今月14日に投開票の衆議院選挙に、今年の都知事選を闘った弁護士の鈴木達夫さんが東京8区から立候補した。元環境相の石原伸晃候補、共産党候補、山本太郎参院議員も応援する円より子候補らが並ぶ激戦区であるが・・・埼玉の住人の俺も、安倍打倒・全ての原発廃炉・労働者が主役の社会実現を掲げて決起した鈴木たつおさんを応援したい。

鈴木たつおさんの主張はシンプルなもので、
● 戦争反対(集団的自衛権・辺野古新基地建設・憲法九条改悪などの阻止)、
● 労働者が主人公の社会実現(労働者派遣法の廃止=非正規職の撤廃、国鉄1047名解雇撤回、外注化・民営化阻止、資本家の利益で動く政治を根底から変える)
● 市民の生活を守る(年金の保障、年金資産の株運用反対、消費税の撤廃)、
● 原発反対(全ての原発の即時廃炉、内部被曝を防ぐための避難などの対応)、
● 治安弾圧を許さない(特定秘密保護法と盗聴法の廃止、公安警察の横暴を許さない、冤罪で40年間獄中の星野文昭さん奪還、裁判員制度即時廃止)、
・・・などを掲げて闘う。日本政府と大企業の奴隷にされたくなければ、当然のことと受け入れられるはずだが・・・ありふれた候補者や政治政党には、言い出しにくいものもあるだろうな。特に太字にした部分は。
ちなみに鈴木たつおさんは今年2月の都知事選で、唯一2020年オリンピック東京開催予定に反対した候補だった。オリンピック開催ほど馬鹿げたことはないが、これに反対する候補が一人しかいなかったというのも実に情けないことだな。
■ 鈴木たつおさんは1940年東京生まれ、64年に東京大学工学部を卒業しNHKに入局、長崎局に赴任。67年にはNHK労組の長崎分会長となり、翌年には東京配転命令を拒否して原子力空母エンタープライズ佐世保寄港阻止闘争に決起。起訴され休職処分となり、法廷で争うも82年に解雇。しかし88年に司法試験に合格し、91年に弁護士登録。不当労働行為や権力の暴力に直面した際、誰しも「俺も弁護士だったら・・・」と思うことがあるだろうが、到底無理な話だ。しかし鈴木さんは、社会を変えようという熱意をもってこれを実現したのだ。
そして鈴木さんは労働者と共に闘い続け、現在では動労千葉、法政大学の闘う学生、冤罪で40年間獄中の星野文昭さん、東京西部ユニオン鈴木コンクリート工業分会の弁護人などを務めている。
2011年12月に鈴木コンクリート工業を不当解雇された労働者たちは鈴木さんら弁護団と共に闘い、今年4月16日に東京地裁で解雇撤回を勝ち取った。9月30日に東京高裁で和解成立した。
彼らは期限付きの雇用であったが毎年労使双方の意思を確認するまでもなく契約更新されていたので、実質的には期限無しの雇用だったと言える。しかし労組を結成したことで警戒され、雇い止め(解雇)されてしまった。この不当解雇を撤回させたのだ。和解内容は、
● 解雇された2011年12月から今年までの未払い賃金の支払い
● 今年11月から1年間の契約で雇用し、かつ契約満了後もそれを継続する(つまり実質的な期限のない雇用とすること)
● 会社側は一切の不当労働行為を行わないことを確約
という完全勝利だ。こうして解雇された労働者は先月職場復帰を果たした。労働者が団結して闘えば勝てることを示したのだ。
ちなみに会社側は、鈴木コンクリート分会の組合員らが駅前での情宣の中で「組合の仲間は会社に殺されたようなものだ」「組合員がいじめられている」「会社は弁護士に食い物にされている」などという発言で会社を誹謗していたとし、これを解雇の理由の一つに挙げたが、地裁判決はこれを解雇の理由にならないと断言。4月18日の勝訴報告集会で鈴木たつおさんが解説した。
