カネミ油症救済、与党合意 仮払金帳消しし20万円支給
2007年04月10日21時30分
日本最大の食品公害事件とされるカネミ油症事件で、自民、公明両党は10日に開いた対策プロジェクトチーム(PT)で被害者救済策をまとめた。国が過去の訴訟で支払い、被害者側に返還を求めている仮払金は、ほぼ全額を帳消しにし、約1300人の認定患者全員に「油症研究調査協力金」として1人20万円を支給する。
与党は仮払金帳消しを実現するための特例法案を今国会に提出し、協力金は来年度予算に計上するよう求める。民主党も早急な対応が必要との認識で、今国会で成立する見通しが強まっている。
カネミ油症事件の訴訟では、いったん国の責任が認められ、原告約830人に仮払金27億円が支払われた。その後の和解を機に被害者が国への請求を取り下げたため、仮払金を国に返さなければならなくなっていた。
債権管理法は、無資力状態などの場合に返還を猶予できると定めている。被害者らは97年の調停で10年間返済を猶予されており、期限を控えて救済を訴えていた。
特例法では、税金や社会保険料などの支払いを除いた収入が4人世帯で1000万円未満の被害者に延滞金や利息も含めて返済を免除する。PTの河村建夫座長(自民党政調会長代理)によると、返済困難などの理由で未返還のまま残っている約500人の約17億円のうち、救済策にあてはまらないのは20人程度という。
「油症研究調査協力金」は、国の責任が裁判で確定していない公害事件に政府が一時金を支給する異例の措置。発生から40年近くたち、患者が高齢化していることに配慮した。
患者側は医療費としての支給を求めたが、政府側は「他の公害問題にも影響が及ぶ」と難色を示した。与党側の調整で、原因物質であるダイオキシンの研究に協力してもらう見返りと位置づけることで決着した。
また、九州大で行われている油症研究を来年度から広げ、根治療法の開発を目指す研究班を九州大か長崎大に置くことも決まった。
救済策検討の過程では「一時金は原因企業のカネミ倉庫が出すのが筋」との声が出た。このため被害者への医療費支払いを確約することや医療機関に通う交通費の負担を増やすことなどをカネミ倉庫に強く勧告する条項も救済策に盛り込んだ。
国は政府米を同社に預けて保管料を支払い、同社がそれを被害者への支払いにあてることで、間接的に救済を支援してきた。今回の救済策では、同社の対応が改善されない場合は政府米を引き揚げるなど「あらゆる政治的手法を検討する」ことも明記した。
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〈キーワード:カネミ油症事件〉 68年、製造過程でポリ塩化ビフェニール(PCB)が混入したカネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を食べた人たちが、皮膚炎や手足の痛み、内臓や神経の疾患などを訴えた食中毒事件。その後、ダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)が主因とわかった。福岡、長崎両県を中心に約1万4000人が被害を届けたが、認定患者は約1900人。
患者が起こした訴訟で、いったん国の責任が認められ、原告830人に仮払金27億円が支払われた。その後、被害者が国への請求を取り下げたため、仮払金を国に返さなければならなくなった。
2007年04月11日
【カネミ油症救済、与党合意 仮払金帳消しし20万円支給】
そんな返済なんて帳消しにして当たり前じゃねえか。しかも一時金がたったの20万円ですか。雀の涙ですな。
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