ツイッターにも貼ったが、こちらにも鈴木さんの記者会見映像を貼り付ける。
会見の席に並んだ5人は画面から見て左側から、高山俊吉弁護士、森川文人弁護士、鈴木達夫さん、NAZEN事務局長の織田陽介さん、「都政を革新する会」事務局長・前杉並区議の北島邦彦さん。
会見での発言は、弾圧と闘う法大生のブログにてテキスト化されている。
◇ 3・14法大弾圧を許さない法大生の会 鈴木達夫氏記者会見の起こし
この二つを元に鈴木さんの会見内容を勝手に要約させていただく。ついでに勝手な感想を述べる。
※ ちなみに鈴木さんのホームページも立ち上がっている。
◇ 鈴木たつおとともに歩む会 弁護士・鈴木達夫の情報を発信します
鈴木達夫さんは1940年東京生まれ、64年に東京大学工学部(土木工学科都市計画コース)を卒業しNHKに入局、長崎局に赴任。
日放労(NHK労組)の長崎分会会長を務めていたが、東京配転を命じられるも拒否して徹底的に闘い、弾圧され休職処分となった(裁判闘争の末、1982年に解雇される)。配転を命じられた理由は、原子力空母エンタープライズ佐世保寄港阻止闘争に加わったためNHKに警戒されたのではないか、と鈴木さん自身が語る。
その後弁護士を志し、88年に司法試験合格、91年に弁護士登録(第二東京弁護士会)。
鈴木さんは、獄中39年を闘う星野文昭さん、法大生の弾圧被害者、JR資本と闘う動労千葉、国労から組合員としての資格を剥奪された方々など、多くの闘う労働者人民の弁護人である。大きな集会では(憲法と人権の日弁連をめざす会代表の)高山俊吉弁護士や、(救援連絡センターの)葉山岳夫弁護士と並んで登壇することも多い。
また数々の不当解雇撤回訴訟の弁護人も務めている。俺が所属しているユニオンの組合員が不当解雇され東京地裁で争ったとき、鈴木さんも弁護人を務めていた。以上のように鈴木さんは労働者人民と一体となって闘う弁護士である。
記者会見で鈴木さんは、まず自分が星野文昭さん再審請求の弁護団長であり法大弾圧裁判の弁護人であることを紹介。そして憲法、原発、労働問題、オリンピック、司法制度、東京都の都市開発問題について語った。
「安倍政権は憲法改悪と集団的自衛権容認の閣議決定を狙っている。戦争は最大の人権侵害だ。1千万の都民が阻止しなくてはならない。安倍政権を倒さなければならない。
昨年の特定秘密保護法反対運動は、自分が経験した60年・70年安保闘争を上回るほど広く深かった。戦争に反対・安倍政権に反対する市民の声が満ちている。私はこの声を代表したい」
「政府は福島を切り捨てて、子どもの甲状腺がんが増えている事実など完全に無視して、原発再稼働と輸出を狙っている。これは許せない。原発・核と人類は共存できない。そして、原発労働者が被曝労働を強いられている現状を大きな問題として取り上げなければならない」
「労働者の団結を破壊する民営化、非正規化が進められている。低賃金労働者は長時間働かざるを得ない。このような、労働基準法が無視されている現状を変えなければならない」
「労働条件が悪化した根本原因は、中曽根元首相が強行した国鉄分割民営化だ。かつて中曽根首相は「国労を潰すことによって社会党総評ブロックが潰れる。そして新しい立派な憲法を床の間に飾る」と語っていた。憲法改悪のためには労働運動を潰さなくてはならない、と考えていたのだ」
(国鉄分割民営化によって多くの国鉄職員が職場を去り、そして1047名が不当解雇されたが)「私が顧問弁護団の一員を務める動労千葉を先頭に20数年間の解雇撤回闘争を続けてきた。そして一昨年6月29日東京地裁で、解雇は不当労働行為があったことを認める判決が出た(参考:動労千葉鉄建公団訴訟の地裁判決)。
昨年の9月25日にも東京高裁で同趣旨の判決が出た。つまり国鉄分割民営化は労働組合潰しの意図を持って行った、違法な、憲法違反の行為だったことが認定された(参考:同訴訟の高裁判決)」
(国鉄分割民営化が元凶となり)「現在では青年労働者を中心にして日本の6000万労働者のうち38%が非正規雇用に落されている。次の国会では労働者派遣法が大きな問題となる(派遣期間の上限を撤廃しようとしている)。国鉄1047名解雇撤回闘争は、この元凶に食らいついて食い破ろうとしている」
(政府は)「さらに医療、福祉、保育を切り捨てようとしている。特に高齢者の福祉が切り捨てられている」
「オリンピックは、どうしても、やらない!オリンピックは都民の生活と労働者の権利を破壊するもの以外ではない。新国立競技場建設予算がどんどん増えているが、それを高齢者や貧困者、被災者の対策に振り向けないのか。
