2013年11月16日

【秘密保護法】公安警察は大歓迎?【特高の復活】

 現在の国会で審議されている特定秘密保護法案は、政府に対するマスコミ・市民からの追及を不可能にし、不正を隠蔽するとともに、警察権力を増大させ市民を監視し委縮させる目的があると言えるだろう。こんな法案が成立すれば特高警察が暗躍した戦前に逆戻りだ。東京新聞の記事より私見を交えて引用。


 元愛媛県警巡査部長・仙波敏郎氏は2005年、県警による裏金づくりを告発した。捜査協力者に支払ったという体裁の領収書を偽造し、捜査用報償費(県費)や捜査費(国費)を引き出すという手口だった。
 仙波氏は(秘密保護法が成立すれば)「今後、警察の不正を内部から明らかにしようという人は出てこなくなるでしょうね」と語る。
 「捜査費にまつわることを話せば、警視庁長官が指定した、テロなどに関する特定秘密に触れたとして逮捕されることもありうるのではないか」
 2006年施行の公益通報者保護法は、通報者が組織内で不利益を蒙ることを防ぐ目的だが、通報者に解雇など報復人事をした組織への罰則が無い。森雅子内閣府特命担当相は10月24日の参院予算委員会で「政府や当局の違法行為や重大な失態は特定秘密の対象にならない。通報者は公益通報者保護法で守られる」と答弁したが、公益通報に詳しい阪口徳雄弁護士は、
 「公益通報者保護法は、民事上不利益に取り扱わないというルールを定めたもので、刑事罰に触れる行為をした場合に免責にするとはしていない」
 「実務の現場では森大臣のような説明は吹き飛ばされるだろう」と指摘する。(10月31日東京新聞)
 仙波氏が警告するように秘密保護法が成立すれば、警察組織の不正を告発しようとする現職あるいは元警察官はいなくなるだろう。かくして警察の不正は永遠に闇に葬られる。我々の税金がどれほど浪費されようとも、どれほど不正な捜査が行われようとも、告発されることはないのだ。この法案は警察権力にとって実に好都合だろう。

 11月1日東京新聞【こちら特報部】より。秘密保護法案が特定秘密に指定しようとする分野は、防衛、外交、特定有害活動の防止、テロリズムの防止。同法案を作成したのは内閣官房内閣情報調査室(内調)。約210人の職員のうち「生え抜き職員」は約90人、残りは他省庁からの出向者。最多は警視庁からの約50人だ。その主軸は公安警察だという。その効果?かもしれんが、「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」などという、どのようにも解釈できる漠然としたものが指定内容に入っている。
 奴等にとっては反原発活動も「特定有害活動、テロリズム」呼ばわりしたいだろう。何しろ、日本共産党や革マル派のような、政権にとっては無害な連中(笑)さえ監視対象にするような組織だ。本来の任務より組織維持のための予算獲得が大切なのだろう。

 一度でも集会やデモに参加したことのある人なら公安警察とはどんな奴等かご存じだろう。私服を着ていて、野球帽やマスクで顔を隠し、集会の会場入り口付近にたむろし、デモ出発から解散まで付きまとい、参加者の顔写真を撮影しまくる。逆にこちら側から連中を撮影しようとしたり、付きまといに抗議したりすれば、逆ギレして怒鳴りまくる。暴力的な行動に出ることもある。果ては「転び公妨」(自分から勝手に倒れておきながら、突き飛ばされたという口実で逮捕する)だ。要するに市民を威圧し弾圧するためのヤクザだ。社会の敵だ。秘密保護法が成立すれば連中の活動はますます野放しになるだろう。
 「公安警察が合法的に活動しているか、監視する必要がある。だが、秘密保護法ができれば『特定秘密』を盾にそれが不可能になる。予算や人事、活動内容を一切答えなくなるのではないか。捜査理由が秘密で通れば、監視対象も拡大する」(川村理弁護士)
 北海道警の裏金を告発した原田宏二氏(元道警釧路方面部長)は、次のように警告する。
 「公安警察は中央と直結している。自分が署長や方面本部長を務めていたころ、部下の公安担当者がどんな仕事をしているのか、ほとんど分からなかった。刑事、生活安全部門を歴任してきたので、"アンチ公安"とみなされていたのだろう」
 「刑事警察と違い、公安警察は事件性が見える以前の段階から、ときには非合法な手段を使って情報収集をする。秘密保護法はそうした捜査方法にもお墨付きを与えかねない」
 「警察トップをはじめ、行政の長が秘密の範囲を恣意的に指定できる。自分が裏金を告発した時は公安から尾行された。もしその時に秘密保護法があったら、公安関係の捜査費が特定秘密にあたると言われ、自分も摘発されていたかもしれない」
 「この法案が通れば、公安警察は野放しになる。気が付けば『特高の復活』という事態になりはしないか」
 ついでに、この特集記事の最後の【デスクメモ】から引用。たとえば何者かが自分の部屋に盗聴器をしかけていた。警察に「お前らの仕業か?」と問い質しても「特定秘密です」と一蹴される。「その行為を知ろうとすること自体が秘密保護に触れると脅されかねない」(11月1日東京新聞 こちら特報部)

