2014年06月16日

【自衛隊という密室】田母神将軍の豪華な宴会旅行?【女性隊員はホステス代わり】

 引き続き「自衛隊という密室」(三宅勝久/著 高文研)より引用する。第U部第4章「田母神“将軍”の燃料垂れ流し出張」(P-150)より。
 2008年、日本の侵略戦争を美化・歪曲した「論文」(過去ログ参照)を書いていたことが明らかになり航空自衛隊を辞職し、その後も何かと世間を騒がせている田母神俊雄のことだが、こいつは出張する際、用もないのに自衛隊の航空機を利用していた。
 三宅勝久氏が防衛省に情報公開請求をして入手した資料によると、田母神は現職(航空幕僚長)時代、国内の基地に「部隊視察」に赴く際、大抵の場合自衛隊の航空機で移動していた。しかも東京・市ヶ谷の防衛省まで大型ヘリが送迎していたという。
 田母神は2008年4月から9月の間、航空機を使った出張を9回も行っている(国内出張が6回)。そのうちの一つ、4月15日〜16日の根室と襟裳の基地への出張では、市ヶ谷の防衛省からCH-47J輸送ヘリコプターに乗り入間基地まで(たった20分で)到着。そこからU-4ジェット機で根室分屯基地に向かった。
 翌日は根室からまたしてもヘリで襟裳分屯基地、続いて千歳基地に移動。そして千歳からジェット機で入間、最後もヘリで市ヶ谷に帰還。
 ちなみに市ヶ谷の防衛省屋上ヘリポートには格納庫など無いから、田母神を運ぶためにわざわざヘリが入間と市ヶ谷の間を往復していたことになる。なんで公共交通機関を使わないのか?燃料代だって相当なもんだろ?

 U-4ジェット機(ガルフストリームW)は1時間で航空燃料を500ガロン(1892リットル)消費するという。巡航速度850km/hで飛んでこの燃費だとしたら、リッター約0.45kmだ。これが往復計3時間使われたので単純計算で5676リットルが消費されたことになる。
 ウィキペディアを見てみると、旅客機ジェット燃料は「ケロシン」という石油の分留成分から精製される。同じケロシン系の燃料である灯油より純度が高い。価格については門外漢の俺には調べ方すら分からんが、こちらのサイトによると「2010年10月現在では50円/リットル」だという。これで計算すると5676リットル×50円=28万3800円。

 また軍用ヘリのCH-47Jは、約2000ガロン(7570リットル)の大型燃料タンクで約750kmしか飛べない(ということは燃費リッター約0.1kmか。1リットルで約10.1kmしか飛べない)。この燃費で250km/hで航行できるとしても飛べるのは3時間。4時間使われたので単純計算で10093リットル。それに出発のときに入間から市ヶ谷まで田母神を迎えに行き、帰りは市ヶ谷まで送ってまた戻って来たはずだから、片道20分として、1時間の飛行で7570ℓ÷3=2523ℓを消費するから40分で1682リットル。合計11775リットルだ。U-4ジェット機は超大金持ちが所有しているような(?)少人数用の旅客機だが、CH-47Jは自重が10トン以上ある輸送機。自家用車とダンプカーじゃ燃費が違って当然だな?

 この軍用ヘリはボーイング社の開発だが、自衛隊が採用しているCH-47Jは川崎重工がライセンス生産しているT55-K-712という「ターボシャフトエンジン」を2基搭載している。小型ヘリのようなレシプロエンジンではなく、燃焼ガスを利用して推進力を生む。ジェット機のように燃焼による排気を直接の推進力とするのではなく、排気でプロペラのシャフトを回転させる。燃料はJP-4というジェット燃料が用いられる。
 これも1リットルあたり50円だとして計算すると11775ℓ×50円=58万8750円。ジェット機の分と合計すると87万2550円。非常に大雑把な計算だが田母神はこの出張で燃料代だけで約87万円も税金を使いやがったことになる。羽田空港から新千歳空港まで普通の旅客機で行けば片道3万円台なのに。
 田母神本人にとっちゃ、羽田空港で搭乗手続きをして乗るより、市ヶ谷まで行ってヘリとジェット機で運んでくれるほうが楽に決まってるよなあ、たしかに。それに自衛隊機に乗るのが好きだったのかも。「俺様は航空幕僚長様だ、自衛隊機に乗るのは当然!」みたいな・・・。

