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切れても落ちることはないっつーてもねえ。
六本木ヒルズの発煙事故、エレベーターロープの一部破断が原因
六本木ヒルズ森タワーで4月4日に起きたエレベーター機械室での発煙事故について、森ビルと日本オーチスエレベータは4月26日に共同会見を開き、事故の経過と原因及びその後の対応について説明した。
両社によると、事故翌日の現場検証で高層階用22人乗りのエレベーター1台を上下させているワイヤーロープ8本のうち1本が一部破断し、その一部破断したロープの素線がロープの外れ止めなどの金属に接触して火花を発し発煙に至ったことが分かった。
3月に実施した目視による定期点検では、ロープの損傷は見られなかったが、エレベーターの稼働状況などを勘案して早めのワイヤーロープの交換を今年6月に予定していたという。素線の一部破断については、現在ワイヤーロープそのものの問題と保全の両面で原因を究明中という。
[住宅新報 2007年04月26日]
六本木ヒルズのエレベーター火災、ずさん管理が原因か
2007年04月26日20時10分
国土交通省は26日、日本オーチス・エレベータ(東京都)製のエレベーターについて、全国の5万6000基を緊急点検するよう自治体を通じて求めたと発表した。東京都港区の超高層ビル、六本木ヒルズ・森タワー(54階建て、高さ238メートル)で今月4日起きたエレベーター火災で、同社がずさんな保守管理をしていたとされるため。同社はエレベーターで国内4位のシェア。この火災は、鉄製ワイヤロープの一部が破断、他の金具とこすれ合って発生した火花が原因とみられる。ワイヤの表面は赤さびに覆われていた。
国交省によると、火災を起こした事故機では、人の乗る「かご」を支えるワイヤ8本のうちの1本(直径2センチ)で、細い鉄線19本をより合わせた束(直径6ミリ)が切れていたという。鉄線の切れ端と機械室内の金属製部品が接触して火花が飛び、潤滑油に引火したらしい。
オーチス社は破断の原因について、「想定を超えて摩耗が進んだため。製品のせいか、点検に問題があったのかは調査中」としている。事故機は六本木ヒルズ開業の03年に設置され、同社は6月にワイヤ交換を予定していた。
緊急点検は、5月25日までに、オーチス社製エレベーターのあるビル所有者に求めている。通常数時間で済むが、同社への点検依頼が集中した場合、日中の利用に支障をきたす恐れもある。
六本木ヒルズを運営する森ビル(東京都)によると、森タワーにある42基のうち11基がオーチス社製同型機で、同社が保守管理もしている。事故機は41〜48階を運行していた。火災後の同社の点検で、鉄線の束ごとの破断は別の1基でも見つかった。一部破断も含めると計8基でJIS規格に反する破断があった。同型機は多重安全の措置が施されているため、ワイヤの破断があってもかごが墜落する恐れはないというが、国交省は「束ごとの破断はあってはならない異常な状態」としている。
エレベーターの定期検査は年1回、ビルの所有者に建築基準法で義務づけられ、事故機は火災直前の3月22日に終えたばかりだった。だが、東京都と同省外郭団体の日本建築設備・昇降機センターが今月10日に立ち入り調査をしたところ、事故機のワイヤは、全面的に赤さびとほこりと潤滑油に覆われ、鉄線の1本1本を確認できない状態だったという。国交省は、オーチス社が長期にわたり鉄線の破断を見過ごしてきたとみている。
この火災は4日午後6時ごろ、51階部分のエレベーター機械室から出火。一時煙が充満し、53階にある森美術館の入場客ら約850人が避難する騒ぎになった。けが人はいなかった。
森ビルは、41階以上にある全11基のエレベーターを順次止めて点検。ふだん使っていない非常用3基も動かして計5基で運行し、完全復旧は5月下旬の見通し。森ビルは「大型連休中、52階展望フロアに1日1万人来場を見込むが、対応は可能」としている。
エレベーターの安全をめぐっては、昨年6月に東京都港区の公共住宅で死亡事故が発生。国交省は製造元のシンドラーエレベータ製全基の緊急点検を要請し、11月までかかって6273基を調べた。
六本木ヒルズ、オーチス製エレベーター8基が安全基準外
東京・六本木ヒルズ「森タワー」で4日、エレベーター機械室が燃えた火災で、森ビルなどは26日、ワイヤロープの一部が破断し、周囲の部品に接触、火花が出たのが原因だったと発表した。事故機を製造した日本オーチス・エレベータ(東京・中央)は緊急点検を実施。その結果、同様の破断など安全基準を満たさないエレベーターが11基中8基で判明した。11基すべてのロープを交換する方針。
日本オーチスから報告を受けた国土交通省は全国の自治体に対し、同社製約5万6000基の緊急点検を指示した。森タワー内については同社以外のエレベーター31基も点検対象とした。
森タワーにある同社製エレベーターは41階から48階を上下動する6基、49階から展望台がある52階を動く5基の計11基。ワイヤロープ(直径22.4ミリ)8本でつり下げており、ロープは細い金属製の「素線」を束ねた「ストランド」8本をよじって構成している。(00:21)
破断ワイヤに大量の赤さび 日本オーチス点検に問題か(04/27 13:01)錆で真っ赤になるまで放置してたんだ。要するに点検してるフリしてて全然見てなかったんとちゃう?
