」を認定基準の柱にしている。原告側は残留放射線による外部被曝(ひばく)や、放射性降下物を吸い込むことによる内部被曝の人体への影響を考慮していないと訴えた。国の審査方針について判決は「科学的知見にも一定の限界がある。科学的根拠をあまり厳密に求めると、被爆者救済を目的とする法の趣旨に沿わない」と批判した。

 東京訴訟は03年に提訴。30人中25人が原爆投下時に爆心地から1〜7キロの地点で被爆。4人は広島、1人が長崎に、投下後に入市。放射線の影響を受けたと主張した。

 判決は、原告9人については、被爆地点が爆心地から約7キロの遠距離だった▽入市の事実は認定し難く、喫煙歴などを考えると、肺がんの原因が放射線と認めるのは困難――など、被爆状況や被爆後の行動、症状の経過といった個別の事情に着目。請求を棄却した。一部原告の請求棄却は名古屋訴訟に続き2件目。

22日朝日夕刊に掲載の判決要旨によると・・・
被曝線量の計算式の「DS86」(というのがあるらしい)と、
「原因確率」は、
「現段階における科学的知見に照らし、相応の合理性がある」
と述べつつも、
「DS86と原因確率にも限界があり、数値を全く疑義のないものとして取り扱うことはできない。特に問題となるのは、DS86と原因確率の機械的な適用は、放射線のリスクの過小評価をもたらすおそれがあるという点だ」と指摘している。
ゆえに、様々な状況から「総合的に考慮した上」で、被害者の症状の「放射線起因性」を判断しなければならない。
その際、「DS86と原因確率の値は、あくまでも総合的判断の一要素として考慮されるもので、単にDS86や原因確率の値が低いということだけで放射線起因性を否定することはできない」と述べている。


要するに数値にこだわらず、状況を見てまともに判断せよ、ということだ。
たとえば水俣病患者に対してはこのまともな判断が行われていない。認定基準は極めて厳しく、複数の症状が揃っていないと認定されない。
この判決要旨が指摘するように、数値や確定的な判断基準にこだわっているようでは被害者が放置されることになる。

とにかく企業とか行政とか国家というものは、極力責任を負いたくないので、被害者をとことん疑って疑いぬいて“あら”を探しまくるものなんだ。これを忘れないでね。


*20日には仙台で同様の判決が出たようです。
原告2人の不認定処分取り消す 原爆症訴訟で仙台地裁
2007年03月20日13時29分
 広島で被爆したことが原因で病気になったにもかかわらず、原爆症と認定されないのは違法だとして、仙台市内の2人が国を相手取り、不認定処分の取り消しと1人当たり300万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が20日午後、仙台地裁であった。潮見直之裁判長は、原爆の放射線と病気との因果関係を認め、2人の不認定処分をいずれも取り消した。賠償請求は棄却した。

 全国で計229人が17地裁で起こした集団訴訟で、不認定処分を取り消す司法判断が出たのは、昨年5月の大阪、同8月の広島、今年1月の名古屋各地裁に続いて4度目。22日には東京地裁でも判決が控えており、国に政策転換を迫る声が強まりそうだ。

 訴えていたのは、仙台市太白区の波多野明美さん(68)と同市泉区の新沼●雄さん(83)。

 波多野さんは7歳のとき、爆心地から1.8キロの広島市内の路上で被爆した。1982年、胃がんで胃の3分の2を摘出した。以降、食事をすると胃の辺りに強い痛みが走るなどの症状が出ていた。

 旧陸軍の通信兵だった新沼さんは、広島市内の爆心地から2キロの兵舎内で被爆。50代で腎臓がん、60代で膀胱(ぼうこう)がんになった。

 2人は02年、原爆症認定の申請をしたが、却下されたため提訴した。

 判決は、被爆した放射線量を基に性別や年齢を考慮し、がんなどの発生リスクを表示する「原因確率」を用いた現在の国の審査基準について「残留放射線による外部被曝(ひばく)や内部被曝の影響を過小評価している」と指摘。これまでに出た三つの判決と同様、「機械的に適用するべきではない」と批判した。

 厚労省によると、06年3月末現在、約26万人が被爆者手帳を持っている。うち、原爆症と認定されたのは2280人と、被爆者全体の1%にも満たない。原爆症と認定されれば、毎月約13万7000円の医療特別手当が支給される。

●は「弍」の「二」の部分が「三」
posted by 鷹嘴 at 00:51| Comment(0) | TrackBack(2) | 戦後補償 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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「降る」「触る」「振る」「狂る」「タミフル」
Excerpt: 民○○。政府○○。「タミフル」 インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後の異常行動が大きな問題になっています。
Weblog: 酔語酔吟 夢がたり
Tracked: 2007-03-24 17:43

裁判官の一言に一言。
Excerpt:         庶民も立ち上がるぞ!勝手連
Weblog: 酔語酔吟 夢がたり
Tracked: 2007-03-25 17:59