 三宅氏は航空幕僚監部に、なぜ田母神が自衛隊機だけを使って出張したのか問い合わせてみたところ、「時間的制約と警備上の理由」と答えたという。しかし時間の余裕が無いなら2日主張ではなく3日出張にすればいいだけのこと。羽田から新千歳空港に行く便なんざ日に何本も出ている。
 しかも「警備上の理由」というが、(航空幕僚監部によると)田母神がこの晩に泊まった根室市内のホテルの「写真の印象は庶民的なビジネスホテル」だという。それに警備上の理由を言うなら根室分屯基地に泊まればいいだけのこと。しかしそこには「長官用の宿泊施設が無い」んだとさ。
 ところが三宅氏がそのホテルに問い合わせたところ、当日「タモガミトシオ」なる人物が泊まった記録は無いという。航空幕僚監部は「(ホテルの)領収書は空幕長が捨てたが、宿泊したことは事実らしいです」などと他人事のように言ってお茶を濁す始末・・・。

 田母神はこの出張で各基地の巡視、訓示などを行い、基地幹部から状況報告を受け、あとは出迎えの儀仗礼、栄誉礼、記念撮影などの行事が組まれた。各部隊は準備が大変だったようだ。まあエライ人が来るってのはこんなもんさ。来ても来なくても同じだし、むしろ来てほしくないよな、ウザいから。
 しかもこうした行事の順番、それぞれの時間配分、さらに幹部の車両の停車位置、隊員の整列方法、幹部や隊員の並ぶ位置などが細かく指定されていた。「ヘリポートでの出迎えや見送りの要領」を指定する文書だけでも10枚以上あるという。航空機の欠航や雨天に備えた代替案もある。俺たちの税金使ってこんなことしてやがったのか!田母神なんかのために!

 別の基地で田母神の視察を経験した隊員は、隊員総出の対応にウンザリしたそうだ。田母神の視察や訓示は簡単なもので、あとは接待。地元の有力者も招かれ、女性隊員も動員されたらしいぜ。
 「女性隊員が狩り出されてホステスのようにお酌をする。地元の高校生を呼んで出し物をさせたり、宴会のために来ているとしか思えない。こんなことのために自衛隊の飛行機を使って来るなんて、税金の無駄遣い以外の何ものでもありませんよ」
 三宅氏が入手した一枚の写真には、テーブルの上の料理と酒を前にして、左手で和服姿の女性の肩を抱く田母神と、背後の制服姿の隊員らが写っている。現場を見ていた隊員によるとこの女性は部隊の事務官だという・・・。そういえば田母神は2月の都知事選のときも「田母神ガールズ」を動員したらしいな。相当な女好きのようだが公私混同はイカンよ。奴はそれだけでなく問題ありすぎだが。
 
 根室の宴会の数時間前、田母神は基地で隊員らに訓辞を行っていた。
 「戦後教育で個人の権利ばかりが強調され、公に奉ずるという、昔からの日本人の気持ちが蔑ろにされてきたのではないかと。これは自分のためではなく、誰かのために頑張るのは極めて素晴らしいことだと思います」
 などと喋りやがったそうだが、だったらまずお前が手本を見せろってんだよ。自分だけわざわざ自衛隊機で出張して女性隊員をはべらせて宴会とは、まるで死刑判決を受けて収監中の某尊師のようだな。北の将軍サマのようだな。実際に一般の隊員は、雲の上の人である田母神を「将軍サマ」と囁いていたという。
 「『誰かのために、つまり私のような偉い将軍様のために皆さん頑張りなさい』
 視察を通じて、田母神氏は部下にそう教えたかったのかもしれない」
posted by 鷹嘴 at 23:43| Comment(5) | TrackBack(0) | 日本軍(1950〜) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
公務でなら当然ですな(休日のプライベートな旅行じゃないんだから)
Posted by ( ̄∀ ̄) at 2014年06月25日 21:32
公務ならば旅費が支給されるのは当然です。公用車などが利用できる場合もあるでしょう。

しかし田母神の例のように専用ジェット機や輸送ヘリ乗り放題なんて規定は自衛隊にも無いと思いますがw

Posted by 鷹嘴 at 2014年07月04日 17:10
こういう異様な厚遇は自衛官に誇りと責任感を持たせるどころか、単に慢心させるだけで有害無益だと思います。
Posted by ( ・ω・)=つ≡つ at 2014年08月11日 21:16
悪意に満ちたヨタ話を真実として流布する前に、自分がちゃんと努力してその立場になってから自分のこととして批判しなさい、批判できるの?っていつも思う。といっても「俺は貧しかったから学歴が無いので自衛隊にも入れなかった・・・」とか、またまた他人のせいにするんだろうな・・・「フリーメーソンが俺の就職を妨害してる」みたいに。
Posted by うむ・・・ at 2014年09月06日 00:15
どーでもいいけどハンドルネームを統一してくれよ。
Posted by 鷹嘴 at 2014年09月10日 00:05
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