東京・六本木ヒルズ森タワーのエレベーターワイヤ破断問題で、破断したワイヤのロープに大量の赤さびが付着していたことが26日、分かった。
年に1回の定期点検を3月中旬に実施したばかりで、国土交通省は製造元の日本オーチスが建築基準法に基づく定期点検を適切に実施せず、破断を見逃した可能性が高いとみて、同社が保守点検しているすべてのエレベーターロープの緊急点検を全国の関係自治体に指示した。
対象エレベーターは5万数千基に上るとみられる。
国交省と森ビルによると、金属製ワイヤの破断は4日の火災の原因となった1基のほか、隣接する別の1基でも8日に見つかった。4月中旬以降に別の8基でも、ワイヤを構成する金属線に破断の前兆となる傷が見つかったため、ロープを順次交換している。完全復旧は5月下旬の見通し。
【関連】『異様な音聞いた』 六本木ヒルズ高層階利用者 ずさん管理に不安2007年4月27日 朝刊
東京・六本木のランドマーク「六本木ヒルズ森タワー」五十一階で今月四日に起きた火事は、エレベーターのかごをつるすロープが一部破断したことが原因だった。新たに点検した結果、別のエレベーターのロープの一部破断も発覚。保守点検で見過ごされてきた疑いも浮上した。ロープがすべて破断しても安全装置があるので落下する危険はないとされるが、ずさんな管理に高層階で働く人たちから不安や困惑の声が漏れた。
最先端の高層ビルで起きた、エレベーターのロープ破断。森タワーの高層階にあるIT企業に勤める男性(38)は、「火災があったのは知っていたが、ロープが切れていたとは知らなかった。最近、エレベーターに乗っていて、最新ビルとは思えない異様な音を何度か聞いたことがある。不安だ」と驚いていた。
「(緊急時に備え)エレベーターには最近、警備員が二十四時間乗るようになった。命がけの出勤だ」と冗談交じりに話すのは、四十五階の外資系証券会社に勤める女性(33)。六台のエレベーターが点検などで使えなくなり、清掃業者や販売業者用のエレベーターを使っているという。
女性は「昼食時や帰宅時など約二十人乗りのエレベーターは込み合う。みんな文句を口には出さないものの、不満に思っている」と話す。
五十一階のレストランへ食事に来た会社員の男性(44)は、「エレベーターに乗るのが怖い。子供のころに見た『タワーリング・インフェルノ』(高層ビルで火災が起きる米国映画)を思い出した」と興奮気味に話した。
男性は二〇〇四年三月に同タワーの回転ドアで起きた死亡事故や、シンドラー社製エレベーターによる死亡事故にも触れ、「企業は安全を第一に追求してほしい」と注文した。
ロープ破断見落としか 六本木ヒルズエレベーター
2007年4月27日 朝刊
東京都港区の六本木ヒルズ森タワー(五十四階建て)の二基のエレベーターで、かごをつるす八本のロープの束のうち一本の一部がそれぞれ破断していたことが分かった。「森ビル」と製造元で保守管理もする「日本オーチス・エレベータ」(東京都中央区)が二十六日、発表した。鉄製ワイヤロープがさびており保守点検に問題があるとして、国土交通省は同日、オーチス社が保守点検する五万数千基すべてのエレベーターのロープを緊急点検するよう全国の自治体に指示した。
森タワーでは今月四日、五十一階のエレベーター機械室の一部が燃え、避難騒ぎが起きた。この火事の原因調査で、ロープ(直径約二・二センチ、長さ最大二百三十メートル)の一部が破断し、周辺部品に接触したため火花が出て、潤滑油や騒音を軽減するウレタン吸音材に引火したことが判明した。
一本のロープは八束のワイヤで構成され、このうち一束が破断した。
オーチス社は、問題の基を含む森タワー内の自社製エレベーター十一基について調査。別の一基も八本のロープのうち一本の一部が破断し、残る九基のうち六基でも、ロープ交換が必要な損傷があるのが見つかった。
この十一基は先月二十日前後にオーチス社が行った法定点検で、いずれも「異常なし」と東京都に報告されていた。
都と財団法人「日本建築設備・昇降機センター」(東京都港区)は今月十日、火事の原因となったエレベーターを調査。
ロープにさびや潤滑油などの塊があり、国交省への報告書で「法定点検で検査したと思えない状態」と記載された。
オーチス社は二十六日の記者会見で「年一回の法定点検と月二回の保守点検を行い、法定点検でロープの破断を見逃すことは考えにくく、法定点検後に破断したと思う」と説明している。
しかし、国交省は「赤さびなどを取り除かなければロープの損傷は見つけにくい。相当以前から破断し、ずさんな検査で見逃した可能性がある」として、緊急点検することを決めた。
オーチス社によると、この十一基は高層階用で、仮に八本のロープすべてが破断してもその場で停止する安全装置を備えているため、かご落下の危険性はないという。