そもそも安倍首相はオリンピックを招致しようとして「汚染水はブロックされている」と嘘を言った。嘘の上に立ったオリンピック招致は、必ず大問題になる。返上せざるを得ないかもしれない。
結局オリンピックは誰のためにあるのか。『いわゆる1%』の大企業の利益のため、その利益以外にあるんだろうか」
「現在、市民に対する監視・弾圧体制が強化されようとしている。特定秘密保護法はその一環。次に、現在法制審議会で議論されているが盗聴(傍受)の範囲拡大が次の通常国会に出ようとしている。
盗聴の対象が一般犯罪まで拡大され、通信傍受だけでなく工事業者を装って室内に盗聴器を取り付けることが合法化されてしまう。安心して会話できる場所がなくなってしまう。現時点では盗聴は通信業者(の事業所で)業者の立会いの下に行われるが、いま法制審議会で議論されているのは、警察署で盗聴が出来るようにするというものだ」(刑事司法制度改悪についてはこのブログにも書いた)
(この会見の司会の)「高山弁護士が先頭に立って反対運動に取り組んでいる裁判員制度は、8割の国民がソッポを向いている。『現代の赤紙』と呼ばれているが、このフレーズは私たちが考えたのではなくインターネットから出てきた。福島地裁の法廷では女性裁判員が、血の海に横たわる死体写真を見せられ急性ストレス障害になり、国に損害賠償を求める訴訟を起こしている」
裁判員に選任されてしまった人々に耐え難い苦痛を与えるだけでなく、重すぎる判決や冤罪判決が多発する恐れのある裁判員制度は絶対に廃止しなくてはならない。言うまでもなくこの会見に出た(鈴木さんを含めた)3人の弁護士は裁判員制度廃止に向けて闘っている。
しかし宇都宮候補は日弁連会長時代、この制度を推進する立場にあったようだ。ググってみるとこんなものを見つけた。
「これまで2500人以上の人が裁判員を経験した。経験者の率直な感想を、制度をよりよい・ものにするために生かしたい」
と述べていたそうな。それにしても、刑事事件の被告人の人権を奪うこの制度を、人権を守る立場であるはずの弁護士が推進してどうするつもりか?
「小泉内閣の時から司法改革というものが続いているが、これを担ってきた一端が宇都宮候補、あるいはその陣営である。
司法改革は主として弁護士の大幅な増員と法科大学院だが、このほとんどが定員割れし、廃校が続いている。弁護士が増え過ぎれば(仕事が足りなくなり)生活が出来なくなる。(弁護士になるために既に平均660万円もの借金を背負っているのに)弁護士会の会費は非常に高く、地方では月10万円のところもある。(仕事が少なく、手元に残る金額は僅かで)親の援助で生活している人もいる。
このような司法改革とは改革ではなく、うるさい事を言う弁護士と日弁連を潰す、人権擁護の仕事をこの世から一層しようと、食えなくなるのが一番だ、という攻撃だ」
弁護士が多くなり過ぎれば、少ない仕事の取り合いになり、生活のために1円でも多く稼げる仕事に集中するだろう。弾圧事件の被害者、不当解雇された労働者、生活保護の申請を門前払いされた人々の弁護のような、弁護士費用を得ることが難しい仕事を引き受ける弁護士はいなくなる。かくして弁護士は、政府や資本家のいいなりになるわけだ。
「なお私は、獄中39年無実の星野さんを取り戻す弁護団長です。検察は証拠をまだいっぱい隠し持っているので、全ての証拠を開示させて、無実を明らかにして釈放を勝ち取っていきたい」
質疑に移り、読売新聞の記者からの「同じ弁護士である宇都宮候補との意見が近いし、一本化は模索されたのか、それとも全然違う関係なのか?」という質問に対しては「宇都宮さんとは調整の余地は無い」とはっきり述べた。
「宇都宮さんを推す押す勢力は、どこまで脱原発に真剣か疑問。3.11前あるいはその後も、『原発廃止はおよそ非合理的、非科学的』と言っていた人たちが主として推している。それから大きな世論の盛り上がりの中で、一応脱原発を言っているが。・・・ちなみに、2012年日弁連会長選には当時現職だった宇都宮氏や、この会見にも出てくる森川文人さんら4名が立候補し、山岸憲司氏が勝利した。森川さんは原発の再稼働禁止・即時撤廃を主張したが、それ以外の3名は2011年7月・日弁連意見書の「原発は10年以内に廃止」に沿った主張だった。宇都宮氏は「安全基準を満たさない原発は再稼働させない」と述べていたという。ならば「安全基準」とやらを満たした原発は再稼働してもいい、ということか?
