2013年10月15日

【秘密保護法の真の狙いは?規制の対象は国民 軽微な件で検挙の恐れ】(こち特)

 自民党政権が成立を目論む「特定秘密の保護に関する法律」(秘密保全法とも秘密保護法とも)は、政府による恣意的な基準によって重大な情報が隠匿され、それを探るだけでも罰せられかねない悪法である。それだけでなく我々市民の生活にも影響を及ぼすという。
 東京新聞【こちら特報部】の、2013年8月17日【秘密保全法の闇】、10月8日【秘密保護法の真の狙いは?】、及び10月14日【スパイぬれぎぬ 宮沢・レーン事件】、その他より引用。


 既に公務員や自衛官は、国家・地方公務員法、自衛隊法、日米相互防衛援助協定(MDA)などによって守秘義務が課せられている。また防衛省には「部外者からの不自然な働き掛けへの対応要領」があり、記者、国会議員、他省庁の職員などの「部外者」から「再三に渡って情報の提供等を求められたりする」ような「不自然な働き掛け」があった場合は「保全責任者」に報告するようにとの通達がある(ただし馬鹿げたことに「部外者」であってもアメリカの政府機関の職員や「これに準ずる機関の職員」ならば対象外だという。10月8日こち特より)。
 しかし政府は厳罰を科す秘密保護法によってさらに統制を強めようとしている。一つにはアメリカとの関係強化にために、さらにはマスコミや市民を沈黙させるためにあると言われる。

 海渡雄一弁護士によると、日本とアメリカの軍事協力上、秘密保持のため必要だとして考えられたという。「2007年に米国と軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を結んだ際、米国並みに厳罰を科す秘密保持体制を作るよう米国に要請されたのがルーツ」。自衛隊など国防のためなどではなくアメリカ軍の下部組織のようなものであり、自衛隊の機密はアメリカ軍の機密に直結するだろう(8月17日こち特)。
 そしてこの法案提出は、国家安全保障会議(日本版NSC)とセットになっている。首相、官房長官、外務大臣、防衛大臣の「4大臣会合」が「外交・防衛政策の司令塔」となり、「平素」から定期的に開催し、「事態」の際には「政治の強力なリーダーシップにより迅速に対応」するという、いわば戦時中の大本営のような構想だ(参考)。秘密保護法によってマスコミや市民を黙らせる一方、この日本版NSCによって国を統率し戦時体制へと向かわせるつもりだろう。

 また海渡弁護士は「国家機密なんて日常とは無縁と思うかもしれないが、実は身近。たとえば原発事故が再び起きた際、国が発生を隠すことさえ可能となる」と警告する。
 たとえば旧ソ連は、チェルノブイリ原発事故さえ当初は事故発生を隠していた。日本でも1944年12月の昭和東南海地震は約千人の犠牲者を出したが、当時の政府は軍需工場の被害が知れ渡ることを恐れた。軍部が地震発生を「軍事秘密」にして報道を規制したため、新聞にはわずか数行程度記載されただけだった。学徒動員されていた軍需工場で地震による死亡事故を目撃した少女は、教師から「決して人に話さないように。話すことはスパイ行為に等しい」と指示された(ウィキペディアより)
 東電原発事故の際、放射能拡散情報が隠蔽されたように、「治安」を理由に原発事故発生が「特定秘密」に指定されるかもしれない(8月17日こち特)。
 「汚染水はブロックされている」などと戯言をほざく安倍内閣がこの悪法を成立させれば、それこそ東電福島第一原発4号機の核燃料プール倒壊など恐ろしい事態に陥っても、これを「特定秘密」として隠蔽するかもしれない。そんなことになれば日本は終わりだけどな。政治家・官僚・富裕層だけ密かに国外逃亡したりして?

 山口大の纐纈厚副学長は、この法案が「規制しようとする対象は、国民の日常生活だ」と警告する。
 「安倍内閣が制定を目論む秘密保護法と(戦前の)軍機保護法の狙いは同じ。『スパイなんて自分と関係ない』と見逃すと大変なことになる」
 軍機保護法は1899年に制定され、1941年に全面改定された陸・海軍大臣が秘密と定めた軍事上の事項が保護すべき対象となり、軍事施設の測量、撮影、模写などが禁止された。最高刑は死刑。たしかに厳罰の秘密保護法と似ているな。
 サザエさんの作者の長谷川町子先生は戦時中、ある港でスケッチしていたところ、憲兵に突然襟首を掴まれ「スパイだな!」と怒鳴られた。「あの方向に基地があるのが見えんのか!」。連行され取調べを受けたが、勤務先の新聞社が先生の身元を証明し、釈放されたという。
 この法律によって、列車から軍事施設を撮影した、軍港に停泊していた艦船のことを日誌にメモした・・・などの理由で多くの人々が検挙された。スパイでも何でもない、ただの言いがかりに過ぎない。