 11月11日、衆院国家安全保障特別委員会での特定秘密保護法案審議にて、日本維新の会の桜内文城・衆院議員が、
 「安全保障の意味は、外部からの侵略などについての言葉だ。拡大しすぎると危険ではないか」
 「国内的な安全保障とは治安維持だ。(今回の法案の対象とすると、戦前の)治安維持法のような法執行がされる危険も大きくなる」
 と指摘。森雅子内閣府特命担当相は「安全保障」の定義について、「外部からの侵略などの脅威に対して国の安全を保障すること」と説明したが、この法案が示す「安全保障」は「外部からの侵略」と限定していない。森氏はオウム真理教によるテロ事件に関する情報も「特定秘密の対象となり得る」との考えを示した、という。
 また桜内氏は「テロやスパイの防止は警察の通常の仕事。当たり前のことを指定しようとしている」と指摘。みんなの党の井出庸生衆院議員も「秘密の範囲が最も曖昧だと言われているのは警察の部分。特定秘密に入らなくても、警察の業務は十分成立する」ので、国内の治安に関する情報は指定すべきではないと訴えた。これに対し森氏は「問題意識は分かる」と反応しただけだった。(11月12日東京新聞)

 両議員が指摘する通り、警察の業務を特定秘密に指定しなくても警察の仕事が滞ることはない。あえてこれを特定秘密に指定するのは、警察の不当な捜査手段を隠す目的ではないだろうか。テロ・スパイの防止という名目で市民を監視し人権を侵害する目的ではないだろうか。それこそ「テロ」容疑者の捜査に於ける、権力側の証拠(供述調書、関係する写真その他)も「特定秘密」に指定され、冤罪が多発するかもな。
 それにしてもオウム真理教やその他派生団体に対する捜査情報が特定秘密として指定される、ということは・・・即ち国家権力がテロ組織呼ばわりしている団体に対する捜査情報も同様だ。新左翼系の組織だけではなく場合によっては反原発団体も過激派/テロ組織として捜査されることもあり得る。盗聴など違法な捜査、「転び公妨」などとんでもない弾圧、違法な取調べも、捜査情報は特定秘密だとして隠蔽され、探ろうとすれば検挙されるだろう。

 11月8日の衆院国家安全保障特別委員会・特定秘密保護法案審議にて森担当相は、原発事故やTPPの情報は特定秘密に該当しないと述べた。ただし「原発施設の警備状況・計画」については「公表したらテロリストが知ることになるから(秘密の範囲を示した法案の)別表に当たる場合は、指定される」と述べた。(11月8日東京新聞夕刊)
 原発に限らず、空港、アメリカ軍・自衛隊基地、あらゆる公共機関の警備状況も、特定秘密に指定されるかも。これらの設備や建設計画について反対あるいは情報公開を求めれば、「特定有害活動」「テロ」を成す組織だとマークされるだろう。要するに市民は何も出来なくなるのではないか?

 10月22日、自民党は総務会で特定秘密保護法案を「全会一致」で了承したが、村上誠一郎元行革担当相はこの法案に反対し了承手続き前に退席した。反対の意思表示をするには退席するしかなかったという。
 村上氏は東京新聞のインタビューに対し次のように語った。
 「西山事件では記者が(沖縄返還の)密約情報を『情を通じて』つかんだとして有罪になった。だが情報そのものは正しかった。では情を通じない取材だったらどうなのか」
 「良心的な公務員が『政府が国民の電話を傍受している』と暴露したらどうなるのか。質問しても(法案を担当する)磯崎陽輔首相補佐官や町村信孝元官房長官は答えられなかった。そんなことでは了承できない」
 村上氏は、総務会は「けんけんごうごうの議論になる」と思っていたが、異論を述べたのは村上氏と木村義雄参院議員の二人だけだったという。かつてのスパイ防止法の議論の際には村上氏だけなく谷垣禎一法相や大島理森前党副総裁らも反対したそうだが。
 「首相官邸の意向となると、みんな何も言えなくなってしまうからだ。すべて『しゃんしゃん』で決まってしまう」 (10月25日東京新聞)
 民主党に幻滅した我々有権者は、消去法で自民党を選んでしまった。そして自民党は原発再稼働を目論み、公約に違反してTPP交渉で譲歩し、さらに馬鹿げたことに東京にオリンピックを招致した。こんな結果になってしまっても「メダカ社会」に慣れた我々は沈黙している。当然かもしれないが自民党の議員も、党内の「メダカ社会」に逆らおうとはしない・・・。


 ところで、稀代の悪法成立を阻止しようと沈黙を破った人々の隊列にときどき加わっているので少々写真を貼っておく。水曜日から金曜日あたりの夜は、火炎瓶テツさんたちが総理官邸前交差点の歩道で秘密保護法阻止のために抗議活動を続けているので是非参加されたし!

 10月22日、官邸前。火炎瓶テツさんの力強いコールが響いていた。共産党の赤嶺政賢氏、吉良よし子氏、伊藤岳氏などいろいろな方々が発言していた。
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 ピンボケがひどいけど福島みずほちゃん

 11月8日、衆議院第二議員会館前
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 こんな自転車が通り過ぎた。これ借りて毎日国会や官邸周辺を廻りたいな!

 11月15日、官邸前。反原連の金曜定例が終わったあとなので20時30分から21時30分まで。
 弾圧と闘う園良太さんも発言したが、警察官たちは園さんの姿を見るとトランシーバーで「園が来た」「園がそっちに行った」などと連絡を取り合っていたという。
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 「自民党」と書いて「うそつきとう」と読むそうです。たしかにその通りだな!

 集会では次のようなコールが行われている。
 特定秘密、保護法反対!

 自民党は、恥を知れ!

 公明党も、恥を知れ!

 戦争する国絶対反対!

 自由の無い国絶対反対!

 言論弾圧、絶対反対!

 特定秘密、保護法反対!


posted by 鷹嘴 at 13:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 悪法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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