宇都宮さんが執行部にいたときの日弁連は『原発は段階的縮小」という政策だった。今は違うようだが」
なによりも(宇都宮陣営と、高山さんや鈴木さんらは)日弁連の中で、(この会見で先に述べた)司法改革をめぐって、激しい論戦・対立があったから、一本化というのは考えられない」
森川さんは「日弁連は昨年(2011年)、10年以内に原発廃止以内と言ったから、今年(2012年)になれば9年以内じゃないのか」と批判した(2012年2月5日東京新聞【こちら特報部】より引用)。だから俺は宇都宮候補の掲げる脱原発を信用出来ない。支持者はマジのようだが。
最後に鈴木さんは、大学で都市計画を学んだ経験から(かなり前に学んだことなので今の状況と合うとは限らず、まだまだ不勉強だが、と前置きしつつ)、猪瀬前知事の都市計画について痛烈に批判する。
「猪瀬前知事が言い出した、深夜の都市を活性化する『深夜都市化』というのは、都市のあり方として根本的に間違い。休む時間も無い都市で、休めなくなるのは誰か。そこで働く労働者が休めなくなる。(公共交通機関の)車両の整備する時間が足りなくなる」
・・・実際に、鉄道やバスの終電は遅ければ遅いほど、商店の営業時間は長ければ長いほど、利用者によって便利であり、事業者の利益になるだろう。気がつけば近所の大手スーパーも、閉店時間が19時から20時、21時へと延びている。このような営業時間延長の競争によって、そこで働く労働者の労働時間が長くなる。長時間労働や過重なシフト体制を強いられる。正規職員の採用を減らして非正規雇用労働者を増員する口実にも利用されるだろう。
それに、たとえば鉄道の終電と始発の間が短くなるということは、その短い時間に線路の点検整備などを行わなければならない。事故や整備不良も起こり得る。事業者に目先の利益を与えるだろうが、労働者を苦しめ安全性を損なうことになる。この『深夜都市化』だけでなく、行政や企業が利益のために進めている外注化・合理化全てに同じことが言えるだろう。目先の利益を追求するより先に、労働者に充分な休養・賃金と働きやすい環境を与え、最大限の安全性を確保するべきだ。
このようなことを、脱原発を掲げて「リベラル層」を取り込もうとする宇都宮候補や細川候補も述べているだろうか?述べているなら教えてほしい。それどころか全ての国会議員・地方議員・地方自治体の首長あるいはそれを志す者の中で、これを指摘できる者はごく僅かではないか?
「超高層都市は、災害のことを考えたら恐ろしい。高層ビルが東日本大震災のときに、どれだけ揺れたのか。東京で大火災やガス爆発が起きなかったのは奇跡的だ。もし起これば東京はとてつもない地獄図絵になってしまう。
高層化は、企業活動にとっては役に立つかもしれないが、私は64年の東京オリンピックによって東京がどのように変わったかこの目で見ている。2020年のオリンピックに向かって、東京がどのように人が住めなくなる街になるのか。
安倍首相は、深夜都市と繋がる解雇自由の戦略特区を作ろうとしている。それもオリンピックの名目でやろうとしている。東京の未来にとってただ事ならないことが今起ころうとしている。何としても転換させなければならない」
たしかに「高層化」は事業者に目先の利益を与えるだろうが、鈴木さんが指摘するように防災の観点からは望ましくないのでは?そこで働き、そこに住む人々にとって本当に有益なことか?
「高層化」に限らないことだが、大規模な事業で企業・自治体・政府がいかに肥え太ろうとも、それが一般市民の生活向上に単純に結びつくものではない。たとえば安倍は「企業の業績が上がれば従業員の給料も上がる」などと夢のようなことをほざくが、それは50年前のオリンピックの頃の話だ。企業は儲けが出れば、非正規雇用労働者を増員して事業を拡大し、赤字になれば非正規雇用労働者を解雇して撤退するだけだ。民間企業の事業ならまだしも、自治体や国が造ったハコモノは無用の長物になっても滅多なことでは廃止されず、財政を圧迫し続ける。
こんな簡単なことを理解できない(理解しようとしない)連中が、オリンピックなどという馬鹿げたイベントを仕組んで無駄な公共事業を進めようとしている。脱原発を掲げる細川候補や宇都宮候補もオリンピックに反対していない(彼らの立場でそれを言えるわけがない!)
以上、鈴木さんの会見内容を勝手に要約し、ついでに勝手な感想を述べてみた。確実に言えることは、この候補者は政治家・官僚・大企業・富裕層などの『いわゆる1%』の利益を守る立場ではない。逆に、「99%」である我々労働者人民の立場に立っている、ということだ。
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