 このようなスパイでも何でもない行為で重刑を受け命を失った人もいる。北海道帝国大学の学生だった宮澤弘幸さんが旅行中、記者の中で別の乗客が根室の海軍飛行場について話しているのを聞いた。帰宅後、そのことを知り合いのアメリカ人英語教師・ハロルド・レーンさんや妻のポーリンさんに語った。ところが1941年12月、それだけが理由で軍機保護法違反容疑で特高警察に逮捕されてしまった。そもそも根室の海軍飛行場の存在は、1931年にリンドバーグの飛行機が根室に着陸したことで世界的に知れ渡っていたのである。これは「宮澤・レーン事件」と言われる。(10月8日こち特)。
 宮澤さんは激しい拷問を受け、懲役15年を下され網走刑務所に収監された。重度の栄養失調と結核を患い、戦後釈放されたが47年に死去した。レーン夫妻は43年に捕虜交換で帰国。宮澤さんは数ヵ国語を習得し外国人の知り合いが多かったため、特高警察に目を付けられていたという。
 ところで3人に着せられた罪状は戦後も詳しい内容が不明だった。「軍機」の秘密に関わる起訴内容だったため裁判は非公開で、判決文は破棄されるか伏字だらけ。この事件を追跡調査した藤原真由美弁護士は、「事件の追及すら難しかった。なぜなら、記憶が伏字だらけで読めない。問題は暗黒裁判ゆえに、捕まえる側以外は誰も、情報が罪に値する秘密か否かすら分からないということ」と語る。秘密保護法と全く同じだな。
 1990年代に入って、小樽商科大学の萩野富士夫教授が、戦時中の内務省の部内冊子「外事月報」に、地裁判決文の全文が掲載されているのを発見して明らかになった(10月14日こち特)。

 藤原弁護士は「秘密保護法が出来れば、同じような事件が繰り返されかねない」と警告する。
 たとえば、たまたま公務員の知人から聞いた話をネットに書き込んだだけで「秘密保護法」違反容疑として検挙され、不起訴処分になったとしても自宅や勤務先まで家宅捜索され退職せざるを得なくなったり、行政機関にしつこく電凸やメールで追及したことが、「そそのかし」「煽り立て」だとして逮捕され、あらぬ罪の自白を強要され、裁判は非公開、判決文も非公開だから弁護士や支援者も手の打ちようがない・・・という事態も起こりうるだろう。あるいは、ネット上の発言やUPした画像などから疑われて任意同行を求められ家宅捜索を受け、逮捕されなくても公安警察の監視対象になってしまうかもね。
 「秘密保護法の制定は民主主義の窒息死を意味する。制定されてしまえば、市民が『これは軍事情報っぽいから、ネット検索はやめておこう』などと委縮するようなことになる。モノが言えない社会になってしまう」(纐纈氏)(10月8日こち特)。
 この危惧についてはアメリカでは既に現実のものになっているようだ。ある夫婦が自宅のPCで、「圧力鍋」と「バックパック」を買おうとして検索していたところ、銃を携行したアメリカ国家安全保障局(NSA)の職員らが自宅に押し寄せ、「爆弾はないか?」などと問い詰めたという。ボストンマラソン爆破テロ事件で、容疑者らが圧力鍋を利用した爆弾をバックパックに入れていたため、この夫婦が疑われたのだという(参考)。俺らがネットで何をやってるのか、とっくに権力に筒抜けだろうな。グーグルもフェイスブックなどSNSも、アメリカ政府やその手下と結託してんだろうな。

 つまるところ秘密保護法の制定は、防衛省職員など公務員の情報統制を厳しくし、軍事・外交機密の漏えいを防ぎ、マスコミや政治団体・市民団体を無力化し、市民に対して重大な情報は何一つ与えない・・・ことも目的だろうが、最も重要な目的は、纐纈氏が指摘するように、市民を国家権力の恐怖によって委縮させることではないだろうか。政治や軍事に関することは何も見ない何も聞かない何も言わない、何も考えない・・・ことを徹底させようとしているのではないか。こうして日本政府は有権者・市民を支配し、アメリカへの盲目的自殺的追従を深めようとしているのではないか。政治家・官僚・資本家の利益だけのためにね。

 安倍自民党は公約に違反しTPP妥結によって関税ゼロの品目を限りなく増やし、大企業を優遇する一方で労働者の権利を奪い、消費税を増税し、生活保護受給者を圧迫し、アメリカ追従を深め、原発を再稼働し、五輪開催などを口実にまた無駄な土木事業を拡大し、憲法を改悪して戦時中のような暗黒社会を蘇らせようとしている。そのような企みを実現するため、市民を恐怖心で抑え込み政治から目をそらさせる必要があるのだろうか。
 我々の言論の自由と人権、平和を守り、環境を守り、贅沢は出来なくとも生活していける社会を取り戻すため、安倍自民党を、いや日米の政府と大企業による支配を打倒しなくてはならない。

posted by 鷹嘴 at 14:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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