中国の重慶の古い住宅地で、楊武さん・呉苹さん夫妻が飲食店を営んでいた。
ところがこの区域にショッピングモールを建設する開発計画が始まった。権利を得た業者は住人の水道や電気を止めるなど実力行使し、次々と立ち退かせた。
しかし楊武さん・呉苹さん夫妻は、周辺の住民が全て立ち退いたあとも頑として立ち退きを拒否。この地区の管理局は1月11日に立ち退き命令を出した。
周囲の買収を完了している建設業者は、信じられないことだがこの夫妻の家の周りだけ深く掘り下げてしまったのだ。
墓穴掘った開発業者 中国・重慶
立ち退き拒否で陸の孤島に住む住民、居座り続行中―重慶市
立ち退き拒否で陸の孤島に住む住民、居座り続行中―重慶市
しかもこの業者が罰せられるどころか、3月19日には重慶の地方裁判所が、23日までに立ち退かなければ強制排除を許可するという判断を下した。中国という国には人権や生存権という観念は存在しないらしい。
しかしこの夫妻の頑強な抵抗が国民の関心を呼んだせいか、前日になって突如裁判所は方針を変更し、強制執行を見合わせる判断を示した。この夫妻の主張が認められたわけではないと思うが。
この恐ろしい人権弾圧国家に対し、全世界から抗議の声を集中しなければならない。
立ち退き期限前日に裁判所が見せた方針転換には物権法や世論が影響したとの見方が強い。今回のケースを見ると、物権法施行後は住民側が簡単に立ち退きには応じなくなり、利権絡みで産官癒着の温床になってきた都市再開発に歯止めがかかることも期待されている。