使用者側と比べて情報量の劣る組合側の主張は、正確ではない点があって当然であり、「品位を欠く表現や過剰な表現も含まれる」こともあり得る。情宣を耳にした第三者もこれを察するだろう。なおかつ、使用者側から「正当性がなく、しかるべき措置を行う」と警告されていたストライキの最中という緊張の中で行われたものだった。
故にこの情宣活動を理由にして雇い止めにすることは「社会通念上相当であると認めることはできない」
・・・ということ。たしかに労働者が得る情報は会社側と比べて限られている。しかも解雇の瀬戸際の闘いなら過激な表現が出て当然だ。これを解雇の理由などもっての外だ。画期的に見えるが至極当然な判断ではなかろうか。
11月2日の全国労働者総決起集会や、11月15日の鈴木コンクリート工業分会の勝利団結集会で鈴木たつおさんは鈴木さんは次のように述べ、社会を変えるための闘志を表した。
「安倍が辞めたらあとがいないなどと言われるが(実際に野党にも期待できないが)、安倍に続くのは私たち労働者だ」
「安倍政権を打倒する。我々が安倍に取って代わるんだ。それが可能なことを、鈴木コンクリート工業分会が示してくれた」
この時点で俺は鈴木さんが出馬することを知らなかったのでピンとこなかったが、出馬表明後の11月29日に行われた集会(星野文昭さんを取り戻そう!全国集会)で次のように語った。
「安倍の言う『この道しかない』とは戦争への道だ」「安倍を一刻も早く倒さなければならない」
「労働者中心の社会、この道しかない!これを訴え、東京8区に出馬する」
■ 以下は脱線だが・・・12月7日の東京新聞【本音のコラム】にて、法政大学教授の山口二郎氏がこのようなことを述べている。小選挙区制という制度に於いて嫌いな候補を落すためには、最も有力な対立候補に投票するべきだ、と。その候補の主張に気に入らない点があっても「鼻をつまんで投票」するべし、だとさ。
たしかに野党・無所属候補の票の奪い合いを避ければ自民党候補を落せる、というのはその通りだろうけど・・・俺は嫌だね。山口氏が言うように非現実的かもしれないが。自民党候補を落すために民主党候補に入れるか?民主党だって原発を再稼働するだろうし増税するだろ?(かといって日共も嫌だし)
なんていうか、別の話題の時に書いたと思うが、なるべく多くの人々の好みに合わせるため、最大公約数なものを設定する、というのは、まあ企業や政府にとっては当然のことだろうが、これに流されちゃヤバいと思うんだよね。
たとえば外食産業なら、なるべく多くの客を集めるため全店舗をありきたりなメニューで統一し、なるべく価格を抑えるため安価な輸入食材に統一するだろ。毎度毎度そういうチェーン店なんか行きたくねえが、腹減ってるとき他に店が見当たらなきゃ妥協しちまうだろ。
テレビならば、少数派の意見・立場を重視するより、なるべく多くの視聴者の共感・関心を得られるような番組構成にする。スポンサーも視聴者の好みには敏感だろう。そのため、たとえば警察による証拠隠滅・捏造や自白強要などの不正を暴くより、オレオレ詐欺や脱法ドラッグをカッコよく取り締まるようなスペシャル番組を作るだろ。こうしてどの局の番組も似たような内容になっていく。
先月の京大熊野寮ガサ入れについては、どの局も「過激派対策は重要」などという報道だった。果たしてゲバ棒の一本でも出てきたんですかね?機関紙を押収したっていうがそんなもん誰でも買えるぜ。単に権力の報復行為・嫌がらせに過ぎない。
グリーンピースがナスカの地上絵のそばで環境保護を訴えるメッセージをかざした件についても、各局とも「環境保護団体が環境を破壊してどうする」などという報道だった。テレビ局が下らん番組を流すせいで発生する二酸化炭素こそ、よっぽど地上絵に対する脅威だが?しかしどの局も同じような内容だから我慢して観ている(笑) 要するに視聴者に妥協を強いている。たしかにテレビとは洗脳装置かもな。毛色の変わった番組を作ろうとしてもスポンサーや政府の圧力が怖いんじゃないの?
■ 今の日本の政治(及び選挙に臨む政党の方針)も同じじゃないかな。少しでも多くの有権者の感心を得るため、多くの大切なことを切り捨てながら多数派の世論に迎合し、あるいは誘導していく。有権者は限られた選択肢の中で妥協を強いられる。全ての有権者・全ての「国民」に、共通の政治的志向を植え付けようとするのだ。
こういう構造が改められなければ政治は根本的には変わらない。今後も少数派の権利は無視され迫害され続ける。原発事故で避難している人々は帰還を余儀なくされ、内部被曝の被害は無視される。
山口氏が勧めるような形で政権交代が実現しても、新しい与党は結局有権者の期待を裏切るんじゃないかな。どうしても自民党を落したいため〇〇党に投票し、晴れて〇〇党が政権与党になりました。しかし〇〇党は支持団体の顔色を窺がい身動きが取れなくなり、世論が醒めれば脱原発にも消極的になり、10年20年経ってみれば原発の数は減るどころか増え、庶民の負担は重くなり、大企業だけが優遇され、憲法は改悪され、結局自民党の政治と変わらなかったじゃないか、と。ろくなことにならないと思うな。
民主党の支持団体である連合には、原発推進の労働組合である電力総連も参加している。中電労組と「原発推進協定」を結んだ民主党候補もいるという。民主党に脱原発はとても期待できない。
また、連合は「自民党の政治は庶民の生活を苦しめる、だから民主党へ投票せよ」と訴える。しかし連合傘下の労組の組合員らが、下請け会社の労働者や派遣労働者の立場・生活を顧みることはない。彼らが春闘だベースアップだと叫んでも、彼らに顎で使われている俺たちには全く関係のない世界だ。連合傘下の労組には大企業の企業内労組も多いだろうが、その組合員(俺たちより格段に収入が高いだろう)には、俺たちの生活は目に入らない。
民主党が政権に復帰すれば、連合傘下の労組の声に重きを置くことになるだろう。日本の有権者の大半である俺たち中小企業の労働者・非正規雇用労働者(大抵の場合職場に労働組合は無い)の声にも耳を傾けてくれるだろうか?期待しないほうがいいな。それにしても「とりあえず自民以外」という言葉のなんと軽いことか!
■ もう一つ言えば、参院の民主党議員は11月14日に参院本会議で可決した公衆等脅迫目的の犯罪行為のための資金の提供等の処罰に関する法律の一部を改正する法律案に全員が賛成している。
元の法律に加え、「公衆等脅迫目的の犯罪行為を実行しようとする」ために資金だけでなく「土地、建物、物品、役務その他の利益」の提供を求めた者、それに応じた者も罰せられる(未遂も)。国家権力にとっては弾圧の口実に都合のいい悪法だ。これはさすがに共産党も反対した。
しかし11月19日に可決した国際連合安全保障理事会決議第千二百六十七号等を踏まえ我が国が実施する国際テロリストの財産の凍結等に関する特別措置法案は、民主党だけでなく共産党も賛成に回った。反対は福島瑞穂氏ら社民党の3人と、無所属の糸数慶子・山本太郎のたった5名だ。
外国に向けた支払いをしようとする者のうち外国為替及び外国貿易法によって許可を受ける義務を課せられた者のうち、「公衆等脅迫目的の犯罪行為」を「行い、行おうとし、又は助けたと認められる者」の資産が凍結などの措置を受けるという。これも弾圧の口実になりかねないだろう。
◇ 10-10テロ資金凍結 募る懸念 共謀罪への露払い?【【東京新聞・特報】 Silmaril Necktie
◇ 反対!反対!反対!|山本太郎オフィシャルブログ「山本 太郎の小中高生に読んでもらいたいコト」
民主党については自民党の補完勢力だと感じているが、共産党もなし崩し的に政府や大企業に屈し、変質していくようだ。今までの共産党の、労働運動・市民運動に介入し分断していった歴史がそれを示している。
この点からも、常に労働者・人民の立場から発言し、国家権力・大資本に対して断固闘い続ける鈴木たつおさんこそ、国政での活躍を期待できると言える。
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